17/07/24
お盆で家族が集まる機会に、両親の医療や介護の希望を聞こう
人生100年の時代。しかし、死ぬまで元気という人は残念ながら少ないのが実情です。お盆やお正月休みは、遠方に住んでいるご両親と話すよい機会です。安心なセカンドライフを過ごすために、将来どうしたいかを親子で考えてみてはいかがでしょうか。
病気や介護の準備には「健康寿命」を活用する
まだまだ元気だと思っていたご両親も、会うたびに年をとってきたと感じる人も多いのではないでしょうか。「健康で長生きしたい」と誰もが願うことです。しかし、病気や介護で、人のお世話を受ける時間が増えてきています。
そこで、病気や介護の準備を考える上で目安となるのが、「健康寿命」です。
健康寿命とは、2000年にWHO(世界保健機構)が提唱した概念です。日常的に介護などのお世話にならず、自立した健康な生活ができる期間のことです。平成26年厚生労働省の「厚生科学審議会地方保健増進栄養部会資料」によれば、健康寿命は男性が71.19歳、女性が74.21歳です。よって、ご両親がこの健康寿命の年齢以上になっている場合、今後の準備について話し合いをするようにしましょう。
介護の原因の多くは突然の病気やケガ
介護が必要になる原因の多くは、転倒や脳疾患といった突然の病気やケガです。それも慣れた自宅での事故というケースが多いものです。たとえば、タタミの縁に躓いて骨折ということもあります。
そういった突然の出来事で入院ということになれば、現在までの医療の情報が必要になります。
主な内容として、健康保険証や介護保険証、病歴や入院歴、服用薬の情報です。場合によっては、かかりつけ医やケアマネージャーのことをお知らせすることがあります。そのような時に自分のことであっても、必ずしも正確な情報が伝えられるとは限りません。普段から健康保険証といっしょにメモを用意しておくと、本人以外が答える場合にも助かります。
元気なうちにどんな医療や介護を受けたいかを話し合う
ご両親の入院で「退院後、どうしますか?」とたずねられても、答えをすぐに出せないことがあるでしょう。本人が判断できるうちはいいのですが、どんな選択肢を選ぶのかという行為には、本人のお金やお世話する人の時間的な余裕が関係してきます。
たとえば、公的な介護保険の介護サービスを利用するには、市町村の窓口に申請をし、「要介護認定」を受ける必要があります。認定結果の通知が来るまでには、申請から約1ヶ月かかります。
その後、ケアプランを作る事業者と契約し、事業者や介護施設と介護サービスを受ける契約をします。入院だけでも大変なのに、こんなことまで・・・と途方にくれるかもしれません。
残念なことに、どの事業者を選んだらいいのか、事業者選定の基準までは市町村の窓口では教えてくれません。また、本人に合うかどうかは、周囲の評判だけではわかりません。実際に見学して、その事業所の雰囲気を感じるのが一番です。元気なうちからいろいろな施設を見学したり、情報収集したりしておくことをおすすめします。
お盆で家族が集まる機会に話し合いを
「まだ、元気だから」と老後のことを先送りするのではなく、アバウトでもいいので将来を親子でイメージしておくと、スムーズな行動ができます。身近に頼れる人がいない場合には、健康保険証やお薬手帳の場所、普段飲んでいる薬が置いてある場所を聞いておくだけでも違います。お休みを親子でコミュニケーションをとるいい機会にしてくださいね。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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