23/08/20
50代お金のダメ習慣7選 当てはまれば「老後破綻」の末路
「収入が増えない」「貯金が貯まらない」「このままでは老後の資金が用意できない」…みなさんもこういった不安を持っているのではないでしょうか。人生にはお金の貯め時が数回あります。子どもが手を離れる50代もそのひとつで、お金の貯め時と言えますが、お金の習慣を改善しなければ、老後貧乏に陥る可能性もあります。今回は50代にありがちなお金のダメ習慣について7つご紹介します。
50代のお金のダメ習慣1:会社にいれば老後は安泰だと考えている
50代よりも上の世代は年功序列の賃金制度で退職金の水準も比較的高かったため、逃げ切り世代とも言われています。老後の資金は公的年金と会社の企業年金で乗り切った先輩方の背中を見て、自分も会社の企業年金があるから安心という印象を抱きがちなのが、特に大企業にいる50代の管理職の方たちです。
50代の方は、今高い収入があるからといって、この先もずっと収入が保証されているわけではありません。通常、給与収入は50代後半で頭打ちとなり、下降線となることがほとんどです。さらに突然、職を失ってしまうことだって十分に考えられます。ところが、今の50代の中にはそうしたリスクには目を向けようとせず、老後資金を増やす努力を怠ってしまう方がいます。
2022年度の生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後を過ごすための平均額は月額約38万円(37万9,000円)となっています。一方、厚生労働省が発表している夫婦二人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は約23万円(22万4,482円)です。ゆとりある老後生活を送るためには、年金額だけだと1か月あたり約15万円、年間で180万円ほど足りないことが分かります。
言い換えれば、自分で老後資金を準備する必要性があるということ。つまり、会社が何とかしてくれるという考えはやめて、老後に向けた資金計画を早くからたてておくことが大切です。
50代のお金のダメ習慣2:老後のために一気にお金を増やそうとして失敗する
今まで投資経験がなかったにもかかわらず、投資で老後のためのお金を一気に増やそうとして失敗するケースも、老後破綻の原因となります。
特に、現役時代に投資や資産運用に縁遠かった方は要注意です。そのような方が、退職金などのまとまったお金を手にして、一括投資で資金を増やそうとすることはおすすめできません。退職金は一度に多額のお金が手に入るため、その額に勘違いしてしまいがちですが、老後資金の計画を立てる際には、大きな利益を得て豊かな老後を目指すよりも、大きな損失を避けることが最優先です。この観点から、一度に多額の投資をするよりも、何度かに分けて少しずつ投資する方が安心です。
投資経験が全くない場合、株価の不合理な動きに経験がないため、株価の変動によって感情的に判断を誤る可能性が高くなります。株価の動きは予測不可能であり、特に理由もなく急落することもあります。こうした状況下で投資に慣れていないと、安易に売却してしまう可能性もあります。
現役時代から長期的な投資経験があれば、株価の暴落に対する「免疫」ができているため、安易に売却してしまうリスクは低くなるでしょう。このような点を考慮すると、現役時代から少しずつでも投資を始めておくことが望ましいです。これにより、退職時に焦って一気に大量の投資をする必要がなくなり、退職時の株価が高かったとしても老後破綻を避けることができます。
50代のお金のダメ習慣3:会社の定年後も住宅ローン返済を続けるつもり
会社の定年後も住宅ローン返済を続ける方は多いです。例えば、40歳のときに30年ローンを組んで60歳で定年退職を迎えたときにあと10年分ローンが残っているという方は多いでしょう。残り期間に差はあるものの、定年後も住宅ローンの返済が続く人は大勢います。
しかし、「思ったように退職金がでなかった」、「定年後の再雇用がなかった」などの事情から住宅ローン返済で苦しむ方が増えてきています。通常、多くの銀行でマイホーム購入時に利用する住宅ローンは、完済時の年齢上限が80歳前後に設定されており、住宅ローン完済の時の年齢が高く設定されているケースが多いのです。さらに今の50代が若いころは「結婚して、子供を持って、マイホームを買ったら一人前」というのが世間の常識だったため、多少無理しても見栄や世間体を重視して、高額な住宅ローンを組んでいることも大きな原因のひとつと考えられます。
