22/04/21
30代共働き夫婦の年金はいくら?私の年金このままで大丈夫なのか教えてください
安心できる老後生活の切り札は「共働きの世帯である」とWebの記事で書いたことがあります。夫婦ともに会社員・公務員であった場合には、厚生年金がダブルで受け取ることができるからです。
厚生年金の平均受給額は、女性で約10.3万円、男性で約16.5万円です。すると夫婦の合計年金額は約27万円になります。高齢夫婦無職世帯の平均支出は約27万円です(厚生労働省「家計調査」2019年)。と考えると、夫婦共稼ぎの場合には、年金だけでもなんとか暮らしていける計算になります。
しかし、これはいまの50代・60代に言えることなのです。では、いまの30代の共働き夫婦の老後生活は、どんなふうになるのでしょうか?
65歳になったときの年金を予測しながら、老後生活を豊かに過ごせるための対策について解説します。
30代共働き夫婦の年金額は、約25万円
現在の30代共働きの夫婦の年収を考えてみます。いまの時代は、平均賃金がかなり落ちています。
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査の概要」によると35〜39歳の平均賃金は305万円。男性は328万円、女性は259万円です。
そこで、平均賃金に近い収入の30代の共働き夫婦が、65歳になったときの年金をシミュレーションしてみましょう。
●30代共働き夫婦の年金シミュレーション
「私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの?教えてください。」より
妻は30歳の正社員で平均賃金は22万円です。そして60歳から65歳は、再雇用になるので平均賃金を15万円に設定しました。
夫は34歳の正社員で平均賃金は30万円です。60歳から65歳は、再雇用で平均賃金は20万円に設定しました。
この条件で65歳の年金の受給額を計算すると、妻は12万円、夫は13万円になります。夫婦の合計年金受給額は約25万円です。
最初に例に出した、現在の年金の平均受給額と比べると、約2万円少なくなっています。
高齢夫婦無職世帯の平均支出と比べると、毎月2万円の赤字になりそうです。
豊かな老後を過ごすための対策は?
いまの30代の共働き夫婦の65歳以降の年金生活は、それなりに節約しないとちょっと厳しい生活になるという予測になります。月25万円の暮らしですから、家賃が高いと厳しいかも知れません。もっと豊かな老後を過ごすためには、対策が必要になります。
では、具体的にはどんな対策が必要なのでしょうか?
まずは、老後生活のベースとなる「年金」の増額を考えましょう。
年金を増額する方法として、必要なのは「長く働く」ことです。
現在は65歳まで、再雇用で働くというのが一般的ですが、30年後には、70歳まで働くというのが当たり前の時代になっていると予想されます。70歳まで働くことで厚生年金の受給額がアップしますし、その間は、収入があるので年金の繰下げ受給ができます。そうすると年金が増額になります。
年金の繰下げ受給をすると、受取額が増えます。1年間受け取りを遅らせれば、8.4%の増額です。70歳まで繰り下げるので、42%の増額となります。
仮に70歳まで働き、年金を70歳まで繰り下げれば、年金受給額は妻が月額17万円、夫が19万円になり、夫婦合計金額が36万円になります。平均の支出が27万円とすると毎月9万円の黒字になるというわけです。これなら、ゆとりのある老後生活になるということです。
状況別・年齢別に将来をシミュレーションする
老後の生活、老後のお金のことを約8割の人が心配しています。いまのままで大丈夫なのか?不安ですよね。
では、自分の将来のためにどんなことをどうすればいいのでしょう?自分の老後、お金のために何をすべきなのか?ということですね。
これは、それぞれ働き方や置かれた状況により違ってきます。
たとえば、共働き夫婦・シングル・フリーランス・自営業・シングルマザー・派遣社員、復職を検討している人、離婚を考えている人、介護離職を検討している人、起業を計画中の人など、さまざまなケースで違ってきます。
そのさまざまなケース別に、将来の年金額をシミュレーションして、豊かな老後生活をするには、どうすればいいのかという対策を考えていくことが必要です。自分のケースで考えて、豊かな老後生活を実現していきましょう。
『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの?教えてください。』長尾義弘 著
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長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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