23/08/03
健康保険証の廃止で多発「マイナ保険証」トラブルを回避する3つの方法
不具合やトラブルが相次いで見つかっているマイナ保険証。発行済みの現行保険証がまだ利用できるため、まだマイナ保険証に切り替えていないという方も多いかもしれません。今回は、マイナ保険証にどのようなトラブルがあるのかをご説明した上で、今後マイナ保険証がどうなるのか、どのような対策を講じておくとよいかについてご紹介します。
マイナ保険証のトラブルが噴出
マイナ保険証を巡っては、次のような不具合やトラブルが確認されています。
●別人の情報が紐づけられている
マイナ保険証に別人の情報が紐づけられているという不具合が生じています。その数は2021年10月から2022年11月までの間で7300件以上。中には、別人の受診履歴や薬剤情報が閲覧されてしまったというケースもあります。
●マイナ保険証を医療機関で提示しても使えない
マイナ保険証を医療機関で提示しても使えなかったというトラブルもあります。登録データの更新が遅れて「無効・該当資格なし」となったり、カードリーダーの不具合でマイナ保険証が読み取れなかったりしたことが挙げられています。
全国保険医団体連合会が約1万医療機関に調査したデータによると、マイナ保険証のオンライン資格確認システムを運用していると回答した8437医療機関の約65%、5493機関が何らかのトラブルがあったとしています。
発行済みの健康保険証はもう使えなくなる?
政府はこれまでの発行済みの健康保険証を廃止して、マイナ保険証に一本化する方針。発行済みの健康保険証が使えるのは2024年秋までの予定です。
しかし、相次ぐマイナ保険証のトラブルを踏まえて、2023年6月9日に公布された改正マイナンバーカード法において、「発行済みの健康保険証を最大1年間有効とみなす経過措置」が明記されました。この改正によって、2024年秋の廃止から1年後、最大2025年秋までは、発行済みの健康保険証が利用できることになりました。
ただし、国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険証などは有効期限が切れると、2025年秋に至っていなくても廃止されます。発行済みの現行保険証が使えなくなり、マイナ保険証を持たない人が医療機関を受診する際には、新たに発行する「資格確認書」が必要になります。
「マイナ保険証が使えない」トラブルを回避するには?
マイナ保険証への切り替え期限が、最大1年間猶予されたとはいえ、相次ぐ不具合やトラブルが生じている状況を受けて、切り替えに躊躇している方もあるかもしれません。
不具合やトラブルによってマイナ保険証が使えない場合、いったん窓口で医療費を10割負担しなくてはならない可能性もあります。
そこで、以下のような対策を講じて、いざという時に保険証が使えないという事態を回避しておきましょう。
●現行保険証を廃棄しない
改正マイナンバーカード法の附帯決議でも「健康保険証の廃止に伴う医療現場などの影響・混乱を極力防ぐため、発行済み健康保険証を廃棄しないよう、周知徹底すること。」という文言が明記されています。マイナ保険証に切り替えた後も、今後も起こり得る不具合やトラブルに備えて、システムが安定するまでは、現行保険証も廃棄せずに携帯しておくことが望ましいといえます。
●資格確認書について知っておく
マイナ保険証への切り替え期限後も、マイナ保険証に切り替えていない人は保険証代わりとなる「資格確認書」によって医療機関での保険受診ができるとされています。当初は発行希望者自ら申請を行う方向で議論が進められていましたが、その後申請がなくても発行される方向で検討が進められています。
その他、資格確認書の「有効期限は最長1年」、「自動更新はしない」、「更新時の発行手数料の有無」等々について、詳細についての議論が行われています。何らかの理由でマイナ保険証に切り替えないと考えている方は、資格確認書が今後どうなるのか確認しておきましょう。
●マイナ保険証の管理を徹底して、なくさないようにする
マイナ保険証に限らず、マイナンバーカードには、顔写真付きで住所が記載されている上、様々な個人情報が紐づいています。マイナンバーカードを紛失してしまったり、マイナンバーカードの暗証番号をうっかり知られてしまったりすれば、悪用されてしまう可能性もゼロではありません。また、マイナンバーカードの紛失の際には再発行手数料がかかりますし、受け取るまでに1~2か月程度時間を要します。その間、マイナ保険証の利用はできません。悪用などから身を守るためにもマイナンバーカードの管理徹底を心がけましょう。
まとめ
新しい制度にトラブルや不具合は付き物とはいえ、いざという時に保険証が使えないのは困ってしまいます。今後、トラブルや不具合の検証が進み、システムは次第に安定していくものと思いますし、マイナ保険証への切り替え期限までには、まだ時間があります。
マイナ保険証に切り替えた後も現行保険証を廃棄せずに携帯し、保険証が使えないという事態を回避しておきましょう。また、自らマイナンバーカードの管理徹底を図るとともに、マイナ保険証に切り替えをしない方は「資格確認書」についても今後の動きを確認しておく姿勢を忘れないようにしておきましょう。
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キムラミキ 株式会社ラフデッサン 代表取締役
AFP・社会福祉士・宅地建物取引士。外資系生命保険会社、マンションディベロッパーの営業を経て独立。現在は、就労移行支援事業所Fine米子オフィス(うつや発達障がいのある方の就労サポート施設)の運営に携わり、経済的自立をしたいと考える方のサポーターとして活動中。得意分野はライフプラン、キャリアプラン、生命保険、不動産。BSS山陰放送ラジオパーソナリティ歴10年以上の顔も持つ。
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