22/04/11
年金は早く受け取っても大丈夫?退職金は一時金と分割どちらが得?…50代のお金の悩み、どう解決するのが良いか
「50代!」じつはこの年代の人には、お金の悩みというものについて、計り知れないほどの切迫感があります。
カウントダウンの定年、どんどん増える教育資金、まだまだ続く住宅ローン、収入が減る役職定年、不安しかない老後資金、先細る貯蓄などなど問題は山積みです。
実際に、「老後資金を貯めるには、どうすればいいのか?」「家計が苦しいので、節約をしたいけとどうすれば?」「退職金の受け取り方は、どうすればいいのか?」「年金は早めにもらっても大丈夫か?」などなど、さまざまな疑問と不安が渦巻いています。
そこで、間違った対処法をしてしまうと、損をすることもあります。
今回は、お金の悩み多い50代からの質問と、その解決法をQ&A形式でズバリお答えします!
年金「繰上げ受給」で早めに受け取って大丈夫?
Q:子どもの教育費で家計は火の車、しかも、子どもは3人。順番に卒業はしてくれそうだからいいのだけど、まだまだあと4年間はこの状態が続く。ちょっと遊ぶお金がほしい!60歳になったら、年金の繰上げ受給ができると聞いたので、受け取って遊ぶお金にしたいのだけど、大丈夫なの?
A:大丈夫ではありません!
繰上げ受給をすると月0.4%の減額になります。60歳から年金を受け取ると24%の減額になり、この金額が一生涯続くことになります。
長い老後生活で、ベースとなる収入は年金です。一生涯24%減った年金で生活をするということは、かなり厳しい老後生活になるということです。さらに、繰上げ受給をすることで、遺族年金や障害年金を受け取ることができません。
できれば、繰下げ受給をして年金額を増やすのが理想です。年金の受給額を増やすことによって、老後の生活は安定します。生活が苦しい場合には仕方がありませんが、せめて、あと5年間我慢をして、65歳から年金を受け取るようにしましょう。
老後資金が貯まらない…よい貯蓄方法は?
Q:老後資金を貯めたいのですが、どうしても貯蓄ができないのです。貯蓄をしても、どういうわけか無くなってしまいます。よい貯蓄方法は?
A:それは「貯蓄の公式」が間違っているのではないかと思います。
貯蓄の公式は、次のようなものだと思っていませんか?
・収入−生活費=貯蓄
じつは、これは間違いです。これだと生活費がかさんだ月に貯蓄ができなくなるため、いつまで立っても本当に貯めることは難しいです。よほど意思が強い人でなければ、至難の業でしょう。
正しい貯蓄の公式とは、次のようなものです。
・収入−貯蓄=生活費
この公式は「先取り貯蓄」というもので、先に貯蓄を取り分けて、残りで生活することを表しています。ある程度、強制的に貯蓄するようにしないと、なかなかお金は貯まりません。
先取り貯蓄できる仕組みを利用するのもいいでしょう。たとえばイデコは60歳まで引き出せないから老後資金が貯まります。財形貯蓄は給与から天引きになっています。先に貯蓄分を貯めて、残りの受け取ったお金で生活をやりくりするのでお金は貯まっていくのです。つみたてNISAも口座から自動的に引き落とされるので、貯まりやすいです。
このように貯まるシステムを作ることに成功すれば、お金は貯まってきます。まず、貯まるシステムを考え直してみましょう。
お金を貯めるために優先すべき節約は?
Q:やはり、お金を貯めるには節約をしないとダメですよね?節約ってやっぱり食費などを削った方がいいのでしょうか?なんかわびしい生活になりそうでイヤなのですが、どうすればいいのでしょう?
A:食費を削ったとしてもたいした節約にはならないかも知れません。それに食べたいものを我慢するなんて、長続きはしません。逆にストレスが貯まって、リバウンドで豪華な食事ってことになりかねません。ダイエットと同じですね。
節約の基本は、大きな支出から見直した方が効率的で長続きします。ここでいう大きな支出とは、生命保険とか、携帯電話、自動車にかかる費用、それに住宅の費用です。
ムダな保険に入っていないかをチェックして見直すのも、毎月の保険料の削減になって大きな節約につながります。携帯電話も安いプランに乗り換えることで毎月の通信費の節約になります。自動車も所有からカーシェアなどにすることで大きな節約になりますし、もしあまりクルマを使っていないならば、カーシェアのオーナー登録をしておくと収入を得られます。コロナ禍で出勤が少なくなってリモートで仕事ができるようなった人は、家賃の高い都心では無く郊外に住むことで、家賃が減るってこともあります。
これらの節約は最初に見直しをするのが大変ですが、見直し後は、そのままでもずっと節約が続くことになるので、総額ではとても大きな節約につながります。
退職金のお得な受け取り方は?
Q:退職金は、一時金で受け取った方が得なのですか?それとも年金で受け取った方がいいですか?
A:この問題については、悩んでいる方が多いです。
一時金で受け取った方が、手取り額が多くなることが多いです。税制優遇が大きい退職所得控除があるからです。
年金で受け取る場合にも、公的年金等控除がありますが、一定の金額を超えると雑所得として課税されますし、所得税、社会保険料が高くなります。
ですが、私は年金で受け取った方が得になることが多いと考えます。なぜなら、一時金で受け取った人の話を聞いてみると、「退職金を何に使ったのか、覚えていない」「銀行で運用したけど、失敗した」と言われることが多いからです。退職金はあまり有効に使われていないことが多いのです。
その点、年金で受け取ると計画的に使うことができます。たとえば、年金の繰下げのために使う、つみたてNISAの資金に使うなどです。ですので、あえて年金で受け取る方法を勧めます。
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長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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