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25/06/24

相続・税金・年金

年金改正後に「氷河期世代の年金額が多くなる」は本当なのか

年金改正後に「氷河期世代の年金額が多くなる」は本当なのか

「将来、年金は本当に受け取れるの…?」
そう年金に不信感を募らせる人は少なくありません。特に、就職氷河期世代の方が抱える年金にひもづく老後生活への不安は根深いものがあります。そんな中、氷河期世代の年金の底上げにつながるかもしれない、と話題になっているのが、2025年5月16日に国会に提出され、今国会で成立した年金制度の改正法案です。
本記事では氷河期世代の年金の底上げにつながるかもしれない、厚生年金の財源を活用した基礎年金の底上げについて取り上げ、ポイントをできる限りやさしく解説します。

厚生年金の財源を活用した基礎年金の底上げ案のポイント

あんぱんの“あん”として、目下の話題となっているのが厚生年金の財源を活用した基礎年金の底上げ案です。

基礎年金の底上げ案とは、平たく言うと、もうすぐ終わる予定だった厚生年金の調整期間を延長し、それによって得られる財源を基礎年金の底上げに活用しようというもの。実際に実施されるかどうかの答えは4年後に出すこととなっています。

もし基礎年金の底上げが実施された場合は、今厚生年金を受け取っている方は当面のあいだ年金の給付水準が低下する一方、将来厚生年金を受け取る世代においては広く給付水準が向上することが見込まれています。

基礎年金底上げの影響は立場によって違う

年金の給付水準が低下する期間は10年程度となることが投影されており、その間どの程度年金の給付水準が低下するかは、その方の年齢や年金保険料の納付状況、現役時代の給与額、経済状況などによって異なります。トータルでの年金受給額への影響は、今後の年金受給期間が短い方ほど重くなる可能性があります。現役時代の厚生年金保険への加入期間が長い方ほど、女性よりも男性の方が影響を受ける可能性が指摘されています。

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厚生年金の積立金が自営業者のために流用される?

あんぱんの「あん」を巡って散見される批判が、「厚生年金の積立金が自営業者の方の受け取る年金のために流用される」というものです。

この批判は、筆者としては適切ではないと考えます。公的年金制度は、国民年金と厚生年金保険の二階建てになっており、基本的に財政は別々のものではありますが、厚生年金の加入者が支払う保険料は厚生年金を通じて国民年金財政にはいり、基礎年金の給付にあてられています。また、厚生年金の加入者は将来国民年金から基礎年金の給付も受けるしくみとなっています。

過去に余った保険料が積立金となり、運用されており、積立金に個人の持分という考えかたはありません。厚生年金の給付にあてず積立金となったお金は、被保険者や世代を超えてつかわれるものとなります。

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厚生年金の財源を活用した基礎年金底上げ案の背景

厚生年金の財源を活用した基礎年金の底上げ案が出てきた背景には、年金の給付調整が長引いていることがあります。
かねてより厚生年金と基礎年金両方において、マクロ経済スライドによる給付調整が行われていました。マクロ経済スライドとは年金の給付と負担をバランスするしくみです。しかし、マクロ経済スライドが行われなかった期間があり、財政検証の結果、厚生年金においては終了が早期に見込まれる一方、基礎年金では悪いケースでは30年程度の長期にわたって継続して給付水準が低下していく可能性が投影されていました。
将来世代の年金の給付水準に深刻な影響を与える可能性が指摘されており、公的年金全体でできる限り早期に調整を終わらせることが検討されていました。

一方、公的年金の財政は国民年金と厚生年金でわけられており、国民年金からの基礎年金の給付は厚生年金からの拠出も受けて行っています。その中で国民年金財政の厳格な見通しのもと厚生年金からの拠出額が決定されるしくみとなっていることが、基礎年金の調整が長引く一因となっていることが考えられていました。

給付調整はその期間が長引くほど将来世代にツケをまわすこととなります。大切な所得再分配機能が低下し、現役時代に低収入で厚生年金が少ない低所得者層ほど基礎年金の目減りの影響を大きく受ける可能性があります。世代間の不公平を解消し、基礎年金の給付水準を底上げするべく、今回のような基礎年金底上げ案が議題に上がったようです。

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氷河期世代の年金額は増える?氷河期世代の年金への影響

もし基礎年金の底上げが行われると、氷河期世代の方が受け取る年金額は増える可能性があります。なお、氷河期世代とは1990年代〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、一般的に2025年時点で50歳代前半から30代後半の方とされています。

ただし、基礎年金の底上げによって増える年金額は月額に換算すると決して多くありません。試算結果からは月5,000円程度が目安となりそうです。

最終的に将来受け取ることができる年金額を決めるのは、ご自身の保険料の納付状況です。将来の老後の不安を軽減させるためには、キャリアの土台を強化しつつ公的年金の受給額を着実に増やす日々の積み重ねや、資産形成が重要です。

公的年金はみんなの保険

年金制度の見直しは、世代間の「取り分」の問題として語られがちですが、重要なことは国民共通の基礎年金が将来にわたって一定の給付水準を確保できる骨組みの確保であり、持続可能な“支え合いの仕組み”の再設計ではないでしょうか。
就職氷河期世代のように、社会構造の変化の影響を受けてきた世代が将来困窮しないよう、制度の再構築が検討されています。今回の年金制度改正法案は、世代を超えてみんなを支える持続可能なしくみを再構築する第一歩と言えるのかもしれません。

内田英子 CFP,消費生活アドバイザー,住宅ローンアドバイザー

証券・保険業界出身の独立系ファイナンシャルプランナー。
住宅購入や定年退職をきっかけに保険や資産形成を見直す“家計の分岐点”に注目し、将来にわたって安心できる資金計画を中立・公正な立場からサポート。
制度や統計に基づいた分析と、自身の実体験をもとに、現実に寄り添うアドバイスを大切にしています。

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