19/07/29
自分の年金はいくら? 新ねんきん定期便の見方を徹底解説!
毎年、誕生日が来る前に、「ねんきん定期便」が届きます。このねんきん定期便、2019年度よりデザインが変更になったのですが、ご存じでしたか。
え、知らない? 見たことがない? あなたの老後の年金についての大切な資料ですので、ぜひ見ていただきたいと思います。
今回は、ねんきん定期便に書いてあることと、書いていないけれど大切だと思われることについて、わかりやすく解説します。
ねんきん定期便はハガキと封書の2タイプ
ねんきん定期便は、日本年金機構から毎年1回、誕生日前に届く書類です。ねんきん定期便には、保険料の納付状況や将来もらえる年金の金額が記載されています。
ねんきん定期便は、基本的にハガキで届きますが、35歳、45歳、59歳になる年は、ハガキではなく封書で届きます。
大きな違いは、保険料の納付状況の記載量です。
ハガキの場合は、直近1年だけが記載されているのに対し、封書の場合は、年金に加入したときからの履歴がすべて記載されています。
2019年より、ねんきん定期便のデザインが変わりました。これまでより文字が大きくなったうえ、現状の受取額がグラフで記載されるようになっています。
ねんきん定期便に書いてあること
それでは、ねんきん定期便に何が書いてあるかをチェックしていきます。
まずは裏面から。ねんきん定期便のハガキの裏面に記載されている主要な情報は、下の3つです。
・これまでの保険料納付額(いくら支払ったか?)
・これまでの年金加入期間(期間はどれくらいか?)
・これまでの加入実績に応じた年金額(いくら受け取れるか?)
●ねんきん定期便の裏面
上から順番に、「いくら支払ったか→期間はどれくらいか→いくら受け取れるか」という流れになっています。将来の生活資金として、年金がどのくらいあるのかがわかりますので、足りない分をどう準備しようかなど、将来の資金設計に生かすことができるでしょう。
また、ねんきんネットに登録し、何歳から受給するかなどの条件を入力すると、年金の受給見込みがシミュレーションできます。将来の資金設計を検討するのに便利です。
これまでの加入実績情報についても、いつでも確認できます。
ねんきんネットへの登録は、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーを使って行います。
続いて、表面も見てみましょう。
ねんきん定期便のハガキの表面には、直近1年の加入履歴とグラフがあります。
現状での年金受取額の目安と、繰り上げ受給・繰り下げ受給についての案内が記載されています。
●ねんきん定期便の表面
もし、加入状況にもれがあったり、間違っていたりした場合は、年金事務所に必ず問い合わせてください。
繰り上げ受給・繰り下げ受給の影響は?
繰り上げ受給とは、60歳から65歳になる前までに年金をもらうことです。それに対して繰り下げ受給とは、65歳になった後から70歳になるまでに年金をもらうことをいいます。
掲載されているグラフをみると、70歳まで年金を繰り下げた場合に、年金額が42%増加することがわかります。ですが、もし繰り上げ受給をしたらどうなるのでしょうか。ねんきん定期便には、実はそのことが書いてありません。
繰り上げ受給をすると、早ければ60歳から年金が受け取れますが、年金受給額は最大で30%減額されます。つまり、毎回もらえる年金の額は、60歳(繰り上げ)より65歳、65歳よりも70歳(繰り下げ)のほうが多くなります。
また、減額・増額された年金受給額はあとから変更できず、生涯にわたって続きます。
年金受給の累計額は、はじめは60歳から受給開始した人のほうが多いのですが、やがて、65歳・70歳から受け取った人のほうが多くなります。それがいつなのか、グラフで見てみましょう。
下図は、国民年金(基礎年金)の受給累計額を表したグラフです。国民年金は20歳から60歳までの40年間収めると満額の78万100円(令和1年度)が受け取れます。
●年金受給累計額のグラフ
年金を60歳から受給している人と、65歳から受給している人の受給累計金額は、77歳で逆転することになります。また、70歳から受給している人の受給累計金額は、79歳で逆転します。
さらに、65歳から受給している人と、70歳から受給している人の受給累計金額は、81歳で逆転することになるのです。
そして、81歳以降の年金受給累計額は、年金の受給開始が遅い人ほど多くなります。長く受給すればするほど、その差は開いていくことになります。
繰り上げ受給と繰り下げ受給、どっちが有利?
60歳を迎えると、多くの方の収入が減ってしまいます。生活費に困るほどならば、繰り上げ受給が必要になる場面も出てくるでしょう。
しかし、長期的にみれば、繰り下げ受給のほうが有利になるケースが増えると考えられます。
内閣府が発表した「平成30年版高齢社会白書」によると、日本人の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳と世界でもトップクラスです。
また、自立した生活が可能とされる健康寿命の平均は、男性72.14歳、女性74.79歳です。
寿命は人それぞれですし選べませんが、元気な高齢者が多くなるこの先、本当に必要になるときのため、少しでも多くもらえる繰り下げ受給を検討してみてはいかがでしょうか。健康寿命も伸びていますので、70歳を超えても元気に働ける可能性があります。また、働くことが本人の生きがいにもなるでしょう。そしてなにより、もらえる年金の額も増えることになります。
まとめ
ねんきん定期便には、今までの加入実績から、どれくらい年金が受け取れるかが記載されています。ねんきんネットに登録しておけば、年金を試算することもでき、将来の資金設計がしやすくなっています。老後の収入の変化を知ることで、働き方など、今後の生活を考え直す機会にもなるでしょう。
あなただけの年金情報が記載されているのが、ねんきん定期便です。
ぜひ確認してみてください。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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