19/03/29
祖父母からお金をもらった…贈与税がかかる場合とかからない場合はどんな時?パターンで解説
孫の誕生や、入学・卒業など節目のときに祖父母からお祝い金をもらう人も多いのではないでしょうか。また、孫が祖父母と会ったときお小遣いをもらう、なんてことも。
しかし、金額や使い道によっては、そんな何気なく行われているお金のやり取りに「贈与税」という税金がかかる場合があります。
どのようなときに贈与税がかかるのか、また贈与税がかからないためにはどうしたらいいのか、あとから税金発生!? ということがないようしっかり押さえておきましょう。
贈与ってなに?どんなときに贈与税がかかるの?
日常生活であまり使うことのない「贈与」ということば。なんだか難しそうですよね。
贈与とは、個人から財産をもらうことです。法律の上では、あげる側ともらう側が両方とも「贈与する(される)と合意することで成立します。そしてその財産をもらったときにかかる税金が贈与税です。
たとえば、下記のように、祖父母からお金をもらうケースも珍しくないでしょう。
(1)子の誕生で、お祝い金を兼ねて今後お金がかかるだろう、と父母から100万円をもらう
(2)中学受験を控えて塾に行きはじめた孫が、祖父母から塾代やその後の学費として200万円をもらう
(3)結婚の近い孫が、結婚式や新居のための費用として祖父母から300万円もらう
このうち、(2)と(3)は贈与税の課税対象となります。
(1) が贈与税の課税対象にならないのは、基礎控除という制度があるからです。
贈与税には、110万円の基礎控除があります。贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)にもらった財産の合計額から基礎控除の110万円を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかります。もらった財産の合計額が110万円以下の場合、「贈与税はかからない」ということになります。
祖父母からお金をもらったとき、すべてが「贈与」となるわけではなく、「贈与にあたらない」場合もあります。たとえば、扶養義務者(困窮などが原因で日常生活が営めない人がいたとき、お互いに助け合わなければいけない人。父母や祖父母、兄弟姉妹など)から、通常の日常生活に必要な生活費や教育費(学費・教材費・文具費など)をその都度もらい、これらに充てた場合は「贈与にはあたらない」ことになります。しかし、そのお金を貯金したり株式や不動産などの購入資金に充てたりした場合には贈与となり贈与税の課税対象になります。
贈与の特例制度を使えば非課税にできる可能性
贈与にあたる場合でも、まとまった金額を非課税で贈与することができる特例制度があります。ただし、要件が細かくありますのでそれぞれみていきましょう。
●教育資金の一括贈与
信託銀行等を通して、教育資金として父母や祖父母から30才未満の子や孫へ一括で贈与をした場合、1500万円(学校等以外の習い事などは500万円)まで贈与税が非課税となります。なお、贈与を受けた子や孫が30歳に達したとき使い切らなかった分がある場合、その時点で残額に対して贈与税が課税されます。当初、2019年3月31日までと期間が決められていましたが、2年延長され、2021年3月31日までとなっています。
ただし、2019年4月1日以降の贈与については、従来はなかった所得制限が追加。贈与を受ける子や孫の前年の所得が1000万円以下でなければいけないことになっています。また、2019年7月1日以降の贈与については、子や孫が23歳となった翌日以降は学校等以外の習い事の資金は教育資金の範囲から除外されることになりました。
●結婚・子育て資金の一括贈与
教育資金と同様、信託銀行等を通して、結婚・子育て資金として父母や祖父母から20歳以上50才未満の子や孫へ一括で贈与をした場合、1000万円(うち結婚資金は300万円)まで贈与税が非課税となります。なお、贈与を受けた子や孫が50歳に達したとき使い切らなかった分がある場合、その時点で残額に対して贈与税が課税されます。この制度も当初2019年3月31日まででしたが、2年延長されて2021年3月31日までとなっています。
ただし、2019年4月1日以降の贈与については、贈与を受ける子や孫の所得制限が追加され、前年の所得が1000万円以下でなければこの制度を使うことはできなくなりました。
●住宅取得等資金の贈与
2021年12月31日までの間に、父母や祖父母からの贈与によるお金でマイホームの購入や増改築をした場合、契約日に応じた金額まで贈与税が非課税となります。具体的には次の表の通りで、建物部分の消費税が10%になったら非課税となる金額が増えます。
イ)下記ロ以外の場合
ロ)マイホームの建物部分が消費税率10%である場合
※国税庁ホームページより
まとめ
祖父母からもらうお金は、その都度もらう生活費や教育費であれば特例を使うことで贈与税をなくすことができます。ただし、「教育資金の一括贈与」や「結婚・子育て資金の一括贈与」は、一度契約すると解約ができません。また、残額に税金がかかったり、所得制限が新たに設けられたりしています。
まとまった金額を一括でもらうときには、将来のライフプランをしっかり見据えた上で、贈与の金額を慎重に決め、特例制度を上手に活用しましょう。
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田中 友加 「自分らしい生き方」を応援!お金のパーソナルトレーナー
自動車販売業に従事した後、税理法人にて経営コンサルティング業へ。その後、IT関連会社を設立、取締役に就任。2016年にFP資格を取得、「FPリファイン」を創業。並行して独立系FP事務所にて、家計改善を中心とした幅広い相談業務を2年間経験。「実現しやすく・分かりやすく」をモットーに、賢い資産形成のサポートを活動中。日商簿記1級。
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