21/08/27
貯蓄と投資の割合はどのくらいがよいのか
iDeCoやつみたてNISAなど少額から始められる投資の制度が注目を集めていて、投資をスタートする人が増えているようです。しかし、いざ投資しようといっても、いったいいくらから始めたらいいのかわからない人もいるでしょう。今回はこれから投資を始める人が、いくらから始めたらいいのか、貯蓄と投資の割合を年代別に解説します。
年代別の貯蓄割合はどのくらい?
収入の中からどのくらいの金額を貯蓄するかは、将来の目的により異なります。一般的に貯蓄は目的を決めて、そのゴールに向かって毎月どのくらい貯蓄していけばいいかを考えます。しかしそうは言っても、どのくらいを目安にしたらいいのかわからない人もいることでしょう。そういう人は、みんなの平均を参考にしてみるといいでしょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 2020年」の年代別年間手取り収入からの貯蓄割合を見てみましょう。
●年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 2020年」より作成
年間手取り収入から貯蓄できた金額の割合は、どの年代も10〜15%未満が一番多くなっています。次いで、30歳代までは20〜25%未満となっていますが、40代〜60代までは5%〜10未満となっています。また、貯蓄しなかった人の割合も、年代が進むほどに増加しています。
続けて、同調査の回答者の平均手取り額もチェックしてみましょう。
●年間手取り収入(税引後)金額別の割合
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 2020年」より作成
仮に、平均年収の10〜15%を貯蓄に回していたとしたら、年代別の年間の貯蓄額の平均は、次のようになります。
20歳代:46万円〜69万円
30歳代:52万円〜78万円
40歳代:62万円〜91.5万円
50歳代:72万円〜108万円
60歳代:47万円〜70.5万円
貯蓄と投資はどう使い分ける?
そもそも、貯蓄と投資とは何が違うのでしょうか。
貯蓄とは普通預金や定期預金など、安全性が高く、流動性の高い金融商品でお金を貯めることです。一定額までの元本保証はありますが、このご時世金利が低く、ほとんど増えません。
対して、投資とは、たとえば株式投資ならば株式会社などにお金を投じること。その会社の株価が上がったときに値上がり益を得たり、会社の利益がでたときに配当金などを得たりできます。預貯金よりも高いリターンは期待できますが、必ず利益が出るとは限らず、元本が保証されているわけではありません。
ですから、将来の目標金額のためには、安全性の高い金融商品と、収益性の高い商品を組み合わせて準備していきましょう。
貯蓄する金額と投資する金額の割合に正解はありません。投資をどの程度するのかは、将来の目標金額や投資商品の理解度、リスクへの耐性などにより異なります。
貯蓄は目的によって大きく3つに分けて考えます。具体的には、
・毎月の生活にかかるお金
・3年から5年程度で必要になるお金
・10年以上使わない、将来のためのお金
の3つです。
そして、この3つそれぞれで、貯蓄と投資を使い分けていきます。
毎月の生活にかかるお金は普段から出し入れがあるので普通預金などで貯めます。
3年から5年程度で必要になるお金は、使うときになって減ってしまっていると困るので定期預金など確実に貯められる方法で用意します。
そして、10年以上使わない、将来のためのお金はリスクはあってもリターンの期待できる投資信託などの金融商品で準備するといいでしょう。
貯蓄と投資、金額の割合は?
貯蓄と投資の金額の割合はどのくらいがいいのでしょうか。先に紹介した金融広報中央委員会のデータより考えてみましょう。
●種類別金融商品保有額
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 2020年」より作成
たとえば、20代の平均金融資産保有額は350万円ですが、普通預金や定期預金などの預貯金は218万円で全体の62%です。貯蓄性の保険や、損害保険などは97万円で全体の28%、株や債券、投資信託などの金融商品は35万円で全体の10%になっています。
しかし、筆者はこれでは投資の割合が少なすぎると考えます。預貯金の金利では、将来お金を増やすことはできません。特に若い世代ほど時間をつかって投資に目を向けて欲しいものです。
毎月どのくらい貯蓄して、どのくらい投資するのかは、個人の考え方や年齢によるリスクによっても違います。
20代のように老後まで時間がある場合、リスク性の商品が多くても、価格の変動リスクはある程度受容することができます。しかし、60歳を超えていると、時間によるメリットが低くなるため、一般的にはリスク性の商品の割合は減少します。
例えば、20歳代の貯蓄金額が月5万円だとすると、そのうちの60%の3万円くらいは投資してもいいでしょう。年齢が上がると、住宅や教育費など現金で必要になることも多いことと、時間的メリットが減少するため、投資割合は減少していきます。
たとえば、
20歳代 投資60% 貯蓄40%
30歳代 投資50% 貯蓄50%
40歳代 投資40% 貯蓄60%
50歳代 投資30% 貯蓄70%
60歳代 投資20% 貯蓄80%
あくまで一例ではありますが、このくらいの割合でもいいのではないでしょうか。
まとめ
貯蓄に占める投資の割合は現状、1割〜2割程度。半分以上が預貯金になっています。しかし、それではお金は増えていきません。とくに若い世代の方は、時間を味方につけて投資をしていただきたいものです。
まずは無理のない金額からiDeCoやつみたてNISAなどを使ってみましょう。税金を抑えながら、効率よくお金が増やせます。慣れてきたら金額を上げるなど、目標金額を達成するための金額へ変えていってもいいでしょう。
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黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
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