21/02/23
給与のデジタル払いが2021年から解禁へ!銀行のメイン口座はどこにすべきか
2021年の春から、企業は従業員への給与を、スマートフォンの決済アプリなどにデジタル払いできるようになる予定です。では、もう銀行は使わなくなってしまうのでしょうか。今回は、デジタル払いが解禁になることで、改めて考えたい銀行口座についてお伝えします。
給与のデジタル払いとは?
給与は月に1回、銀行口座で受け取るようにしている人がほとんどでしょう。
労働基準法第24条によると、毎月の給与は「(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて」支払わなければならないと規定されています。これを賃金支払いの5原則といいます。
これを改正し、給与をデジタル払いできるようにするほか、週払いなど、より弾力的な支払いも認めることが検討されているのです。
給与のデジタル払いができるようになると、給与をスマートフォンの決済アプリ、たとえばPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、メルペイなどで受け取れるようになります。
今までは、給与は銀行口座に振り込まれていたので、そこからスマートフォンのアプリにチャージしてから支払いに利用する、といった手間がかかっていました。
しかしデジタル払いで給与が直接アプリで受け取れれば、いつも使っているアプリに直接お金が入るので大変スムースです。そのうえ、決済アプリを利用するとポイントが付いておトクなので、毎日のように利用している人も多いのではないでしょうか。
また、デジタル払いは企業にとってもメリットがあります。
銀行口座に振り込むには手数料がかかりますが、デジタル払いにすることによってコストの削減が可能です。そのため、給与の週払いや日払いなどもしやすくなります。
また、銀行口座を持っていない外国人労働者への給与支払いにも対応できます。
これらを考え合わせると、デジタル払いが今後普及していく可能性は大いにあるでしょう。
銀行口座は必要?
一方で、危機感を強めているのが銀行です。銀行はこれまで、給与振込を前提にさまざまなサービスを提供してきました。顧客の銀行口座で収入の金額を把握し、商品を勧めてきたからです。
たとえば、定期預金やクレジットカード、投資信託などは、銀行としてはお金をたくさん持っている人に利用して欲しいですよね。また、ライフプランに合わせて、保険や住宅ローン、教育ローンなどの金融商品を勧めることもあります。
このような金融商品の顧客は、もともと給与の受け取りのために口座開設をしたことがきっかけになっていることが少なくありません。
これまで銀行にとって新規顧客は、新年度になれば自動的に増えるものでした。就職したり、進学して新しいアルバイトを始めたりすれば、口座開設するものだったからです。
しかし、今後は銀行も変わっていかなくてはならないでしょう。長引く低金利により、本業の貸付で利益を上げにくくなっていることに加え、デジタル払いが本格的に導入されれば顧客の減少につながりかねません。
そのため、新しいサービスが生まれる可能性があります。しばらくは状況を見て銀行の比較をしていきたいですね。
銀行は貯蓄・決済に有利なサービスがあるかで選ぶ
給与のデジタル払いが解禁になっても、原則として銀行口座への振込とデジタル払いの併用になる見込み。たとえば、35万円の給与のうち、30万円は銀行、5万円はアプリという具合です。したがって、銀行がすぐになくなってしまう、というほどの大きな変化はなさそうです。しかし、銀行は消費者にますます選ばれるようになっていくでしょう。
私たちが銀行のメイン口座を選ぶポイントは、貯蓄・決済に有利なサービスがあるかどうかで変わってくるでしょう。
たとえば金利は、一般的にインターネット銀行のほうが高いことが多いようです。普通預金でも一定の条件をクリアしていると高金利になるイオン銀行や、短期の定期預金金利が有利なオリックス銀行は魅力的です。
また、利用する決済アプリと相性のいい銀行を選ぶことも大切。口座からチャージをしたり、アプリの残高を口座に移したりすることがスムースに、手数料がかからずにできると便利です。
決済アプリはもともと少額の支払いや送金を想定しているので、貯蓄や資産形成には向きません。支払いはアプリ、貯蓄は銀行、と分けて考えるといいでしょう。銀行であれば、万が一破綻しても、預金保険制度によって1000万円までは補償されるセーフティネットがあります。
有利な銀行口座を選べるよう、今から情報を集めていきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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