20/09/21
30代夫婦世帯の収入・支出はどれくらいか。貯蓄割合は収入の何割?
これからマイホームや子どもを考えている30代夫婦のお金に関して気になるテーマと言えば、やはり「貯蓄」ではないでしょうか。今回は、総務省の「2019年 家計調査報告(家計収支編)(貯蓄・負債編)」、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 2019年」の二人以上世帯調査などをもとに同世代の一般的な家計はどういう傾向にあるのかを考察していきます。また、「無理しない」「ガマンしない」で継続できる貯蓄のコツもあわせてご紹介します。
30代夫婦世帯の家計の収入と支出はどのくらい?
結婚、出産、住宅の購入、育児、教育──。ライフスタイルやライフステージの変化によって、収入や生活費は変化しますが、働いている30代夫婦の平均的な家計についてまず見ていきましょう。
総務省「家計調査」では、統計理論に基づき選定された全国約9千世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを調査しています。多くの方の平均であるため、1つの目安になるでしょう。
世帯主が30~39歳の勤労者世帯の1か月間の収入は以下の通りとなっています。
●30代勤労者世帯の1か月間の収入
総務省「家計調査(2019年・二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」より
上記によると、働いている30代夫婦の平均的な月当たりの収入である実収入の項目をみると約56万円とあります。こちらは、世帯主・配偶者の勤め先収入のみならずやその他の臨時収入などを全てを含みます。また、勤め先収入は世帯主・配偶者の年収を月換算したものになっていて、賞与分も上乗せされるため、毎月受け取る給与の額面よりもやや多くなっています。
世帯の勤め先収入の内訳を見ると、大部分が世帯主勤め先収入であり、「夫が働き、妻がパート勤務しながら家事」という形態の世帯が多いことが推測できます。ここから税金や社会保険料を引いた可処分所得(手取り収入)の合計約46万円というのが30代夫婦世帯が1ヶ月に使える金額の平均的な水準といえそうです。
つづいて、支出を見ていきましょう。ここでは、先ほどの収入の中から実際にどれだけ使えるお金があり、どの程度のお金を使っているのかが分かります。
●30代勤労者世帯の1か月間の支出・貯蓄
総務省「家計調査(2019年・二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」より
税金や社会保険料を引いた可処分所得(手取り収入)の合計約46万円のうち、食費や光熱費、教育費や趣味などに使っているお金が消費支出として約29万円ありました。可処分所得(手取り収入)が約46万円、食料に約7万円、住居費が約2.4万円……。ここまで読んで「あれっ?」と思われた方も多いかもしれません。
それもそのはず、「家計調査」では、それぞれの項目の支払いがない世帯も含めて平均額が算出されています。例えば、住居費は住宅ローンの支払いは含みませんし、家賃の支払いがない世帯も一定数います。そのため、実態より低く見えることに留意しましょう。
また、住居費以外にも、教育費や自動車関連費など、家族構成やライフスタイルによって有無が分かれる項目についても同様のことが言えますので、あくまで平均値ということを念頭において、比較することを忘れないでください。
貯蓄に回す割合は、手取り収入の5~15%を目安に!
肝心の貯蓄についても見ていきましょう。家計調査では、貯蓄純増額の平均についても約16万円とありますが、この数字もあくまで平均値のため、極端に大きい数字や小さい数字(外れ値)の影響を受けやすいという特徴があり、単純に平均値=平均的な貯蓄額と考えるのは無理がありそうです。
もう少し詳しく貯蓄額の実態を把握するため、世帯主が30代の世帯の年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合についての回答を「家計の金融行動に関する世論調査」で見てみましょう。
●年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(世帯主が30代の世帯)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 2019年」より
30代の毎月の貯蓄額は、「手取り金額の5~10%未満」が最も多く19.4%「手取り金額の10~15%未満」が14.8%となっています。この割合は、1年間の貯蓄の目標額を決める際のひとつの目安として参考になると思います。一方で「貯蓄しなかった」が19.1%、「5%未満」も8.8%います。これは問題です。
特に「気がついたら今月もお給料を使い切ってしまった」「貯金残高に変化がない…」という赤字体質の方は、まずは1年間で手取り収入の5~15%を貯蓄することを目標に家計を見直ししてみましょう。
「無理しない」「ガマンしない」で長続きする貯蓄のコツとは?
