22/02/16
家族の人数によって生活費はどう変わる? 1か月の平均支出を徹底比較
2人暮らしの生活費は、1人暮らしの2倍までにはならないのは、ご存知の方も多いと思います。二人で暮らしても、水道光熱費の基本料金は1人暮らしと同じくかかりますし、食材は一人分のほうが割高も場合も。つまり、2人で暮らした方がおトクになることが多くあります。
では、3人、4人、5人と家族が増えたら、生活費はどのようになるでしょうか。
今回は、1~5人家族の生活費について考えてみます。
1人暮らし家計の地域差
総務省「家計調査」によると、仕事をしている一人暮らしの家計は住んでいる地域によって違いがあることがわかります。
●単身勤労者世帯の生活費
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
生活費は、16~17万円程度ですが、大都市では食費、住居費、洋服・靴にかける費用が高くなりがち。一方、地方では水道光熱費や交通費が高くなる傾向です。地域によっては自動車が生活必需品であることが、データからも読み取れます。
住居費が家賃相場よりもだいぶ安くなっていますが、これは家賃を払っている人、払っていない人すべての平均だからです。家賃・地代を払っている人だけで計算してみましょう。
●単身勤労世帯が払っている家賃・地代
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
やはり、大都市では家賃・地代が高いですね。
節約のポイントは、ふくらみやすい費用から考えると効果的です。大都市圏では食費、被服費、家賃でしょう。地方では自動車関連ですね。
当たり前のように感じている支出から見直してみましょう。
2人暮らしは「その他」の支出に要注意
では、2人暮らしになるとどのように変わるでしょうか。
●勤労世帯 1人・2人世帯の生活費
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
比較してみると、食費や水道光熱費、洋服・靴、教養娯楽費は約1.5倍ですから、1人より2人のほうがおトクになっているようです。一方、日用品やその他の費用は倍以上です。
2人暮らしの節約のポイントは、「その他」の費用です。その他には、理美容サービスや身の回り用品、使途不明のこづかい、交際費などが含まれます。食費など分かりやすい費用がおトクになっていることに油断すると、いつの間にかこまごまとしたものの購入などでお金がなくなってしまいそう。使徒不明金があるのもよくない状況です。「その他」はできるだけ減らして、家計をしっかり管理することが大切です。
また、住居費については、1人の時よりも安くなっていますが、これもまた平均値のカラクリです。
2人世帯では持ち家率が1人世帯よりも高く、家賃・地代を払っている世帯が少なくなります。
そのため、家賃・地代を払っている世帯で見てみると、2人世帯のほうが高くはなりますが、約1.7倍です。
●勤労世帯 1人・2人世帯の家賃・地代
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
3~5人暮らしはやりくり上手
続けて、3~5人暮らしの家計を見てみましょう。人数が多くなれば、当然食べる量も増えるし、水道光熱費もかかりそうです。しかし比較してみると、増加率が人数分ではないことがわかります。
●3~5人世帯の家計
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
食費、水道光熱費、日用品をはじめとした生活費が、家族が1人増えても約1.1~1.2倍で収まっています。子どもの人数分かかる教育費は仕方がありませんが、そのほかの費用がしっかり抑えられており、やりくり上手になっていくことがイメージできますね。「その他」の費用も3人世帯よりも4、5人世帯のほうがが少なくなっています。
レジャー費(教養娯楽費)や、交際費(その他)は油断するとすぐに増えてしまうものですが、お金をかけない方法を工夫することで、節約ができるようになります。
住居費はさきほど同様、家賃・地代を払っている世帯で比較してみましょう。
人数が増えれば、家の広さや部屋数が必要になるので、家賃・地代は高くなります。しかし、それでも増加率は1.1~1.2倍程度です。
●勤労世帯 3~5人世帯の家賃・地代
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
ちなみに住宅ローンは、支出ではありますがローンの返済なので、消費支出ではありません。そのため、データとしては生活費の消費支出には含まれていないのです。
データを読む時には注意しておきたいポイントです。
勤労世帯2人〜5人世帯の住宅ローンの返済額の平均は、次のようになっています。
●勤労世帯 2~5人世帯の住宅ローンの返済額
総務省「家計調査」(2020年)より筆者作成
住宅ローンの返済額を計算してみると、家賃・地代とほぼ同じであることがわかります。賃貸派、持家派と考え方は違っても、どちらも「住宅関連にはこのくらい」といった感覚で、住まいを決めているようですね。
まとめ
世帯人数によって、生活費がどのように変わるのか見てきました。
生活費は、人数が増えても、「1人暮らしの生活費×人数」で増えるわけではなく、おトクになる費用もありました。しかし、そのことに油断して、「その他」の費用など、把握しきれない費用がかさむ傾向もありました。
そして、やりくり上手になるには、「その他」費用を減らし、お金をかけずに楽しむ工夫をすることがポイントです。
家庭によって、生活費のバランスはさまざまです。平均の生活費を目安に、自分の家計を見直すきっかけにしていただければと思います。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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