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22/03/30

相続・税金・年金

年金を平均額14万円もらえる人は全体の何%か

年金を平均額14万円もらえる人は全体の何%か

老後に受け取ることになる年金。「どのくらいの額がもらえるのかな?」など疑問に思うことがあるのではないでしょうか。年金の受給額は掛けた期間、現役時代の給料などが影響するため、人によって違いがあります。今回は、「平均額ほど受け取れる人」、「平均ほど受け取れない人」の割合についてみてみましょう。あわせて、月10万円ほどの年金を受け取る人が、平均以上を目指すための方法も紹介します。

厚生年金はどのくらいの人がいくらもらっているのか

厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度(令和2年度)の厚生年金に加入している人のうち、民間企業のサラリーマンが対象となる第1号厚生年金被保険者の厚生年金受給権者数は1610万133人です。これらの人々が、毎月いくら年金を受け取っているのか、1万円ごとの月額階級で示した表で確認してみましょう。

●男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

※国民年金+厚生年金の金額
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に筆者作成

平均年金月額は、男性と女性を合わせた総数では14万4366円。男性は16万4742円、女性は10万3808円となっています。
後述しますが、国民年金は年収に関係なく保険料を納めることで満額受け取れます。一方、厚生年金は基本的に年収が高く加入期間が長いほど金額が増えます。そのため、年金の受給額にも人によって大きく違うことがわかります。

平均額程度の年金を受け取れる人、平均ほど受け取れない人の人数・割合

このような数字を見て気になるのは、年金を「平均額受け取れる人」・「平均ほど受け取れない人」の割合がどうなっているのかではないでしょうか。

男性と女性を合わせた総数の平均年金月額は14万円台、男性のみの平均年金月額は16万円台、女性のみの平均年金月額は10万円台です。全体に占める総数「14〜15万円」、男性「16〜17万円」、女性「10〜11万円」の「平均額受け取れる人」の人数、割合は以下のとおりです。

●平均額受け取れる人の人数・割合

厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に筆者作成

平均額の14万円程度受け取れる人の割合は5.7%となっています。平均といっても、大多数の方が受け取れる金額、というわけではありません。

男性と女性の平均年金月額を比較すると、約6万円の差があります。女性の場合、結婚後は専業主婦もしくはパートで働き扶養に入る方が多くあります。そのため、自身で厚生年金に入らず受け取る年金は老齢基礎年金のみの方や、厚生年金の加入履歴があっても加入期間が短い方が多いことが、平均年金月額が少ない原因と考えられます。

また、平均額ほど受け取れない人(全体13万円、男性15万円、女性9万円以下)の人数、割合は以下のとおりです。

●平均額ほど受け取れない人の人数・割合

厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に筆者作成

平均額未満の割合のうち、特に女性は48.9%とほぼ半数が平均月額未満となっています。
老後に受け取る公的年金は、一生涯支給されるものであり、受給額が多いほど長生きリスクに対して準備ができているといえます。少なくとも平均額をもらえるよう心掛けることは大切です。

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年金月10万円の人が全体の平均「年金月14万円」以上を目指すには

はじめの表を改めて見ると、年金月額9~10万円が112万5260人と、人数が一番多くなっています。この方々は、もう少しの工夫で平均年金月額14万円以上の年金額を達成できそうです。そのための方法を紹介します。

●年金を増やす方法1:年金を5年ほど繰下げる

公的年金は、原則65歳から受給できます。とはいえ、就業先があり、収入の目途があるのであれば、年金の受給開始を繰下げるのもよいでしょう。というのも、繰下げ受給することで、将来受け取る年金を増やすことが可能になるからです。

繰下げは、66~70歳(2022年4月以降は75歳)までの間、1ヶ月単位でできます。繰下げると、1ヶ月あたり0.7%多く年金を受け取れます。
もし70歳まで繰下げをすると、0.7×60ヶ月=42%、75歳まで繰下げをすると、0.7×120ヶ月=84%も年金を増額できます。

仮に年金が月10万円ならば、5年間繰下げをすることで10万円×42%=4.2万円増やせますので、毎月の年金額は14.2万円に。繰下げだけで月14万円を達成できる計算です。

年金を増やす方法2:60歳以降も働き厚生年金を掛ける

年金を繰下げるといっても、「生活するお金がなければ繰下げなんてムリ」という方もいるでしょう。その際に考えたいのが、70歳まで働き続けることです。

幸いにも、2021年4月から高年齢者雇用安定法が改定となり、雇用主は70歳まで就業機会を確保することが努力義務となっています。その影響により、最近ではシニアの働き口も増えてきました。この機会を利用しない手はありません。

もし、60~65歳で会社を退職したとしても、再任用で70歳まで働くことを検討してはどうでしょう。そうすれば、給料で生活費が得られるので、年金の繰下げも選びやすくなります。そのうえ、厚生年金を掛け続けることができ、年金の受給額をさらに増やすことができます。

長く現役でいれば規則正しい生活をすることができ健康にもつながりますし、様々な人と接することで、活き活きとした気持ちのハリがもたらされます。まさに、一石二鳥といえます。

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年金を増やす方法3:未納している年金があれば任意加入する

老齢基礎年金は20~60歳までの40年間国民年金に加入すれば、満額(2022年度:77万7800円)が受け取れます。しかし、大学生のときに国民年金を納めていない期間があったり、転職などで年金納付に空白期間があったりで、未納のまま放置していることがあるかもしれません。そうなると、保険料納付期間が満額とならず、受け取る年金が減ってしまいます。

保険料の免除や猶予を受けていれば、10年前までさかのぼって追納することができます。しかし、もう追納期間も過ぎているというのであれば、年金の任意加入で満額の40年を満たすようにしましょう。加入期間が1年増えれば、年金額はおよそ年2万円増えます。ただし、任意加入ができる期間は60~65歳までの5年間だけです。

未納期間があるかもしれないなど心当たりのある方は、毎年誕生日ごろに送られてくる「ねんきん定期便」で確認しておくようにしましょう。

年金を増やす方法4:iDeCo(個人型確定拠出年金)で準備する

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、60歳未満の方であれば、原則誰でも利用できる、自分で年金を積み立てる制度です(2022年5月より国民年金の加入者は65歳未満まで利用可能)。加入すれば、毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された預金・保険・投資信託などの金融商品を自ら運用することになります。月額5000円からはじめることができ、上限は、加入者の職業等で違いがあります。

iDeCoのメリットは、拠出、運用、受取のタイミングで税金が節約ができること。より効率よく自分年金を準備できます。ただし、iDeCoは老後資金を準備するのが目的となっているため、原則60歳まで引き出すことはできない点は注意が必要です。

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まとめ

自分が将来受け取る年金がどのくらいになるのか、確認しておきましょう。50歳以上であれば、毎年のねんきん定期便に目安の金額が記載されます。また50歳未満でも、日本年金機構の年金見込額試算でシミュレーションできます。もし少ないようであれば、年金を増やす方法を検討していきましょう。

舟本美子 ファイナンシャルプランナー

「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー

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