connecting…

  • NISA
  • FIRE
  • Money&You TV
  • 確定拠出年金「iDeCo」「企業型」
  • マネラジ。
  • ふるさと納税
  • 届け出だけでお金がもらえる! 給付金制度を活用しよう
  • セミナーレポート
  • まとめ記事/チェックテスト
  • 歴女の投資ファイル
  • ズボラでも出来るシリーズ
  • 投資信託でプチリッチ!「投信ウーマン」
  • 投資女子への道
  • 恋株
  • ぽいきさんの幸せを呼び込むシリーズ
  • 大人女子を応援!家庭で出来る漢方の知恵
  • 読書ブロガー小野寺理香のブックレビュー
  • 駐在マダム、モラハラ夫からの逃亡記
  • “逆打ち”お遍路をご紹介

23/08/25

資産運用・経済

「年金の繰り下げ」と「年金繰り上げ&新NISA投資」、得なのはどっち?

「年金の繰り下げ」と「年金繰り上げ&新NISA投資」、得なのはどっち?

年金の受け取り開始は原則65歳からですが、希望すれば60~75歳の間の好きなタイミングで受給できます。66歳以降に受け取り開始を遅らせる「繰り下げ受給」は年金額が増加するのが大きなメリット。健康寿命・平均寿命が今後も伸び続けることを考えると、繰り下げ受給を選んだほうがよいでしょう。
しかし、X(旧Twitter)などのネット上では、60歳や65歳時点で年金を受け取って、そのお金を投資に回すのが良いという声もあるようです。それは果たして本当なのか、検証します。

年金の「繰り上げ受給」「繰り下げ受給」の仕組みとデメリットを整理

年金を60~64歳までに受給することを「繰り上げ受給」、66~75歳までに受給することを「繰り下げ受給」と呼びます。

繰り上げ受給は、1カ月早めるごとに0.4%ずつ受給率が減少し、60歳から受給すると、受給率は76%(24%減額)となります。

繰り下げ受給は、1カ月繰り下げるごとに0.7%ずつ受給率が増加し、75歳から受給すると、受給率は184%(84%増額)となります。
一度、受給を開始すると、途中でこの増減率を変更することはできません。

繰り上げ受給・繰り下げ受給にはそれぞれデメリットがあります。

【繰り上げ受給のデメリット】
①年金額の減額が生涯続き、取り消せない
②繰り上げ受給は国民年金・厚生年金同時
③国民年金の任意加入ができなくなる
④障害基礎年金が受け取れなくなる
⑤寡婦年金が受け取れなくなる

繰り上げ受給のデメリットで一番重要なのは①の「年金額の減額が生涯続き、取り消せない」です。繰り上げ受給すると、年金額の減額が一生涯続きます。一度申請してしまうと、もう取り消しはできません。

【年金の繰り下げ受給のデメリット】
①長生きできないと損になる
②税金や社会保険料も増える
③遺族年金は65歳時点の金額で計算

繰り下げ受給のデメリットで大事なのは①の「長生きできないと損になる」です。繰り下げ受給で元がとれるのは約12年後(額面ベース)なので、受給開始後12年は長生きしないと損になる計算です。また、②の「税金や社会保険料も増える」も重要。年金額が増えると税金や社会保険料も増えてしまうため、思った以上に手取りが増えないこともあります。

「年金の繰り下げ」と「年金受給&新NISA投資」、得なのはどっち?

「年金の繰り下げvs年金受給&新NISA投資」を計算するにあたっての前提条件は、次のとおりです。

①65歳時点の年金額は年180万円(月額15万円)
②何歳まで生きるかで計算結果が変わるので、「寿命90歳、独身、扶養親族なし、東京都在住、所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ」として計算
③投資時期は70歳まで、以降20年にわたって運用取り崩し。60歳〜70歳、70歳〜90歳の運用利率は同じとする
④年金の繰り下げは「70歳受給」と比較する
⑤運用益には20.315%の税金がかかるが、2024年からの新NISAを活用すればずっと非課税

以上を踏まえて、まずは年金の手取り額を確認してみましょう。

●年金手取り額はどうなる?

