22/03/26
50代貯蓄ゼロが年金を増やす5つの方法 増える金額はどのくらいか
金融広報中央委員会の調べによれば、50代で貯蓄ゼロの人は決して少なくありません。単身世帯では41.0%が貯蓄ゼロ、2人以上世帯でも13.3%が金融資産を持っていません。
老後が間近に感じられる時期に貯蓄がないのは不安ですが、老後資金の柱である公的年金を増やす方法があります。
今回は、老後の暮らしをささえる年金を増やす方法と、増える金額についてお伝えします。
年金の繰下げは月0.7%増
年金対策も、まずは現状を知るところが始めましょう。50歳になると、ねんきん定期便に将来受け取れる年金額が掲載されるようになります。
年金額は、その時の加入条件が60歳まで継続すると仮定して計算、年額で記載されています。たとえば、老齢年金の見込み額が180万円なら、月15万円になります。
この年金額を増やすには、繰下げが有効。受け取るタイミングを後ろ倒しにする繰下げは、1カ月繰下げるごとに0.7%増やすことができます。
70歳まで繰下げすると42.0%増ですから、月15万円がおよそ21万円に増えます。2022年4月から75歳まで繰り下げることも可能になり、その場合にはなんと84.0%増。金額は15万円からおよそ28万円になります。
増額された年金額は一生涯変わりませんので、安心の老後につながりますね。
60歳以降も厚生年金に加入
年金の繰下げは、60歳以降も仕事を続けるなど収入が確保できれば、ぜひ取り入れたい方法です。
さらに、長く働くメリットは他にもあります。60歳以降も働いて厚生年金に加入すれば、受取る厚生年金の金額も増えます。
年間の給与が240万円=平均標準報酬額が20万円の場合、12カ月加入すると年間約1万3000円、1カ月あたり約1100円増やすことができます。
計算式は、下記のとおりです(2003年4月加入以降の場合)。
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数=年金額(年額)
65歳までの5年間厚生年金の加入を延ばせば、年間約6万5000円、70歳まで10年間加入すれば、年間約13万円、年金を増やすことができます。
未納期間があるなら任意加入
国民年金の加入は20歳~60歳の40年間です。1カ月も漏れなく保険料を払っていれば満額受け取れますが、転職のタイミングや、経済的に厳しい時期に未納期間ができてしまうこともあります。
未納期間があると、その分年金額は減ってしまいますが、65歳まで任意加入することで挽回できます。
1年間保険料を納めれば、年額約2万円年金を増やすことができます。1年分、もしくは半年分の前納を利用すれば、保険料の割引があるのでおトクです。
未納期間はねんきん定期便でも確認できるので、必ずチェックしておきましょう。
付加年金は少額ながら確実
国民年金には、付加年金という制度があります。付加年金の保険料は月400円。国民年金の保険料に上乗せして支払います。
受取る付加年金の金額は、下記の計算式で求められます。
付加年金=付加保険料納付月数×200円
たとえば、60~65歳まで付加年金に加入したら、支払う保険料の総額は2万4000円ですが、受取る付加年金額は、1万2000円アップします。
金額は小さいものの、2年で元がとれておトクです。
iDeCoは50代からでもOK
iDeCo(=イデコ、個人型確定拠出年金)は、節税しながら老後資金づくりができるおトクな制度。従来は加入期間が60歳まででしたが、2022年5月からは65歳まで加入できるようになります。
iDeCoを50~65歳までの15年間積み立てするとして考えてみましょう。会社員で企業年金がない場合、月の掛金上限は2万3000円です。この掛金を15年間、年利3%で運用すると、積立元金は414万円、運用益は約108万円、合計で約522万円になります。
iDeCoは運用益が非課税ですから、税金が差し引かれることなく全額受け取れるのが大きなメリットです。
掛金は全額所得控除できるので、所得税と住民税の節税になり、さらにおトクです。
ただし、iDeCoは公的年金に加入している人、つまり年金保険料を払っている人が対象です。会社員で厚生年金に加入していればiDeCoにも加入できますが、フリーランスなどが加入する国民年金は60歳までになります。
しかし、任意加入していればiDeCoへの加入も可能です。
まとめ
50代からできる、年金の増やし方をご紹介しました。
年金は老後の暮らしの要です。できるものから取り入れて、安心できる老後をむかえましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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