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17/06/21

相続・税金・年金

遺言が必要な人とは? どんな場合に遺言が必要?

遺言は、生前に作成しておき、自分が死んだ後の財産をどのようにするかを伝えるものです。その形式については、民法に厳格な要件が定められています。人が死ぬと、死んだ人の財産を身近な一定の人などに引き継がせますが、それを「相続」といいます。

遺言について知っておくべき基礎知識

遺言は満15歳かつ意思能力があれば、父や母などの法定代理人の同意なしにひとりで遺言をすることができます。ですから、法定代理人の同意がないことを理由に遺言を取り消すことはできません。また、高齢者の問題が取りざたされますが、遺言をするときに意思能力があれば、その後認知症などで意思能力を失ったとしても、その遺言が無効になることはありません。

法律では、死んだ人(「被相続人」といいます)が要件を備えた遺言書を遺していれば、遺言書に記載されている受取人がその通りに引き継ぎ、遺していなければ法律上決まった親族が決まった割合で引き継ぎます。
法律上決まった親族のことを「法定相続人」といいます。相続においては、遺言書があれば遺言に従うので、遺言書は自分の思いを実現させたいときには有効です。

さらに遺言をするためには、ほかの法律行為と違い、物事に対する一応の判断ができる程度の意思能力があればよいことになっています。

では、どんな場合に遺言が必要なのでしょうか。
一つ目は、内縁や事実婚の夫もしくは妻、お世話になった人や団体など、民法で定められた相続人以外の人へ財産を遺したい場合です。
二つ目は、子どもがおらず、全財産を配偶者にあげたい場合や特定の財産を相続させたい場合があります。相続人の相続分は一定のきまりがありますが、遺言者は自由に相続の割合を指定することができます。



遺言書がない場合の取り扱いと遺産分割

ところで、遺言書がない場合のために、民法には法定相続分が定められています。相続人が法律で決まった相続分どおりに引き継ぐのではなく、ほかの割合で引き継ぎたい場合は、相続財産をどう分けるかを相続人間で話し合うことになります。
近年、その財産をどう分けるかという遺産分割の話し合いがこじれて、裁判所に持ち込まれるケースが増えています。
「平成24年度司法統計」(最高裁判所)によれば、家庭裁判所への相続に関する相談件数は、この10年で約1.9倍に増加しています。

また、金額面においては、平成19年に扱った遺産分割事件を見てみると、5000万円以下の事件が全体の73.1%にのぼっています。(最高裁判所家庭局「遺産分割事件等の審理について」)財産の額が少ない場合に、もめる場合が多くなっていることが分かります。相続の争いごとが、相続財産の額に関わらず起きていることがお分かりいただけるでしょう。

「争族」としないための遺言の活用

つまるところ、遺言は相続人ではない場合や法定の割合ではない分け方をして財産を遺したい人や、特定の財産を相続させたい場合を考えている人には必須のものです。

しかしながら、高齢で相続する場合には、認知症で遺産分割の話し合いができないことが問題となっています。また、相続する子どもの数が少ないことで「骨肉の争い」に発展するケースもあります。相続を「争族」としないために、紛争を事前に予防したい場合には遺言書がその効果を発揮します。

一般的には、遺言書は資産家だけが必要というイメージかもしれませんが、「相続財産が住んでいた土地と家だけ」という場合にこそ必要だということを、心にとめておくべきでしょう。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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