一般的に定年後は現役時代よりも収入が不安定になります。そんな不安定な中では、十分な貯蓄がない限り何かしらのアクシデントが起こると、すぐに住宅ローンの返済が難しくなります。老後は健康問題や自宅の老朽化などで思いもよらぬ出費が発生しがちです。どれだけ入念に老後の計画を立てていたとしても、残念ながらなかなか計画通りには進みません。 なるべく定年後は住宅ローンを払わずにすむように繰り上げ返済を積極的に行うことをお勧めします。
それでも老後破綻で住宅ローンが払えなくなったときの検討事項は、シンプルに「自宅を売却するかしないか」です。定年まで住宅ローンを払い続けてきた方の多くが、完済まで10年を切っていることが多く自宅を手放したくない気持ちも強いでしょう。ですが、収入が回復する見込みがある、親族からの支援が受けられるといった条件が満たせない場合は、自宅を売却することも念頭に置いたほうが根本的な解決にはつながりやすいです。
50代のお金のダメ習慣4:子どもの教育資金にお金をかけすぎている
お子さんがいて、貯金ができないあるいは赤字の月が多いご家庭は、教育費をかけすぎている傾向があります。「やっぱり子どもの教育費は聖域」という方は多いでしょう。子どもにしっかりと勉強をさせて、大学まで行かせてやるのが親の務めで、そのためなら私たち親の老後の資金を少しぐらい削っても仕方がないと考える方が大半だと思います。
たしかに、教育費は節約が難しい費目です。子どもの将来を考えるとなかなか削ることができません。特にその傾向は所得が増えるほど高まり、子どもの教育費に毎月10万円以上費やしている家庭もあります。その結果、貯金ができず、場合によっては家計が赤字になっていることもしばしばです。そうした赤字は、ボーナスなどの臨時収入で埋め合わせて何とかやりくりしている。このようなご家庭も多いのではないでしょうか。
老後の資金を貯めるために、子どもの教育費をすべてカットしなさい、と言っているわけではありません。肝心なのはバランスです。習い事、塾通い、通信教育、模試など、本当に必要なものかどうか考えていますか。ただ何となくとか、周りもやっているからといった理由で出費しているものはありませんか。勉強のためだから、受験のためだからという理由で、あまり吟味せずに無駄に使ってしまっているかもしれません。まずはそれから見直してみましょう。場合によってはお子さんと一度、いまの習い事や塾通いが本当に必要かどうかを話されるといいでしょう。
老後の資金は、子どもを大学に行かせてから考えればいいというのではなく、子どもには最低限必要な教育を受けさせながら、同時に老後の資金も貯めていく心づもりが大切です。過剰になっている教育費を見直せば、必ず「収入-支出」の差分が生まれるでしょう。
50代のお金のダメ習慣5:収入に合わせ生活費をダウンサイジングできていない
意外に思われるかもしれませんが、年収が高い人ほどお金が貯まりにくく、年収の少ない人のほうがこつこつと貯蓄を増やしている傾向があるというのが実際です。
一般的に生活費などの家計支出は収入の多さに比例しています。毎月の収入も多い人は生活費の支出も多く、反対に収入の少ない人は支出も少ない傾向にあります。年収が高い人ほど周りのライフスタイルにあわせて高額な家や車を所有したり、子供の塾や習いごとに多額の費用をかけたりすることにより、十分な貯蓄をおこなえないまま老後を迎えてしまう人も多いのです。
自分の収入に見合った金銭感覚が身についていくのはごく自然のことです。しかし収入が安定的に入ってくる間は良かったとしても、年金生活に入った後も同じような金銭感覚をしてしまうと予想外の落とし穴が間違っていることもあります。収入が減っているにも関わらず生活レベルが落とせなくなります。その結果家計が回らなくなり子供からの仕送りや借金に頼らざるを得なくなるパターンもあるのです。
50代の浪費はそのまま定年後の自分を追い詰めることにつながり、老後破綻のリスクを高めてしまいます。高級スーパーで買い物をする、旅行に頻繁に行く、外食が好きなど、浪費癖がある人は暮らしの見直しをして、削れそうなものは今のうちに削減しましょう。
