20/02/01
共働きと専業主婦家庭ではもらえる年金額が100万円以上違うって本当?
公的年金だけでは2000万円不足するとも言われる老後の資金をどう準備するかは深刻な問題。その公的年金も共働き家庭と専業主婦家庭で大きな格差があるのをご存じでしょうか?今回は、共働き家庭と専業主婦家庭の年金額の違いや、年金額を増やす方法について説明します。
共働きと専業主婦では老後の生活に大きな違いが出る!?
共働き家庭と専業主婦家庭で公的年金にどれくらい差があるのかを検証してみましょう。下の表は、夫が平均的収入(平均標準報酬42.8万円)で40年間就業したものと仮定し、その間妻がずっと専業主婦だった世帯と、夫と同レベルの収入を稼いでいた共働きの世帯との年金受取額を比較したものです。
厚生労働省「平成31年度の年金額改定について」より筆者試算
専業主婦には厚生年金はないので老齢基礎年金のみですが、働いていた妻は老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。夫婦2人分の年金額を合わせると、共働き世帯と専業主婦世帯とでは1か月あたり約9万1000円、年間だと約110万円違いが出ます。
年金が月30万円程度あれば何とかなりそうな気がするけれど、月20万円程度では不安を感じる人が多いのではないでしょうか?現在専業主婦の人は、不足する老後資金の準備をどうするかを考えておく必要性が高いと言えます。
専業主婦家庭が老後の年金を増やす裏ワザは?
専業主婦世帯では老後の年金に特に不安があります。そこで、年金を増やせないかということですが、次のように年金を増やす裏ワザはいくつかあります。
●年金を増やす裏ワザ①加入期間が足りないなら任意加入
国民年金の加入期間は60歳までですが、60歳まで加入しても加入期間が足りずに老齢基礎年金が満額受給できない人がいると思います。このような人は、60~65歳の間の国民年金に任意加入し、加入期間が40年に達すれば満額受給が可能になります。
●年金を増やす裏ワザ②付加年金に加入
①とセットで利用できる方法ですが、国民年金の任意加入期間中、付加年金に入ることでも年金を増やせます。付加年金とは、月400円を国民年金保険料に上乗せして支払うことで「200円×保険料納付済月数」の年金を老齢基礎年金に加算して受け取れるというものです。仮に60~65歳までの5年間付加年金に加入したとすると、年額で1万2000円年金を増やせます。
●年金を増やす裏ワザ③ 繰下げ受給
年金の受給開始時期を遅らせる繰下げ受給をすることでも年金を増やせます。たとえば、受給開始を70歳にした場合、受給額は42%増加します。ただし、老齢厚生年金を繰り下げると、繰り下げている期間中は厚生年金の家族手当である「加給年金」も受け取れず、トータルでの受給額が減ってしまうケースもあるので注意しましょう。
●年金を増やす裏ワザ④ iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は公的年金を補う私的年金で、毎月掛金を拠出することにより年金資金を積み立て、老後に一時金または年金の形で受け取れるものです。専業主婦も月額2.3万円を上限に掛金の拠出ができます。
iDeCoは掛金が全額所得控除になるのが大きなメリットですが、所得のない専業主婦には所得控除は関係ありません。しかし、iDeCoでは運用益が非課税になるほか、受取時にも節税メリットがあるため、専業主婦も老後資金を用意する手段として活用したいところです。
老後資金を増やしたいなら共働きがいちばんお得
専業主婦でも上に書いたような方法で多少は年金を増やせます。しかし、老後資金を作るために最も有効な方法は、働いて自分の厚生年金を用意することでしょう。
パートでも年収106万円以上など一定の要件をみたせば厚生年金を含む社会保険に加入できます。社会保険に入ると保険料で手取りが減ることを気にする人が多いですが、将来的には年金で返ってくるということを認識しておきましょう。
老後資金を貯蓄で用意するにも限界があります。公的年金は一生涯もらえる終身年金なので、公的年金を充実させればライフプランも立てやすくなります。特に、女性は寿命が長いので、働いて厚生年金を増やした方が得とも考えられるでしょう。
まとめ
結婚した後、共働きを続けるか専業主婦になるかで、老後に年金格差が生じます。年金の不足分を貯蓄で補うのは大変なので、働いて厚生年金を増やすことを考えましょう。
生きている間には、想定外の離婚や死別も起こり得ます。女性も働いて自分でお金を生み出す力をつけておくことは、老後対策にとどまらず、あらゆるリスク軽減のために有効です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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