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25/03/06

家計・ライフ

定年後働き続けるなら、絶対に押さえておくべき「5つのお金」

定年後働き続けるつもりなら、必ず考えるべき「5つのお金」

65歳から年金を受け取るけど、それだけでは生活費が足りない…。そのため「定年後も働き続ける」ことを選択する方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、必要な収入額の押さえ方、自分に合った働き方、雇用保険の給付金の活用、年金の繰り下げなど、定年後に考えておくべき「お金」のポイントをわかりやすく解説します。

定年後に考えておくべきお金1:老後に必要な「収入額」はいくらか

65歳からは老齢年金が受け取れますが、多くの場合それだけでは老後の生活を支えることができません。年金の不足額を働いて稼ぐ必要があるでしょう。その際、自分にとって必要な労働収入がいくらなのか、現役時代に計算しておくことが必要です。
定年後に「どれくらい働いて、いくら収入を得ればよいのか」を考えるためには、まず毎月の生活費と、もらえる年金額をしっかり把握することが大切です。
そのためには、以下のステップで老後に必要な収入額を押さえておきましょう。

●ステップ1:毎月の生活費を把握する

老後に必要な毎月の生活費を計算しましょう。食費や住居費、光熱費、医療費、趣味・レジャー費など、現役時代とは異なる支出も考慮します。また、年払いの保険料や固定資産税などは、月額に換算して織り込むとより正確な数字を把握できます。

●ステップ2:もらえる年金額を差し引く

老齢年金でもらえる月額を確認します。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用すれば、老齢年金がいくら受け取れるかを簡単に調べられます。

●ステップ3:不足する生活費を計算する

毎月の生活費から、もらえる年金額を差し引くことで、「不足する金額=必要な労働収入」が明確になります。たとえば、月25万円の生活費が必要で、年金や退職金からの月額収入が18万円(夫婦あわせて)なら、不足分は7万円。これが定年後に稼ぐべき月額収入です。

定年後に考えておくべきお金2:自分に合ったスタイルで働く

定年後に稼ぐべき月額収入が把握できたら、どのように働くか考えましょう。定年後は、多様な働き方があります。長く働くには、自分に合ったスタイルを選ぶことが大切です。「どう働きたいのか」を早めに考えておきましょう。主な働き方には以下のようなものがあります。

●継続雇用制度を利用して、今の会社で働く

今の会社で引き続き働く方法です。継続雇用制度には2つのタイプがあります。

【再雇用制度】

一度退職し、現役時代とは異なる雇用形態・賃金で再雇用されます。勤務時間の短縮など柔軟な働き方が可能ですが、賃金が下がる可能性があります。

【勤務延長制度】

退職せず、定年後も同じ雇用形態・賃金で引き続き働けます。ただし、導入している企業は少数です。

●違う会社に再就職する(パート・アルバイト含む)

これまでの会社とは別の会社で働く方法です。再就職は難しいと思われがちですが、培ったスキルや経験などを活かして働く人も多いです。
求人サイトやハローワークなどを利用して、地域の求人相場や働き方をリサーチしておきましょう。

●独立・起業する(フリーランス・個人事業主)

会社に属さず、個人で働くスタイルです。これまで培ったスキルや経験を活かして独立するのが一般的です。ただし、定年後にゼロから始める場合は、資金や準備に時間がかかる可能性があります。そのため、独立を考えているなら
・現役時代から副業や勉強を通じて経験を積む
・開業資金を計画的に準備しておく
などの準備をしておくことが大切です。

高齢者の方におすすめの働き方は「週3ワーク」。定年後に稼ぐべき月額収入にもよりますが、フルタイムにこだわらなくてよいのであれば、「ゆるい働き方」を選ぶのもよいでしょう。週3ワークなら、無理なく長く続けられ、心身の健康維持にもつながります。

定年後に考えておくべきお金3:雇用保険で得られる「3つの給付金」を知る

定年後も働くなら、雇用保険の給付金を活用しましょう。
雇用保険の加入要件は以下の2つです。
・1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
・雇用見込み31日以上であること
雇用保険に加入し条件を満たせば、以下に挙げる給付金を受け取ることも可能です。