「いざお金を貯めようと思っても続かない」「なかなか思うように貯まらない」と悩んでいる方に向けて、無理なく続けられる貯蓄のコツや仕組みづくりについて解説します。
①何にどのくらいお金を使っているのか把握し、「無駄な支出」は即カット!
計画的に貯蓄するためには、家計の収支管理が重要です。現状何にどのくらいお金を使っているのか整理し、削減できる項目はないか見直しましょう。毎月やるのは面倒かもしれません。まずは一カ月やってみましょう。そうすると、意外と無駄遣いをしていることが分かり、自分の浪費しがちな傾向が見えてくるかもしれません。
特に30代では「外食費・携帯電話料金・交際費・コンビニで使うお金」などは浪費しがちな支出項目のため要チェックです。習慣でだらだら続けていたコンビニ通いや付き合いだけの飲み会、使われずに放置しているサブスクリプション契約や大容量で使い切れないスマホのデータ通信費など、そのままにしている項目はありませんか。その無駄を削るだけなら日頃の生活に支障がでることはまずありませんので最優先で削減すべき支出項目となります。
②無理せず貯蓄したいなら、「固定費」を見直そう!
無理な節約は長続きしないので禁物です。例えば、「食費を毎月○万円以内に収める」といった節約術が主婦向けの雑誌で紹介されることがありますが、食費を極限まで削ってしまうと貯蓄すること自体がストレスとなってしまいがちです。その反動が浪費につながれば元も子もありません。無理しないでできる貯蓄のコツは、「固定費」を見直すことです。
固定費とは、水道光熱費の基本料金や住宅ローン、家賃、保険料のように毎月一定額がかかる費用のことです。毎月なにげなく口座引き落としで支払っていることが多い固定費ですが、見直せるものがあるかもしれません。例えば、過剰または重複する補償内容になっている保険の見直しや、住宅ローンの借換えなどを検討することで、固定費を抑えることができるかもしれません。
「固定費は削減できない」という固定観念を切り捨てて、毎月の大きな支出を占める固定費から家計のてこ入れをするのが長続きするポイントです。固定費は一度契約内容を見直せば、変動費のように常時管理する必要がありませんし、節約効果も継続するため、その分貯蓄計画を立てやすくなることがメリットです。
③着実に貯蓄するなら「先取り貯蓄」はマスト!
さらに着実に貯蓄するためには、自動的に(半強制的に)貯まる仕組みづくりも欠かせません。せっかく予算を立てて収支管理をしていても、お金はあればある分だけ「つい」使ってしまいがち。その「つい」を防ぐためには、先取り貯蓄が有効です。
先取り貯蓄とは、生活費として使い始める前に貯蓄用の口座へ一定額を自動で振り替えるという貯蓄方法で、貯蓄に回したいお金を「そもそも使えないようにしておく仕組み」です。残ったら貯めるのではなく、収入から貯金額を先に控除して半強制的に貯蓄にまわしてしまうのです。残った金額で生活すると覚悟を決めてしまえば意外と生活できてしまうものですが、もしも心配なら、1ヶ月を実際にその金額で生活し、「継続することができるか」を実際に確かめてみましょう。その際にきついと感じるようなら、積立金額を調整する必要があります。反対にもし、もう少しがんばれそうなら、毎月の積立金額を増やすことも積極的に検討しましょう
まとめ
現在30代のみなさんは、毎月の収入のうちどれぐらいを貯蓄に回せているでしょうか。今後、子どもが大きくなり高校や大学に進学する40代以降は教育費や住宅費もかさみがちですので、お金を貯めにくくなるでしょう。そのため、30代の今の時期から、家計を貯蓄体質へ改善しておくことがとても大切です。一度、貯蓄することが習慣になってしまえば、その後も無理なく計画的に貯蓄できる家計になっているはずです。
ライフプランに備えた貯蓄計画は早ければ早いほど有利です。周りのマネー事情も参考にしながら、自分の今後のお金との付き合い方を見直すきっかけにしていただければと幸いです。
ただし、貯蓄の割合にだけこだわってしまうと、実際の状況にそぐわず、貯蓄が継続できなくなってしまうかもしれませんので、平均的な割合を参考にしつつ、自分のできる範囲で貯蓄を継続していくことが大切です。
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KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士
長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。
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