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20/12/27

家計・ライフ

60代・70代・80代…年齢とともに支出金額はどうなる?

老後は年金だけで生活できるのか不安に思っている人もいることでしょう。どのような暮らしをしたいかによりますが、ゆとりある生活をしたいと思ったら、年金だけでは十分でない人が多いでしょう。しかし、老後にかかるお金は一生涯変わらないわけではありません。年齢とともに支出は減少していくので、生活費を工夫すれば不可能ではないかもしれません。老後の収入と支出の傾向を知り、足りない分を上手に準備する方法をお伝えします。

「年金収入と生活費の差額」が必要とされる老後資金

老後に必要とされる資金は、年金収入と生活費などの支出の差額をもとに計算することが一般的です。たとえば、90歳まで生きると仮定して、65歳以降の年金収入が月20万円、支出が25万円だとすると、毎月5万円が不足する、という具合です。この場合、1年間では60万円、26年分では1560万円を自分で用意しなければならないことになります。

自分が年金をいくらもらえるか、毎年の誕生日ごろに郵送で届く「ねんきん定期便」に予想額が記載されてくるのは50歳以上の人だけです。50歳未満の人は「ねんきんネット」を使うと、今の働き方のまま続けた場合の年金金額の試算ができます。

老後の生活費は年齢とともに減少していく

老後の資金を考えるとき、足りない生活費の分を準備するという前提で試算されますが、老後の生活費は一定ではなく、年齢と共に減少していくのが通常です。

総務省「家計調査報告」(2019年)の「世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」から、年代別の1カ月の支出のデータを見てみましょう。

●65歳〜85歳以上の年代別1カ月の支出と内訳

総務省「家計調査報告(家計収支編)」(2019年)より筆者作成

65歳〜69歳までの支出の合計は30万8134円。それに対し、85歳以上の支出の合計は25万90円と、5万8000円程度下がっているのです。
内訳をみると、年齢とともに、食費・通信費・娯楽費が減少していきますが、反対に保険・医療費が増加していることがわかります。年齢とともに、かかる費用の項目に変化はありますが、支出が減少していくことに変わりはありません。

さらに、支出に差が出るのは年齢だけではありません。住んでいる地域によっても違いがあります。たとえば、高齢無職2人世帯の全国平均支出が27万6000円なのに対し、大都市では28万2000円、中都市では27万6000円、小都市では27万1000円、市町村では27万円という具合に、地域差も存在します。

このように、老後の支出は年齢や住んでいる地域により異なります。65歳時点での計算した必要額に足りなかったからと言って必ず家計が破綻するわけではありません。
生活費の工夫さえできれば、年金だけでも暮らせる人もいるかもしれません。

老後の生活を豊かにするためにいまからできること

老後の資金は、必ずしも計算された金額に満たなくても家計は破綻しないかもしれません。しかし、将来モノやサービスの値段が上がれば支出は増えるし、介護の状態になるかもしれません。必ずしも平均の人生を送れるとはかぎりません。ですから、早いうちから余裕をもった資金計画が必要になるのです。

老後の生活を豊かにするために、今からコツコツと積立をしておくといいでしょう。少額でも時間をかければ大きな効果があります。特に、複利効果を味方につけたiDeCoやつみたてNISAなどから始めてみるといいでしょう。

iDeCoは老後資金を自分で作るための制度。積立したお金を自分で運用し、60歳以降に受け取ります。積立した金額が全額所得控除になるため、所得税や住民税が軽減され年末調整で還付されます。この還付された金額をなかったものとして考え、貯蓄することでさらに資産形成がスピードアップします。
また、つみたてNISAは投資信託で運用して得た利益を非課税にできます。長期積立で得た利益を再投資することで複利効果をうけ、資産を増やしていけるでしょう。
いずれも早く始め、時間をかけて取り組むことで、複利の効果を最大限活用することができます。

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まとめ

老後資金は大金すぎてとても準備できないと諦めてしまうのではなく、少しでも早く始めて準備していくことを考えましょう。もし、いわゆる平均額を達成できなかったとしても、老後の支出は年齢と共に減少することや、住んでいる地域によって変わってくることなどを考えれば、その中で工夫してやりくりすることも可能になります。
まずは準備する目標金額を決めて、少しずつでもいいので積立を始めてみましょう。

黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)

女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー

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