21/08/04
月1000円の配当金収入を得るには? どんな銘柄にいくら投資すればいいのか
大手銀行の普通預金(年利0.001%)に100万円を預けても、受け取れる利息は1年間でわずか10円(税引前)。これでは、たとえ100年預けても増えるお金は1000円ほどにしかなりません。しかし、株式投資でもらえる配当金を活用すれば、1か月あたり1000円、年1万2000円の配当金を手にすることも難しいことではありません。
今回は、配当金のしくみを紹介した上で、月1000円の配当金による不労所得を手に入れる方法を考えます。
そもそも配当金ってなに? どうすればもらえる?
株式投資で得られる利益には、株の値上がり益・配当金・株主優待の3つがあります。このうち、配当金は会社の事業がうまくいったときに株主が受け取れる「分け前」のようなものです。FIRE(経済的自立・早期リタイア)で人気なのが、この配当です。配当金を活用して不労所得を作ろうということなのです。
受け取れる配当金の額は、毎年の業績を元に会社が「1株あたりいくら」と決めますので、株を多く持っているほど金額も大きくなります。日本の会社の多くは、年に1回〜2回配当金を出しています(配当金を実施していない会社もあります)。
配当金を受け取るには、株主の権利が確定する「権利確定日」の2営業日前(権利付き最終日)までに株を買う必要があります。権利付き最終日までに株を買い、そのまま持っていることで、権利確定日時点の株主名簿に名前が載り、配当金が受け取れるというわけです(ちなみに、株主優待も同様のルールです)。
たとえば、2021年9月30日(木)が権利確定日ならば、2営業日前の9月28日(火)までに株を買い、保有している必要があります。なお、9月29日(水)(権利落ち日)になったら、株を売却しても配当金は受け取れます。
配当金を狙うときに注目したいのが、配当利回りです。配当利回りは、株価に対し、年間でもらえる配当金の金額を示した割合です。「配当利回り(%)=1株あたりの配当金÷株価×100」で表されます。たとえば、1株あたりの配当金が5円で株価が500円であれば、5円÷500円×100=1%となります。
私たちが購入できる株(日本株)の配当利回りの平均は約2%といわれています。年2%の配当利回りが受け取れるとしたら、単純計算で年0.001%の大手銀行の普通預金の2000倍もお金が増えることになるのですから、すごいですよね。
毎月配当金をもらう仕組みを作るなら、おすすめは米国株!
月1000円の配当金を不労所得として手に入れることを目指すならば、おすすめはアメリカの株、米国株です。米国株はニューヨーク証券取引所やナスダックといった取引所で取引されています。米国株の多くは、日本の証券会社を通じて売買できます。
米国株をおすすめする理由は4つあります。
米国株をおすすめする理由の1つ目は、米国経済は、この数十年間、長期的に見れば右肩上がりで成長しているということ。リーマンショックやコロナショックなどで一時的に下落することはありましたが、それでも、いち早く立ち直ってくる強さがあります。また、アマゾン、グーグル、ディズニーなど、米国発祥の商品やサービスは私たちの身近にもたくさんあります。米国は世界経済の中心でありながら、まだまだ成長する余地がたくさんあるのです。
米国株をおすすめする理由の2つ目は、米国企業の多くは年4回配当を行っていること。年2回配当の日本株の場合、毎月配当金を得ようとしたら最低でも6銘柄必要です。しかし、米国株ならば3銘柄で毎月分配金が手に入る状態を作り出せます。これは簡単ですね。
米国株をおすすめする理由の3つ目は、米国株は1株から投資できること。日本株も1株で取引できるサービスが増えてきましたが、それでも100株という単元株で取引されるのが基本ですので、数十万円から数百万円かかるケースもあります。それに比べて米国株は1株単位ですので、数万円程度で購入できる銘柄が多くあります。
米国株をおすすめする理由の4つ目は、米国株は日本株よりも株主還元に積極的だということ。配当金の高い「高配当銘柄」や配当金を毎年増やしている「連続増配銘柄」もたくさんあります。
月1000円の配当金が手に入る米国株の組み合わせ例
月1000円の配当金を手に入れるための米国株の組み合わせ例を紹介します。計算にあたって、各数値は以下のように処理しています。
・株価は2021年7月29日時点の終値(米ドル)
・最低投資額は1ドル=110円として、円建てで計算
・配当利回りは2021年7月29日時点・20.315%の税引後の値(小数第3位切り上げ)
