19/01/28
iDeCo+(イデコプラス)ってなに?iDeCo(イデコ)とどう違う? iDeCo+をわかりやすく解説
2017年1月から、60歳未満のほぼすべての人がiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入できるようになりました。これに伴って、加入者は2016年12月の30万人から、2018年11月には110万人と、3倍以上に増えています(国民年金基金2018年11月業務状況より)。
その人気にあやかるように、2018年5月から「中小事業主掛金納付制度」(愛称「iDeCo+(イデコプラス)」)が始まりました。
今回は、このiDeCo+(イデコプラス)について、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)との違いも含めてわかりやすく解説します。
iDeCo+(イデコプラス)ってなに? iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とどう違うの?
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、老後資金確保が目的の、個人で行う任意の積み立て制度です。「60歳までは自由にそのお金を使うことはできない」という不自由さがあるにも関わらず人気の理由は、掛金を積み立てるとき・運用するとき・受け取るときの3つのタイミングで、それぞれ減税効果が見込めるからです。
その老後資金確保のための資産形成を、勤務先が掛金を一部負担して手助けしようというのが、「iDeCo+(イデコプラス)」です。つまり、個人でしているiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の掛金に勤務先が上乗せしてくれて、掛金の納付もしてくれるのです。iDeCo(イデコ)加入者にとっては、老後の資産形成がより早く進み、掛金未納の危険が減らせるという注目の制度です。
対象となる会社と加入者の範囲は?
対象となる会社と加入者には要件があります。
● 対象となる会社の要件
iDeCo+(イデコプラス)は会社の制度として導入するものなので、まず会社としての要件をクリアしなければなりません。次の3つの要件を全てを満たしている必要があります。
①従業員(第1号厚生年金被保険者)が100名以下
②企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金のいずれも実施していない
③従業員の過半数で組織する労働組合、または従業員の過半数を代表する従業員に、この制度を実施することについて同意を得る(労使合意をする)
つまり、中小企業のうち企業年金制度がない会社でないとiDeCo+(イデコプラス)は導入できません。この制度の目的は、まだ企業年金制度がない中小企業が、費用負担も少なく事務手続きも簡素化された福利厚生制度を導入することなのです。
● 対象となる加入者の要件
iDeCo+(イデコプラス)に加入できるのは、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の加入者であることが必須であるのと同時に、第1号厚生年金被保険者でなければなりません。パートやアルバイトなど厚生年金に加入していない人や、第2号・第3号・第4号厚生年金被保険者(旧共済年金加入者)は対象外です。
その上で、iDeCo+(イデコプラス)の加入者を、会社と従業員代表の取り決めで、「第1号厚生年金被保険者全員」または、「職種」や「勤続期間」による線引きをすることができます。
事業主の掛金額は、全員一律としても、職種や勤続期間によって変えても良いことになっています。ただし、加入者掛金と事業主掛金を合計して、月額5000円~2万3000円の範囲で、それぞれ1000円単位であることが必要です。また、加入者掛金を0円とすることはできません。
加入者にはほぼメリットだけ! 会社は事務作業がハードル
加入者のメリット、デメリットは以下のとおりです。とはいえ、ほぼメリットしかありません。
● 加入者のメリット
・資産形成が早く進む
・口座の残高を気にする必要がない
・年末調整時に証明書の保管や申告書への記載をする必要がない
● 加入者のデメリット
・掛金額が会社にわかってしまう(iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)も年末調整時には知られていますので同じです)
一方、会社のメリット、デメリットは以下のとおりです。ハードルは事務作業といえます。
● 会社のメリット
・事業主負担分は全額損金となる
・「退職金制度あり」として、良い人材の確保につながる
・福利厚生充実の一環として、社員の定着につながる
・iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)普及のための一役を担うことになる
● 会社のデメリット
・労使の合意や就業規則の変更をしなければならない
・掛金の給与などからの天引き、掛金納付などの定例作業がある
・掛金額の変更や、人事異動時には事務作業が増える
まとめ
以下に企業型確定拠出年金とiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)、そしてiDeCo+(イデコプラス)との違いをまとめたので、参考にしてください。
図:筆者作成
iDeCo+(イデコプラス)は、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)加入者にとっては資産形成が早く進む、とっても嬉しい制度です。勤務先にこの制度を提案してはいかがでしょうか。また、勤務先がiDeCo+(イデコプラス)を導入したらすぐに対応できるように、iDeCo(イデコ)の知識をぜひ早くから付けておいてほしいと思います。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)おすすめ金融機関3選
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
● 楽天証券
・口座管理手数料が業界最安水準
・取扱商品が豊富で低コストのラインナップ。
・専門家による投資情報が充実している
・LINEトークを利用すると24時間いつでも問い合わせできる
● SBI証券
・口座管理手数料が業界最安水準
・取扱商品が豊富で低コストのラインナップ。
・口座管理画面がシンプルで使いやすい
・いくつかの質問に答えるとオススメ商品を提案してくれる「SBI- iDeCoロボ」を利用できる
● マネックス証券
・口座管理手数料が業界最安水準
・取扱商品が豊富で低コストのラインナップ。
・チャットによる質問対応、パソコン出張サービスなどサポートが充実
・アプリ・パソコンツールが豊富で使いやすさに定評
【関連記事もチェック】
・100万人が始めている!老後資金を堅実に貯める「iDeCo(イデコ)」の基本のき
・申し込みであきらめる人続出!誰でもiDeCo(イデコ)が申し込める本を紹介
・iDeCo(イデコ)やつみたてNISA(積立NISA)、どう使い分ける?商品選びのポイントは?
・お金のプロ厳選! つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関ガイド
・【たなぼた投資のススメ】iDeCo(イデコ)で戻ってきた還付金をNISAで使え!
小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう