21/06/29
株主優待が改悪・廃止されたら売るべき? 優待投資でやってはいけないこと
コロナの影響で株主優待を改悪したり廃止したりする会社が増えています。このような状況になると所有している株を売るべきかどうか迷ってしまいます。株主優待銘柄への投資でやってはいけないことを紹介していきます。
株主優待実施企業が減少
株主優待は、決算時ベースの株主に自社製品や自社商品券、クオカードなどの金券が贈られる制度です。現在、約1500社が実施しており個人投資家に人気があります。しかし、優待の内容は約束されたものではなく、企業の状況により新設されることもあれば、廃止や内容が悪くなることもあります。
新型コロナウイルスの影響により2020年は11年ぶりに新設より廃止になった企業が多くなり優待実施企業は減少に転じました。リーマンショックがあった2008年と翌年かなり減少していることから株主優待は景気に左右されやすいことがわかります。
●年度別・株主優待の新設・廃止数
野村インベスターソリューションズ「データレポート 株主優待Watching<2020年10月末日現在>」
株主優待が改悪になると株価に影響がある
株主優待目当てで投資している人もいるため、株主優待が改悪・廃止になると、株価に影響があります。
例えば、すかいらーくホールディングス(3197)は、2020年9月10日15時に、それまで100株でもらえた年間6000円分の「株主優待カード」を4000円分にすると発表しました。すると、翌11日に一気に下落。9月10日の終値1684円から一時安値1472円をつける展開となり、終値も1521円となりました。
また、ヤマダホールディングス(9831)は、2021年2月4日の9時に、100株で年間3000円もらえた「自社商品券」を1500円分にすると発表。こちらも、2月3日の終値556円が2月4日には539円に下がりました。
このように、優待銘柄は株主優待が改悪・廃止になるとすぐ株価に影響がでるケースが多いのです。
優待投資でやってはいけない3つのこと
株主優待が改悪・廃止になると、確かに株価が下落するケースが多く見られます。しかし、株主優待による株価変動があれば株自体を売却した方がいいのでしょうか? 筆者は、それは少し考えものだと思います。ここでは、優待投資でやってはいけない3つのことを紹介します。
●優待投資でやってはいけないこと①:株主優待の改悪・廃止があったらすぐに売却
優待の改悪・廃止だけを理由に売却することはおすすめしません。たとえ株主優待が改悪・廃止になっても、株価が上昇したり、配当金が得られたりする可能性があるからです。
実際、ヤマダホールディングスの株価は、2021年2月4日に539円に下がりましたが、3月の権利確定日だった3月26日には、621円まで上がりました。同社の配当は18円あり、株主優待と配当を合わせた利回りは6.25%あったのがその要因と考えられます。もし、株主優待の改悪の直後に売ってしまったら、株主優待や配当も受け取れませんし、損をしてしまう可能性もあります。
もちろん企業の業績が芳しくなく、配当もなしで株主優待が改悪になり、会社四季報などで見ても今後の見通しがよくなると思えない…という場合は、売却を検討したほうがいいケースもあります。しかし、そうではない限り、値下がりに慌てて売るのはよくありません。たとえば「株価が買った時より10%下がったら売る」など、マイルールを作っておき、それに従って売買するべきでしょう。
●優待投資でやってはいけないこと②:株主優待目当てで権利確定月に株を購入
株主優待や配当金を受け取るには、権利確定日時点で株主の名簿に掲載される必要があります。この権利確定日のある月を権利確定月といいます。権利確定月の銘柄は、ネット証券会社のトップページで「今月権利確定の優待銘柄」と紹介されることもあります。
しかし、権利確定月は優待目的で株を購入する人が増えるので株価が高くなる傾向にあります。つまり、割高な株価で購入する可能性が高くなります。株主優待の権利が確定した後(権利落ち日)になったとたん株価が下がる傾向もあるのです。したがって、権利確定月に購入することは避けましょう。できれば、2ヶ月以上前に購入しておく方がベターといえます。
●優待投資でやってはいけないこと③:せっかくの株主優待を活かせない
筆者は株主優待で有名な桐谷さんにイベントで何度かご一緒したことがあります。そのとき楽屋でうかがった裏話ですが、桐谷さんはいつも有効期限順に優待券をいれたお財布を持ち歩いていらっしゃるとのこと。そして、自分で使い切れない可能性がでてきたらその地方の友人にプレゼントするそうです。せっかく優待銘柄を購入しても、有効期限切れにしてしまったり、株主優待選択のハガキやカタログの返信を忘れたりすると無駄になってしまいます。株主優待はきちんと使い切ること、返信などは忘れないことを心がけましょう。
まとめ
株主優待の内容は、改悪・廃止になることがあります。優待の内容変更は企業の経営状況変化のシグナルともいえるのですが、短期的な値動きに慌てて売ったり、逆に権利確定月に慌てて買ったりするのでは、損をしかねません。また、せっかくの株主優待を使い切らないようでは無駄になってしまいます。以上のことに気をつけながら、楽しい株主優待ライフをめざしてくださいね。
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稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
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