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21/11/04

資産運用・経済

2022年4月から東証の市場区分が変更! どう変わる?どんな影響が出る?

東京証券取引所(東証)の市場区分が、2022年4月から変更されます。現在5つある区分から3つになり、それぞれの上場基準も変ります。
区分が少なくなり、区分ごとの特徴もわかりやすくなるので、個人投資家にとって、銘柄選びがしやすくなると言えるでしょう。海外の投資マネーを呼び込む効果も期待され、市場が活発になると考えられます。
今回は、東証の市場区分変更についてお伝えします。

どうして変更するの?

東証の市場区分は、大きく5つあります。
それぞれの区分ごとに、特徴的なイメージを持っている人も多いでしょう。

●東証の区分(2022年3月末まで)

筆者作成

東証1部は大企業。全国規模の企業で、海外にも進出しているような大手、といったイメージです。優良企業で安定した収益を上げ、安心して投資できそうです。
東証2部は中堅企業です。東証1部ほどの規模はないけれど、しっかり収益を上げている優良企業のイメージです。
そしてジャスダック(スタンダード)、ジャスダック(グロース)、マザーズは、どれもスタートアップ企業などと呼ばれる成長企業が上場しています。

いずれも今後の日本経済を支えるかもしれない、有望な企業。成長を期待できる企業を探すのも、株式投資の楽しみのひとつです。

しかし、そのようなイメージが実態と異なることが出てきています。
たとえば、東証1部、2部の上場企業であっても、時価総額が下がっていたり、ガバナンスの透明性に懸念があったり、株価の下落につながる要素を持つ企業が含まれています。
つまり、東証1部、2部の上場企業だからといって、安心して投資できるとは限らないということです。

また、成長企業の市場、ジャスダック(スタンダード)、ジャスダック(グロース)、マザーズは、それぞれの違いが分かりにくいのではないでしょうか。
そもそも、なぜ分かれているかがよくわからない、という人も少なくないと思います。

このような課題は、新しい区分編成で解決されるでしょう。新しい3つの区分は、より実態を反映したわかりやすい区分になります。

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具体的にどう再編される?

2022年4月から、東証の市場は3つの区分に再編されます。3つの区分とは、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場です。
市場は区分ごとに上場基準があり、それを満たさないと上場できません。

●プライム市場

プライム市場は、3つの市場のなかでもっとも厳しい上場基準の市場。個人はもちろん、プロの機関投資家も安心して投資対象にできるだけの流動性・ガバナンスを兼ねそろえた安定企業が上場します。

・プライム市場の上場基準、東証1部との違い

筆者作成

東証1部と主な基準を比べてみると、株主数は2200人以上から800人以上と少なくなりますが、流通株式時価総額は10億円以上から100億円以上と10倍です。
つまり、株主は少なくてもよいが、市場で売買されている株式=流通株式が多くないといけないということです。

いくら株式総額が多くても、自社や親会社、役員が保有している株ばかりでは、売買されず投資家にとっては魅力がありません。企業にとっては、株価は安定しますが大きな成長はしにくくなってしまいます。活発な売買によって、企業がより国際的な競争力のある経営へと後押しされることでしょう。

プライム市場は、多くの東証1部企業が移行すると考えられますが、基準を満たさない企業も少なくないと見られています。

●スタンダード市場

スタンダード市場は、一般投資家が円滑に売買できる流動性を備えた銘柄が上場する市場です。同時に基本的なガバナンス・収益基盤を兼ね備えていることも求められます。
東証2部とジャスダック(スタンダード)の上場企業が移行すると考えられます。
また、プライム市場の基準を満たさなかった東証1部企業も含まれるでしょう。

・スタンダード市場の上場基準、東証2部・ジャスダック(グロース)との違い

筆者作成

流通株式の考え方はプライム市場と同様です。収益基盤の基準は、最近1年間の利益1億円以上とシンプルになりました。株主の期待に応える経営努力にさらに注力できると考えられるでしょう。

●グロース市場

グロース市場は、将来性、成長性のある企業向けの市場。ジャスダック(グロース)、マザーズの上場企業が移行すると考えられます。形式的な基準は決して厳しいものではありません。

・スタンダード市場の上場基準、東証2部・ジャスダック(グロース)との違い

筆者作成

ただし、事業計画の合理性、企業経営の健全性、公益性はしっかり判断されることになります。成長企業は、相対的にリスクは高くなります。そのため、数字に表れないことも重視された上場基準になっています。

市場や株価に与える影響は?

企業株式市場に上場する大きな目的は、投資家からの資金調達です。
そのためには、市場がわかりやすいことも必要でしょう。

わかりにくいことのひとつに、上場基準と、上場廃止基準の違いがありました。これまでは、2つの基準は異なっており、上場基準より上場廃止基準はゆるやかでした。
つまり、いったん上場すれば、その後業績悪化などで上場基準を満たさなくなっても、上場廃止基準をクリアしていれば上場し続けることができたのです。これでは市場のクオリティが下がってしまいます。

今後は、上場基準と上場廃止基準は同じになり、わかりやすくなります。世界中の投資家から注目される市場になることで、株価はより企業の価値を適正に反映するようになるでしょう。

また、TOPIX(東証株価指数)も変わります。TOPIXは東証1部上場の全銘柄を組み込んだ株式指数です。しかし今後は、流通株式時価総額が100億円未満の企業は段階的に除外されます。
TOPIXから除外されれば、インデックスファンドの投資企業からも外されることになり、その結果企業の株価は下落することもあり得ます。

まとめ

今後の株式投資、投資信託選びでは、各企業がどの市場に上場するのかに注目です。市場の再編は2022年4月ですが、すでに企業による新しい市場区分の選択申請は始まっています。
企業は、どの市場に申請を出すかプレスリリースなどで発表しているところもあります。

市場区分の公表は2022年1月の予定です。
公表をきっかけに株価が大きく動くことも予想されます。情報は早めにキャッチして、今後の投資戦略に生かしていきましょう。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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