17/04/26
もらえる年金は一体いくら!? 公的年金の基礎知識
日本の年金制度は3階建てだと言われます。1階部分は、居住者が原則として全員加入する国民年金です。2階部分はサラリーマン(サラリーウーマン、公務員等を含みます。以下同様)が加入する厚生年金です。ここまでが公的年金です。3階部分は、各企業が独自に設定する企業年金などです。
本稿では、1階部分と2階部分について解説していきましょう。
国民年金は40年間払えば、65歳以降は毎月6.5万円もらえる
1階部分の国民年金は、40年間保険料を払い続けていれば、65歳以降、毎月約6.5万円が受け取れます。夫婦二人で13万円ですから、それだけで生活するには苦しいですが、老後資金の大きな柱の一つとなるものです。
年金保険料の払い方は働き方によって違う
原資は現役世代の払った年金保険料ですが、現役世代は3つのグループに分けられます。第一は、自営業者等で、自分で年金保険料を納める必要があります。第二はサラリーマンで、厚生年金保険料が給料から天引きされる事で、国民年金保険料も支払ったものと見なされます。第三はサラリーマンの専業主婦で、夫が厚生年金保険料を支払った事で、自分も国民年金保険料を支払ったと見なされます。
「自営業者は共働きが普通なので、夫婦が二人とも国民年金保険料を納める必要があるが、サラリーマンは専業主婦を養っているのが普通なので、サラリーマンの専業主婦は国民年金保険料を支払う必要がない」、という事なのでしょうが、高度成長期に出来た制度なので、今の実情に合っていませんね。改正して欲しいです(笑)。
厚生年金は、標準的なサラリーマンであれば毎月9万円もらえる
1階部分の年金支給額が全員一律に約6.5万円(40年間保険料を払った場合)であるのに対し、2階部分の厚生年金は、サラリーマンが年収に応じて年金保険料を払い、それに応じて年金を受け取る、というものです。現役時代の収入が高かった人は生活水準が高いだろうから、老後の年金も多い必要があり、そのためには現役時代に多額の保険料を払ってもらおう、という事です。
標準的なサラリーマンは、老後に毎月9万円程度の年金が受け取れるという事ですから、夫婦の国民年金と合わせると22万円程度となります。ちょっと不足気味ですが、生活できない金額ではありませんね。
「サラリーマンの専業主婦」でなくなった場合に備える
女性の場合、特に気をつけたいのが「サラリーマンの専業主婦」になったりならなかったりする事です。パートで働いても、年収が130万円(場合により106万円)以下ならば、専業主婦として扱われますが、130万円を超えると、年金保険料等の支払い義務が生じます。そこで、短期的には「働きすぎて損をした」ような気になりますが、厚生年金に加入できれば老後に受け取れる年金が増えますから、「長生きとインフレのリスクに備える」という意味では、積極的に130万円を超えて働く選択肢も要検討です。
今ひとつ、夫がリストラされたり起業したりした場合、あるいは離婚した場合など、「サラリーマンの専業主婦」でなくなった場合には、自分で年金を払いに行く必要が出て来ます。届け出を怠っていると将来年金が受け取れないかも知れませんので、ご注意下さい。
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塚崎 公義 経済評論家
1981年東京大学法学部卒後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先とは関係なく個人として行っているため、肩書きは経済評論家と記す。
「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由」など著書多数。
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