(株)Money&You作成

年金の受取開始年齢が60歳、65歳、70歳の時の年金手取り額は上図の通りとなります。
60歳受給の税金・社会保険料の割合が65歳未満と65歳以上で分かれているのは、公的年金等控除が要因です。公的年金等控除は、65歳未満か65歳以上かで適用される金額が異なります。この差が年間手取り額の差につながっています。

●(参考)公的年金等控除の金額

(株)Money&You作成

今回の前提条件の場合、年金を繰り下げて70歳から受給すると毎年手取りで219万円がもらえる計算です。言い換えれば、
・60歳または65歳から受給開始して全額投資に回す
・70歳以降に「年金&取り崩し」が219万円を超える運用利率を計算
すればいい、ということです。

●繰り下げ受給に追いつくための運用利率は?

(株)Money&You作成

60歳〜90歳の間、65歳〜90歳の間に、だいたい年3.5%で運用できれば、70歳からの繰り下げ受給と同等の水準になることがわかりました。年3.5%を超えた運用ができるならば、「年金受給&新NISA投資」が得ということになります。

SBI証券[旧イー・トレード証券]

結論、無難なのは「年金の繰り下げ」

60歳、65歳で年金の受給を開始し、その手取り額を70歳まで投資を行い、その後は年金の受け取りに加えて90歳まで運用を続けながら取り崩しをした場合、新NISAで年3.5%を超える運用ができれば、70歳「繰り下げ受給」よりも受け取れる金額が多くなることがわかりました(なお、税金・社会保険料は他の所得・年齢・家族構成・お住まいによって変わります。運用利率はあくまでも参考情報としてご確認ください)。

年金を受給しなくても生活できるお金が既にあり、上記の運用利率以上に増やせると自信があるのであれば、60歳、65歳で受け取りを開始して、その年金を投資に回す手もあるかもしれません。

しかし、年金なしで生活できるようなお金がない場合は「年金受給&新NISA投資」をおすすめしません。仮に60歳で繰り上げ受給して、運用で失敗した場合は、60歳時点で確定した年金額で死ぬまで生活しなければなりません。運用取り崩しも、常にマーケットにハラハラしながら日々過ごすことになるでしょう。

そういった、エキサイティングな生活をしたいということなら、良いのかもしれませんが、老後は穏やかに生活したいのであれば、全くもって向いていませんね。
それに、老後にたくさんお金を増やしたところで、あの世にお金は持っていけません。

今一度考えたいのは、「年金の繰り下げ」で増える増額率は「確定」で、価格変動リスクがないことです。仮にマーケットが暴落しても、年金額が減ることはなく、生涯にわたってお金を受け取れます。このメリットを考えると、年金の繰り下げが無難でしょう。

まとめ

色々と計算して考えてきましたが、結局は自分の寿命次第で正解は変わってきます。自分が何歳まで生きるのかわからない、その不確実性に備えるのが保険であり、年金が該当します。年金は年金保険料とあるように、あくまでも「保険」なのです。
年金が保険であることを踏まえて、いつから年金を受け取るのが良いのか、納得のいく選択をしてもらえればと思います。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

関連するみんなのマネー相談(FP Cafe)

投資信託の売却タイミングについて

投資神奈川県 いいね 4
2015/06/12

投資信託を初めて2年経ちますが、株式をはじめとして含み益が出ているファンドがいくつかあり、このまま持ち続けた方がいいのか売却して利益確定をしたほうがよいのか悩んでいます。
投資信託はあまりこま...

マネー相談の続きを見る

いつ投資を開始するべきですか?

投資埼玉県 いいね 7
2015/09/27

投資を始めようと思っています。
まずは買ってみようと色々調べた結果、NISAが活用できて初心者でもわかる日経平均に連動したインデックス型の投資信託を購入することにしました。
そこで質問なので...

マネー相談の続きを見る

今後の投資について質問させてくださいませ。
全ての情報をこちらで開示したくはありませんので、イメージつきましたらお会いして相談させて頂きたいです。
▼プロフィール
•東京都在住
•夫34...

マネー相談の続きを見る

閉じる
FP Cafe® お金の相談をするなら、一生涯の「お金の相談パートナー」へ