25/06/09
退職・転職で申請するともらえるお金5選

退職や転職の際には、一時的に収入がなくなるなど、生活費の不安が生じることがあります。ところで、退職や転職の際に申請すれば受け取れる給付金や公的支援があるのをご存じでしょうか?今回は、退職・転職で申請するともらえるお金を5つ紹介します。
退職・転職で申請するともらえるお金(1) 雇用保険の基本手当(失業給付)
失業給付は、失業中の生活を支えるための給付で、ハローワークで申請すると受給できます。失業給付を受けるには以下の要件があります。
・原則過去2年間に通算12ヶ月以上雇用保険に加入している
・労働の意思・能力があり、就職活動をしている
失業給付をもらうには、ある程度時間がかかります。
<自己都合退職の失業給付の受給手続きの流れ>

厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」より
自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加えて1ヶ月の給付制限期間があります。2025年3月までは「2ヶ月」でしたが、4月からは原則1ヶ月に短縮されました。また、教育訓練を受けた場合は給付制限が解除されます。失業給付の支給は給付制限期間の後です。
なお、会社都合退職の場合は給付制限期間がありません。
失業給付の給付額は退職前6ヶ月の賃金日額の50〜80%程度となります。
<基本手当日額の計算方法(2024年8月1日〜)>

厚生労働省の資料より
たとえば45歳で退職前6ヶ月の賃金日額が1万円の人の場合、1日あたりの失業給付の金額は6102円です。この金額が支給期間の日数分(退職理由・年齢・加入年数により90日〜360日)もらえます。
退職・転職で申請するともらえるお金(2) 再就職手当
退職後早期に再就職が決まった場合、雇用保険から再就職手当がもらえる可能性があります。これは、基本手当の所定給付日数を一定以上残した状態で再就職した人へ給付される手当です。再就職手当受給の主な要件は次のとおりです。
・基本手当の支給残日数が3分の1以上ある状態で就職
・1年を超えて継続勤務する見込みのある雇用
・前職と関係がない企業への再就職
再就職手当の金額は残りの基本手当の60%または70%で、再就職後1ヶ月以上勤務してから申請できます。
退職・転職で申請するともらえるお金(3) 教育訓練給付金
転職のためにスキルを身につけたい人におすすめなのが教育訓練給付金です。これは、厚生労働大臣が指定する講座の受講にあたって申請すると、修了後に費用の一部が支給される制度です。雇用保険の被保険者であった期間が一定以上あることが要件になります。
教育訓練給付金には3種類あり、支給額も異なります。
①一般教育訓練給付金:受講費用の20%(上限10万円)
②特定一般教育訓練:最大40%支給(上限20万円)
③専門実践教育訓練給付金:最大50%支給(年間上限40万円)
なお、②③は資格取得かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合には、追加支給が受けられます。
教育訓練給付金をもらって講座を受講するには、ハローワークで事前申請が必要になるため、早めに準備しておきましょう。
退職・転職で申請するともらえるお金(4) 高年齢雇用継続給付
定年退職した後も働く場合には、高年齢雇用継続給付が受けられる可能性があります。これは、60歳以降の賃金がそれまでの75%未満になる場合に、その差額の最大10%の支給が受けられる制度です。
高年齢雇用継続給付を受けるには、雇用保険の被保険者期間が5年以上必要になります。対象になる場合には、会社を通じて申請すれば振り込んでもらえます。支給される期間は最長65歳までです。定年後にパートや嘱託勤務となり収入が減った人にとっては、生活の安定に大きく役立ちます。
退職・転職で申請するともらえるお金(5) 職業訓練受講給付金
ここまで紹介した(1)~(4)のお金は雇用保険に加入していた人がもらえるものですが、雇用保険に加入していなかった人にも職業訓練受講給付金という支援制度が用意されています。
職業訓練受講給付金は、対象者がハローワークに求職申込をして職業訓練を受ける場合に支給されるものです。月額10万円の受講手当が支給されるほか、通所手当(交通費)や寄宿手当(宿泊費)も一定額までもらえます。訓練期間中の生活費の不安が軽減するため、該当する人は転職時に申請するとよいでしょう。
退職や転職の際にはもらえるお金の申請を忘れずに
退職・転職でお金の不安があるときには、公的な支援を受けられることがあります。制度を知っておき必要に応じて申請すれば、次の一歩に必要な生活資金やスキル習得の支援が受けられます。退職・転職を損しない選択にするためにも、こうした制度を賢く利用しましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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