19/10/03
iDeCoや企業型確定拠出年金は「初期設定」のままだと損! その理由は?
老後資金づくりに、確定拠出年金を利用している人も多いのではないでしょうか。
確定拠出年金は、掛金を自分で運用して、老後に受け取る年金制度。運用の成果次第で受け取る金額も変わります。
しかし実は、この確定拠出年金で運用する商品を「初期設定」のままにしていると、損してしまうかもしれません。どういうことなのか、ご紹介します。
確定拠出年金の種類
確定拠出年金には、個人型と企業型の2種類があります。
【個人型確定拠出年金=iDeCo(イデコ)】
・自分で掛金を決めて出す(月5000円から、職業等により上限額あり)
・自分で運用する
・掛金が全額所得控除になり、所得税・住民税が抑えられる
【企業型確定拠出年金】
・企業が掛金を出す(従業員が掛金を一部出すマッチング拠出もある)
・自分で運用する
・掛金は企業の損金となる
掛金を出すのが個人なのか、企業なのかの違いがありますが、どちらにも共通しているのは、運用は自分が行うということです。
運用がうまくいけば老後資金を大きく増やせますが、そうでなければ受け取る金額が少なくなってしまいます。
ですから、しっかりとした資産運用の知識が必要になってきます。
確定拠出年金の初期設定にありがちなもの
確定拠出年金に加入している人は増えているものの、肝心の運用を初期設定のままにしている人は少なくないようです。
初期設定のまま、自分で運用方法を選択しないと、各金融機関の「指定運用方法」に定められた商品が自動的に購入されることになります。
資産運用の初心者では、「プロにおまかせ」と考えて、金融機関や企業のおススメをそのまま受け入れてしまうかもしれませんが、あなたの大切な老後資金です。自分自身でしっかり選び、運用していくことが大切です。
では、どのような運用が、初期設定にされやすいのでしょうか。
2種類の運用について、問題点を考えてみます。
①定期預金
長引く低金利で、定期預金で運用してもほとんど増えることはありません。老後資金づくりではハイリスクな運用は避けるべきですが、iDeCoの場合は運用しているだけでも月167円以上のコストがかかるため、マイナスになってしまいます。
②ターゲットイヤー型投資信託(ターゲットイヤーファンド)
投資信託とは、投資家から集めた資金を、専門家が国内外の株や債券、外貨などで運用し、運用益を受け取れる仕組みの金融商品のこと。
ターゲットイヤー型投資信託は、退職時などの時期に合わせて運用方針を徐々に変えていくのが大きな特徴です。最初は積極的な運用を行いますが、徐々に安全性重視の運用に切り替わっていきます。
そのため、「ほったらかしでも大丈夫」と、忙しいビジネスパーソンに人気があります。
しかし、経済が上昇局面にある時には、安定性重視では取り残されてしまうことにもつながります。また、はじめの積極運用で損失を出すと、後の安全性重視の運用で取り返すことが困難になってしまいます。
運用は自分次第、しっかりと見極めて
資産運用は、目標とする金額と時期に合わせて、ある程度のリスクをとりつつ決めていくことが大切です。
そのためには、初期設定のままにしておくのではなく、状況に応じて見直す必要があります。
見直し方法には、「配分変更」と「スイッチング」の2種類があります。
●配分変更
配分変更とは、毎月の掛金で購入する運用商品の種類や配分割合を変更することです。変更以降の掛金の配分を変えるだけで、それまでの運用商品ごとの残高はそのままです。
たとえば、毎月1万円ずつ掛金を定期預金に預け、100万円になったとします。
【現在の資産】
・定期預金:100万円
「この定期預金に掛金を出すのをやめて、運用成績のいい投資信託Aに変更したい」というときに行うのが、配分変更です。毎月1万円の掛金で、投資信託Aを買うようにします。
このとき、配分変更翌月の資産はこうなります。
【配分変更翌月の資産】
・定期預金:100万円
・投資信託A:1万円
配分変更の場合には、定期預金の残高はそのまま残ります。
定期預金の残高は元本保証なのでそのまま残しておきたいけれど、今後は投資信託Aでしっかり運用していきたい、というような時に適した方法と言えます。
●スイッチング
スイッチングとは、これまで積み立ててきた資産の商品構成を変更することです。
たとえば、3本の投資信託を買い、現在の資産が100万円になっていたとしましょう。
【現在の資産】
投資信託A:50万円
投資信託B:30万円
投資信託C:20万円
スイッチングでは、「投資信託Cの残高0にして、新たに投資信託Dを購入する」ということができます。
このとき、スイッチング後の資産はこうなります。
【スイッチング後の資産】
投資信託A:50万円
投資信託B:30万円
投資信託D:20万円
投資信託Cはなくなり、代わりに投資信託Dが資産に組み入れられました。
たとえば、投資信託Cは大きな値動きのある商品で、すでに大きな利益が出ていたとします。今後は値下がりする可能性がある、と考えた場合には、投資信託Cの残高をそのままにしておくと資産が減ってしまう可能性が高くなります。
そんな時には、投資信託Cを売却して利益を確定し、これから値上がりしそうな投資信託Dを買う、スイッチングが適している、というわけです。
ただし、運用商品によって売却・購入の手続きには比較的日数がかかります。
運用商品の変更は、長期的視点で考えるようにしましょう。
まとめ
老後資金づくりに適した確定拠出年金ですが、運用は自己責任です。
豊かなセカンドライフのためにも、自分の目で見極めた納得できる運用をしていきたいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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