17/04/22
老後の生活には1億円必要だけど、普通の人は大丈夫!?
「老後の生活には1億円必要だ」と言われています。 60歳の女性の平均余命は、約29年ですが、これは平均ですから、平均より少し長く生きた場合に備えて老後資金の計画を立てる必要があります。
毎月の生活費が 25万円だとすると、年間300万円、平均余命にプラス3年して32年分で計算すると、9600万円必要になります。これに、万が一に備えた蓄え(何もなければ、葬儀費用として相続される予定)」として400万円を加えると、1億円になるのです。
1億円必要は真実だが、1億円を貯める必要はない
1億円持っている人は少ないでしょうから、心配に思っている読者も多いでしょう。しかし、冷静に考えてみましょう。
世の中に1億円持っている人は、それほどいないのに、世の中の高齢者は(少数の例外を除いて)何とか暮らしています。つまり、普通の人は大丈夫なのです。心配しすぎは体の毒ですから、以下を読んで、安心して下さい。
自営業者は、本当に人それぞれですから、コメントは難しいのですが、自営業者には定年が無いので、元気な間は何歳になっても働けます。
「早い段階で要介護となり、そのまま長生きをした」といった不運な場合を別にすれば、元気な人ほど長生きをするが、その分だけ長く働けるので、「老後」はそれほど長くないと考えて良いでしょう。頑張って働きましょう。それから、自営業者は会社員や公務員に比べて年金が充実していないので、その分だけ貯蓄しておく必要がある事には注意して下さい。
ちなみに、自営業者は40年間年金保険料を払い続けた場合で、老後の年金が夫婦合計で13万円程度です。会社員は、年収などにより異なりますが、標準的なケースで夫婦合計22万円ほどの年金が受け取れるとされています。
会社員は定年までに2000万円貯めればなんとかなる
会社員は、夫婦合計で22万円の年金が受け取れるとすると、毎月の生活費を25万円として、不足分は3万円です。年間36万円ですから、32年間で1152万円になります。これに万が一のための資金400万円を加えて、1552万円あればなんとかなると試算できます。
前提として、退職金で住宅ローンなどをすべて返済し、退職後も65歳までは仕事を続けて生活費を稼ぐ(退職金を減らさない)ならば、何とかなりそうです。
年金については、少子高齢化で年金財政が苦しくなっていくので、少しずつ減額されていくかも知れません。そう考えると、上記よりは少し多めに貯蓄しておきたいですが、それでも2000万円あれば、一応安心と考えて良いでしょう。
主婦も、出来るだけ働きましょう
上記が概要ですが、如何でしたか? チョッとでも不安に思いましたか?
その場合、読者が専業主婦であれば、働く事を考えましょう。
「サラリーマンには専業主婦」というのは、高度成長期に洗濯機も掃除機もコンビニも無い中で、4人も5人も子育てをしていた時代の話です。幸い、これからは労働人口が減り労働力不足の時代に突入しますから「1日4時間しか働けない」という人でも働き口は簡単に見つかるでしょう。それで老後の不安が和らぐなら、素晴らしい事でしょう。
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塚崎 公義 経済評論家
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先とは関係なく個人として行っているため、肩書きは経済評論家と記す。
「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由」など著書多数。
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