50代のお金のダメ習慣6:親の介護も気になるため、早期離職を考えている
50代といえば、地方に住んでいる親も高齢になるため介護離職を検討している方も多いかと思います。厚生労働省の「雇用動向調査」によると2021年に介護・看護を理由に退職した人は約9.5万人。そのうち男性は約2.4万人、女性は約7.1万人です。女性の方が圧倒的に多く、負担が女性に片寄っていることがわかります。
介護期間は予想ができないため、思った以上に長くなり、費用がかかることがあります。そのため介護離職をしてしまうと、親子共倒れになることもあります。また介護が終わって自分が老後生活になった時に、老後資金が足りなくなったり、年金の受給額が少なくなったりすることもあります。
親の面倒は自分がみたいとか、兄弟がいなくて自分しか面倒をみる人がいないなどの事情もあるでしょう。その場合、仕事をやめて介護に専念したい気持ちもわかります。しかし、「介護離職」をしてしまうと親子共倒れになってしまう可能性があります。また介護が終わって、気がつくと自分の老後の生活が破綻となりかねません。
介護離職を避けるための方法として雇用保険の「介護休業給付金」の制度を活用することをおすすめします。また、高齢者の介護・医療・福祉など総合的に支援してくれる相談窓口の地域包括支援センターも活用を検討してみるのもよいでしょう。地域包括支援センターでは、専門のスタッフが介護サービス、日常生活支援などの相談に応じてくれます。
介護は、一人で抱え込んでしまうと自分を追い込んでしまうものです。介護の負担を軽くしてくれる情報やサービスを教えてくれる人、話を聞いてくれる人がいます。介護は、できるだけ自分1人で抱え込まないようにするのが大切です。まずは、介護離職する前にまずは活用できるサービスがないか相談をしてみることをおすすめします。
50代のお金のダメ習慣7:熟年になってからの離婚を考えている
熟年になってから離婚するケースも年々増えています。厚生労働省「離婚に関する統計の概況」によると、離婚した夫妻の同居期間が「20年以上」の割合が年々増加しており、2020年で21.5%となっています。別居など事実上の離婚状態の家庭も含めると熟年離婚の数は増えているものと思われます。この年齢層の夫婦の場合、夫に我慢に我慢を重ねて耐え続けてきた妻が、夫の定年退職など何らかのきっかけで一気に爆発する傾向があります。
改正年金分割法の施行も離婚件数の増加に大きく関わっていると考えられます。子供が成人して離れていき、金銭的な補助制度があるなら、残りの人生を自由に生きようと考える方が多いのも頷ける話です。しかし、実際に離婚したあとの生活や一人で余生を過ごすことについて深く考えていない人も多く、金銭的に不安な面が残ります。
例えば、会社員の夫と専業主婦の妻が別れた場合、夫の厚生年金を分割する手続きを行わなければ、受け取れる年金は妻自身の国民年金だけであり、40年間支払っても月6万円程度となります。このままでは実際に離婚したあとの生活は厳しいものとなるでしょう。 仮に離婚時の年金分割制度を利用できたとしても、受け取れるのは婚姻期間中に支払った分の厚生年金だけであり、老後の生活費を賄うには不足する可能性があります。
このように、経済力や貯蓄が不足している状態で離婚してしまうと、老後における経済的な問題が生じる可能性が高まります。特に、専業主婦やパート、自営業などで収入を得ている方々にとっては、受け取ることができる年金の額が月数万円程度となるため、注意が必要です。熟年離婚は、老後破綻のリスクが高いことを念頭に置く必要があります。
まとめ
50代といえば、子供の大学進学で学費、仕送りの負担が増える一方で、そろそろ住宅ローンも終盤にさしかかる頃にあたります。また、親の介護がはじまる方もいらっしゃいます。50代はなるべく節約して支出を抑えることを意識するとともに、自分たちの老後の生活を具体的にイメージし、今後の暮らしを見据えて家計の見直しを行いましょう。
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KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
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