20/05/23
共働きの年代別世帯年収と貯蓄額の実態
すっかり夫婦のスタンダードとなった「夫婦共働き」。1997年に夫婦共働きの家庭の数がいわゆる専業主婦の家庭を上回って以降、一貫して共働きの家庭が増えているといいます。そんな共働き家庭の家計はどうなっているのでしょうか。
データをもとに、共働き世帯の年代別世帯年収や貯蓄額の実態に迫ります。
共働き世帯はどのくらいいる?
2019年の総務省統計局「労働力調査(基本集計)」によると、夫も妻も「雇用者」(非農林業雇用者)の世帯、つまり共働きの世帯は約1252万世帯となっています。
共働きの世帯の妻の就業時間を見ると、月121〜180時間が最も多く464万世帯となっています。週5日間の勤務(1カ月に22日間)だとすると、1日あたり5時間〜8時間働いている人が多いようです。それに次いで月61〜120時間が408万世帯になっています。1日あたり3〜5時間、あるいは週に3回1日8時間勤務という人が当てはまるでしょう。
年代別・共稼ぎの世帯年収は?
では、共働き夫婦の世帯年収はどのくらいでしょうか?
2019年の総務省「家計調査(家計収支編)」によると、勤労者世帯の勤め先収入の平均は53万6305円(年換算で643万5660円)です。
さらに年代別で見ると、次のとおりとなっています。
●共働き世帯の年代別の世帯年収
((世帯主収入+世帯主の配偶者の収入)×12で算出)
~29歳:41万5993円(年499万1916円)
30~39歳:51万7013円(年620万4156円)
40~49歳:58万9799円(年707万7588円)
50~59歳:62万6967円(年752万3604円)
60〜69歳:33万5167円(年402万2004円)
世帯主収入の平均は43万8263円(年525万9156円)、世帯主の配偶者の収入は8万3468円(年100万1618円)となっています。す。支出と栄養バランスに気を付けながらも、作り手に無理のない食事作りを心がけましょう。
社会人経験の少ない20代の場合は共働きでも年収の平均がようやく500万円台に届こうかというところですが、年代が上がるごとに、共働き世帯の世帯年収も上がることがわかります。特に40代以降は管理職になる人の数も増えるため、結果として世帯年収が増加していることが考えられます。
また、60代になると再雇用・継続雇用などのいわゆる「高年齢者雇用」によって給与が下がっている様子もうかがえます。
とはいえ、この金額は世帯主の配偶者がパート・アルバイトを前提とした金額になっていると考えられます。夫婦ともに正社員だったときの金額とは、少しかけ離れているでしょう。
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、男女別・年代別の毎月の賃金額は次のようになっています。
一番多い50歳〜54歳で男性42万3700円、女性27万5800円です。仮に同じ歳の夫婦だったとして、毎月の賃金の合計は69万9500円となります。
これを12倍して1年に換算すると、1年の賃金の合計は839万4000円となる計算です。ここには、賞与や残業代などが含まれていませんので、これらを含めれば夫婦で1000万円に達することも十分にありえるでしょう。
勤労者世帯の年代別の貯蓄額は?
総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」(2019年)によれば、2人以上の勤労者世帯の1世帯あたりの平均預貯金額は、下記の通りです。
〜29歳:354万円
30~39歳:730万円
40~49歳:1076万円
50~59歳:1704万円
60〜69歳:2330万円
金額が大きくて驚かれるかもしれませんが、この平均額は、一部のお金持ちが大きく引き上げてしまう傾向があります。勤労者世帯全体の平均値は1376万円ですが、貯蓄0の人を含めた中央値(全体のちょうど真ん中の人の金額)は801万円となっています。
とはいえ、こちらも世帯年収と同じように、年齢が上がるにつれて、預貯金額も増えています。収入が減る60代は、それまでの蓄えが大きいことがわかります。
なお、こちらは勤労者世帯に限ったデータではありませんが、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(令和元年)による年代別の金融資産保有額は、次のようになっています。
こちらも、平均だけ見るととても高額に見えますが、中央値となるとだいぶ少なくなります。金融資産非保持者がどの年代も2割前後いることも、中央値を引き下げる要因となります。
共働きの意外な落とし穴に注意
共働きは収入源が2つありますから、それなりにリッチな暮らしができるように感じられるかもしれません。特に、世帯年収が1000万円以上あれば、普通の感覚で見ると「お金に困らなそう」「貯金が多そう」という印象を受けます。しかし実は、世帯年収が高いがゆえに、お金が貯まらないという落とし穴もあるのです。
気をつけたいのがやはり無駄遣い。特に子どもがいない場合は、自分たちで自由に使えるお金が多くなります。だからといって、日々の生活に必要なものを気軽にコンビニで買ってしまったり、生活水準を上げたりしてしまうと、お金が貯まりにくくなります。
また、夫婦で財布を別にしている場合も要注意。それぞれが「パートナーが貯めているから大丈夫」と安心して、自分の趣味や交際費などにお金を使いすぎてしまっているケースがあります。こうなると、フタを開けたらびっくり! ということにもなりかねません。
大切なのは「お金の貯まる仕組み作り」
共働きでお金に余裕があるからといって、散財してしまうようでは、いつまでもお金は貯まりません。家計を確認して、毎月きちんと貯蓄することはもちろん、将来のために貯蓄の一部を投資に回すことを考えていきましょう。
たとえば、つみたてNISA(積立NISA)は、コツコツと投資信託の積立投資をすることで得られた利益にかかる20.315%の税金を非課税にできる制度です。
つみたてNISAで投資できる年間の投資金額の上限は40万円までと少なめですが、非課税で投資できる期間は最長20年ととても長くなっています。投資できる投資信託は、金融庁の定める基準を満たす、低コストで長期投資に向いたもののみになっています。
また、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は自分で掛金を出して運用し、老後資金を作る制度。積み立てた掛金と運用した利益を60歳以降に受け取れます。
iDeCoのメリットは3つの大きな税制優遇が受けられることにあります。
まず、月々の掛金が全額所得控除できるため、所得税や住民税が減らせます。次に、つみたてNISA同様、投資などで得た利益にかかる税金がすべて非課税にできます。
そして、受け取るときにも年金の場合「公的年金等控除」、一時金の場合「退職所得控除」という控除が受けられ、税金を節約できます。
はじめは少額でも、貯蓄に加えて、こうした投資の制度を利用していけば、徐々に資産を増やしていくことができるでしょう。ぜひお金が貯まる仕組みを作って、実践していきましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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