●高年齢雇用継続給付金(60歳〜65歳限定)

失業給付を受け取っていない人は「高年齢雇用継続基本給付金」(最長5年間)、失業給付を受け取っている間に再就職した人は「高年齢再就職給付金」(最長2年間)が給付されます。
高年齢雇用継続給付金は、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満になった場合、賃金の15%を限度として給付されます。たとえば、月給25万円(60%に低下後)の場合、月3万7500円が支給され、5年間で最大225万円の支援が受けられます。
ただし、2025年4月1日から、高年齢雇用継続給付の支給率は賃金の15%から「10%」に引き下げられます。月給25万円(60%に低下後)の場合、月2万5000円になります。

●高年齢求職者給付金(65歳以上)

失業給付が受け取れるのは64歳まで。65歳からは失業給付ではなく高年齢求職者給付金が受け取れます。 65歳以上が失業した場合、雇用保険の被保険者期間が1年未満(65歳で失業した場合)であれば、賃金日額の30日分。1年以上(66歳以降に失業した場合)であれば50日分の給付金が支払われます。

●教育訓練給付金

所定の教育訓練を受けるともらえるのが教育訓練給付金。教育訓練給付金の対象となる教育訓練には、そのレベル等に応じて「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があります。どれに該当するかでもらえる金額が変わります。たとえば、一般教育訓練であれば、資格取得のために支払った費用の20%、最大10万円が受け取れます。

定年後に考えておくべきお金4:「老齢年金」を繰り下げる

老齢年金の受け取り開始を遅らせる(繰り下げる)と、1か月ごとに年金額が0.7%増額されます。たとえば、70歳まで繰り下げると、「0.7% × 60か月(5年間)=42%」、75歳まで繰り下げると、「0.7% × 120か月(10年間)=84%」が増額となります。

繰り下げ受給は、老齢基礎年金(国民年金)、老齢厚生年金(厚生年金)のどちらも対象となります。ただ、両方の年金を繰り下げるのは、なかなか難しいという場合は、「一方だけ」繰り下げることができます。たとえば、老齢基礎年金を繰り下げて、老齢厚生年金だけを65歳から受け取るなどが考えられます。

もし65歳以降も厚生年金に加入して働き、その際、老齢厚生年金だけを受け取るのであれば「在職定時改定」により、働いた期間分が年金額に毎年上乗せされます。
在職定時改定とは、毎年9月1日の基準日ごとに、前年9月から当年8月までの被保険者期間分が算入され、翌月となる10月分の年金(支給月は12月)から増額された年金が受取れる制度です。

定年後に考えておくべきお金5:「もらえる給付金・補助金」はないか調べる

老後は、雇用保険以外にも受け取れるお金があります。知らないと損をするため、事前に確認しておきましょう。もらえる可能性がある給付金・補助金は、以下のとおりです。

●年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、公的年金の収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金受給者を対象にした給付金です。年金に上乗せして支給されます。(最大月5,000円程度)。

●自治体のシニア向け補助金

シニア向けの補助金にはさまざまなものがあります。
・補聴器購入の補助
65歳以上のシニアに補聴器が必要になった場合、その購入費用の一部を負担する制度。
・入浴補助券の発行
65歳以上のシニアに対して、公衆浴場を無料または安い料金で利用できる制度。
・タクシー料金助成制度
高齢者が気軽に外出できるよう、タクシーの利用料金を補助する制度。都市に在住の場合は、民営バスや地下鉄などの乗車の補助を設けていることもあります。

これらの補助金を受けるには、自己申請が必要な場合が多くあります。お住まいの自治体ホームページで確認してみましょう。

安心できる老後生活のためにお金のことを考えておこう

老後は「長く・無理なく・楽しく」働くのが大切です。無理のないペースで収入を確保し、制度を上手に活用して、安心できる老後生活を目指しましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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