・売買に伴う手数料は考慮しない
なお、米国株の配当金には、米国で10%、日本で20.315%の税金がかかります。
このうち、米国の10%の税金分は確定申告で「外国税額控除」を利用すると、日本での所得税や住民税から差し引くことができますが、20.315%の税金はかかります。
いっぽう、NISAを利用すると20.315%の税金はゼロにできますが、米国の10%の税金はかかります。
最近、つみたてNISAを利用している方が増えています。しかし、つみたてNISAでは米国株は買えませんので、今回は米国株の配当金に20.315%の税金がかかるものとして計算しました。NISAを使わずに米国株投資をする際には、確定申告を忘れないようにしましょう。
それでは、米国株3銘柄の組み合わせ例を紹介します。
●米国株1:コカ・コーラ(KO)
株価:57.05ドル
最低投資額:6275円
税引後配当利回り:2.36%
配当支払月:4月・7月・10月・12月
言わずと知れた清涼飲料水メーカー。社名のとおり「コカ・コーラ」がもっとも有名でしょうが、ほかにもジュース、スポーツ飲料、コーヒー、エナジードリンクなど、さまざまな飲料を扱っています。
配当金の支払月は4月・7月・10月・12月の4回。増配を50年以上続けていることでも知られています。
毎回1000円の配当金を受け取るために必要な元本は、配当金の額(1000円)を1回ごとの税引後配当利回り(2.36%÷4回=0.59%)で割ることで求められます。ここでは、1000円÷0.59%=16万9491円となります。つまり、コカ・コーラの株をおよそ28株保有すれば、毎回1000円の配当金を受け取れる計算です。
●米国株2:P&G(PG)
株価:139.48ドル
最低投資額:1万5342円
税引後配当利回り:2.00%
配当支払月:2月・5月・8月・11月
P&Gは「プロクター・アンド・ギャンブル」の略。大手日用品メーカーです。おむつの「パンパース」や衣料用洗剤の「アリエール」といったら、なじみの深い方も多いでしょう。ほかにも、シャンプー、ひげそり、スキンケア製品を世界的に展開しています。
コカ・コーラ同様、連続して配当を出していることで知られているうえ、自社株買いにも積極的です。毎回1000円の配当金を受け取るために必要な元本は1000円÷0.50%=20万円。ですから、P&Gの株をおよそ14株保有すれば、毎回1000円の配当金を受け取れます。
●米国株3:スリーエム(MMM)
株価:198.17ドル
最低投資額:2万1798円
税引後配当利回り:2.35%
配当支払月:3月・6月・9月・12月
化学の力をベースに、クリーニング用品、テープ、医療用製品、建築資材など、さまざまな製品を展開している会社です。付箋でおなじみの「ポストイット」も同社の製品といったら、わかる方も多いのではないでしょうか。
スリーエムも60年以上連続増配をしている会社です。毎回1000円の配当金を受け取るために必要な元本は1000円÷0.59%=16万9491円。したがって、スリーエムの株を8株保有すれば、毎回1000円の配当金を受け取れるでしょう。
よって、これら3銘柄に投資して毎月1000円の配当金を得るために必要な元本は、
・コカ・コーラ:6275円×28株=17万5700円
・P&G:1万5342円×14株=21万4788円
・スリーエム:2万1798円×8株=17万4384円
以上合計:56万4872円
となります。
銀行預金に比べれば、圧倒的に少ない投資金額で月1000円を実現できることがわかります。
まとめ
米国株投資によって、毎月1000円の配当金を手に入れるハードルは、そこまで高いものではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。さらにここから投資を進めていけば、月2000円、3000円と、受け取れる配当金の額を増やすこともできるでしょう。配当金が入って、実際にお金が増えてくると、投資が楽しくなってきますよ。ぜひ試してみてくださいね。
*本記事で紹介する個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。購入する場合は自己責任でお願い致します。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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