23/08/15
新NISA「成長投資枠」で投資できない投資信託があるのはなぜ?
2024年1月から新しいNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が始まります。
旧NISAとの変更点は、投資上限金額がアップしたり、非課税期間が無期限になったりと、今まで以上に、投資が資産形成の方法としてとり入れやすくなります。
ただし、投資対象の金融商品には制限があります。なぜ、投資できない投資信託があるのでしょうか。
新NISAの投資対象は?
旧NISAには、「つみたてNISA」と「一般NISA」があり、どちらかを選ぶことになっています。
2024年に新NISAに切り替わると、「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」に、「一般NISA」は「成長投資枠」として、併用して利用することが可能です。
年間の投資額は、つみたて投資枠には120万円まで、成長投資枠には240万円までと旧NISAより大幅にアップ、非課税期間は無期限になります。
そして、それぞれに投資対象が定められます。
つみたて投資枠の投資対象は、つみたてNISAの対象商品を引きつぎます。すなわち、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託として、金融庁の基準をクリアしている投資信託、もしくはETF(上場投資信託)に限られます。
成長投資枠については、2023年6月、一般社団法人投資信託協会から、新NISAの成長投資枠の対象商品約1000本が公開されました。新NISAの成長投資枠では、上場株式や投資信託、ETF、REIT(不動産投資信託)などを購入できます。ただし、投資信託には投資対象から除外されるものがあり、すべての投資信託が購入できるわけではありません。
除外されるのは、次の投資信託です。
①信託期間が20年未満の投資信託
②高レバレッジ型の投資信託
③毎月分配型の投資信託
なぜ除外商品があるの?
NISAは運用益が非課税になるメリットがあり、個人の資産形成を貯蓄から投資へと意識と行動を変えていく狙いもあります。
そのため、すでに投資をしている人だけではなく、まだ投資をしていない貯蓄オンリーの人も呼び込める制度にしていくことが必要です。
投資をしない理由はさまざまだと思いますが、やはり共通するのは元本保証ではないことや、金融や投資そのものがよくわからないことのようです。
日本証券業協会の調査によると、証券投資が必要とは思わない理由の上位3つは、「損する可能性がある」との回答が43.7%、「金融や投資に関する知識を持っていない」が30.2%、「ギャンブルのようなもの」が28.2%、となっています。
●証券投資が必要とは思わない理由(複数回答)
日本証券業協会「証券投資に関する全国調査(2021年)」より
そこで、新NISAの成長投資枠の投資対象についても、これらの不安解消につながるような商品が選ばれます。
さきほどの、除外される投資信託の理由を考えてみましょう。
●①信託期間が20年未満の投資信託
→信託期間とは、投資信託の運用がスタートしてから終了するまでの期間のことです。多くの投資信託では、信託期間が無期限になっています。ただ、中には信託期間が定められている投資信託もあります。あらかじめ信託期間が決まっていると、長期にわたる資産形成ができなくなってしまいます。
長期にわたって運用をすることで、短期的には損失が出ても長期的には経済成長とともに値上がりしやすい傾向があります。じっくり運用して大きな損失を出しにくい商品が選ばれます。
●②高レバレッジ型の投資信託
→高レバレッジ型の投資信託は、少ない金額で資産運用して、何倍もの投資成果を狙う投資信託です。高レバレッジの商品は、思惑通りに値動きして利益が出れば高いリターンが得られますが、思惑に反したときに損失も大きくなるハイリスク商品で、ギャンブルに近いと言えます。手堅い投資をするなら、避けたい商品です。
●③毎月分配型の投資信託
→毎月分配型の投資信託は、毎月決算を行い、投資家に分配金を支払う投資信託です。
分配金は利益が出ればそこから支払われますが、利益が思うように出なかったときや損失が出たときでも、元本を取り崩して分配金として支払ってしまいます。元本が減るので長期の資産形成には向きませんし、元本が減ると、その後に運用益が出てもリターンが少なくなります。
新NISAの成長投資枠では、このような損失が大きくなりがちな商品があらかじめ除外されているので、特別な知識がなくても、比較的安心して投資がスタートできるというわけです。
お金を増やしてくれる投資信託を探そう
成長投資枠の対象となる投資信託は、今後月1回くらいのペースでリストが更新される予定。最終的には2000本程度になる見通しです。新NISAで成長投資枠の活用も考えている方はしっかりチェックして、お金を増やしてくれる投資信託を探しましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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