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19/09/02

資産運用・経済

株の受け渡しが1日短縮!株主優待が欲しい人はいつまでに買えばいい?

個人投資家に人気の株主優待。株を持っていることで、その会社の製品やサービスなどを受け取ることができます。近年その内容は多様化し、ますますおトク度と楽しみ度が増しています。
そんな株主優待を受けるためには、株式を購入する必要があります。そのしくみや投資家として気をつけたい点についてやさしく解説します。すでにご存じの方も、改めて確認しておきましょう。

株主優待や配当金の権利付き最終日が変わる

株主優待や、会社が得た利益の一部を株主に還元する配当金を受けるためには、企業の定める「権利確定日」に、その企業の株を保有している必要があります。そのためには、株主としての権利を得ることができる売買の最終日である「権利付き最終日」までに、株を購入する手続きをしなければいけません。

従来は、権利付き最終日の翌営業日から数えて3営業日目が権利確定日でしたが、2019年7月16日より2営業日目となりました。つまり、権利付き最終日が1営業日遅くなったのです。

たとえば、2019年9月末が権利確定日の場合、9月26日までに株を買って持っていれば、株主優待・配当金がもらえます。

●2019年9月の権利付き最終日

権利付き最終日に株の購入手続きをしておけば、その翌日(権利落ち日)に売却してしまっても、権利確定日に株主であることに変わりはなく、株主優待や配当金を受ける権利があります。
権利付き最終日に株を購入して翌日に売却している人は、今までと同じように3営業日目に株を購入して翌日に売却してしまうと、権利確定日に株主ではなくなってしまうので注意が必要です。

海外の基準と揃う・投資家の利便性が高まる

株の売買をする日と、実際に株式を受け渡しする日には、タイムラグがあります。
これまで、日本の株式の受け渡しは、売買の3営業日後だったため、権利付き最終日も権利確定日の3営業日前だったのです。しかし、海外の主要国の株式の受け渡しは、売買の2営業日後となっています。今回日本も、株式の受け渡しを海外に合わせたため、権利付き最終日も変更になったのです。

決済までの期間を短くすることによって、取引の相手である金融機関などが倒産した場合、自分の資金を受け取ることができなくなってしまう決済リスクが1日分減ることになります。また、株式等を売却した場合は、1日早く資金を受け取ることができるので、ほかの投資対象商品へ資金を活用できるようになります。さらに、日本と世界の決済期間を揃えることで、海外投資家にとっても、決済事務の統一化ができる点がメリットとなり、日本の市場での国際的な競争力を保つことができると考えられます。

優待直前は株価が上がりがち!

権利付き最終日の翌日に株を売却してしまっても、権利確定日に株主となっているため、株主優待や配当金を受け取ることができることはすでにお話ししました。こうすれば限られた資金を最短で効率良く投資に活用できるように思いますが、注意が必要な点もあります。

株主優待の内容が魅力的で人気のある企業などは、権利付き最終日に近くなるにつれて株が買われていくため上昇傾向にあります。そして、権利付き最終日を境に売られていくため株価が下落していく、ということがあります。
せっかく株主優待を受け取っても、株価が購入したときより売却時に下がってしまうことで売却損が出てしまったら、トータルで見て損をしてしまうこともあります。
そのため、魅力的な優待を実施している企業を見つけたら、優待や配当を目的とした売買による株価変動の影響を受けにくくするため、権利確定日が設定されている月の1~2カ月前くらいから保有しておくといいでしょう。

以下は、2019年7月31日の権利確定日に株式を保有していることによって優待が受けられる企業です。そのなかで、権利付き最終日(7月29日)とその翌日(7月30日)の株価の下落が比較的大きかった例をあげました。

●権利落ちの下落が比較的大きかった銘柄

・バルニバービ(3418)おしゃれなレストランやカフェを中心に関東や関西を中心に展開
優待の内容:100株以上200株未満で食事券1,000円分(年2回)
株価:7/29終値1,056円 7/30終値1,008円 ▲48円の下落
100株の場合、4,800円の売却損

・シーアールイー(3458)物流施設の賃貸、管理、開発、仲介を主に行っています
優待の内容:100株以上保有で1月末にクオカード500円、7月末に1,000円(年2回・合計1,500円分)
株価:7/29終値1,208円 7/30終値1,131円 ▲77円の下落
100株の場合、7,700円の売却損

・丸千代山岡家(3399)ラーメン山岡家など東日本を中心に150店舗以上を出店
優待の内容:100株以上500株未満で450円~1,250円相当の優待券2枚もしくはお米2kg(年2回)
株価:7/29終値1,629円 7/30終値1,577円 ▲52円の下落
100株の場合、5,200円の売却損

売るときもすぐに売るのではなく、短期的な値下がりの影響を乗り越えたところを見極めたいものです。株主優待や配当金のためにしばらく保有しつづけるのも一案でしょう。

まとめ

株主優待や配当を受け取るためには、従来に比べて権利付き最終日と権利確定日の間が1日短縮されたことに注意をしましょう。また、生活スタイルに上手に取り入れることで、楽しくおトクに節約にもつながる株主優待ですが、優待以上に損をしてしまわないためには、権利付き最終日の翌日の株価の動きにも注意が必要です。企業によっては、株を長期間保有することで、優待の内容がさらに充実する企業もありますので、さまざまな視点から売買のタイミングや保有期間を検討すると良いでしょう。

田中 友加 「自分らしい生き方」を応援!お金のパーソナルトレーナー

自動車販売業に従事した後、税理法人にて経営コンサルティング業へ。その後、IT関連会社を設立、取締役に就任。2016年にFP資格を取得、「FPリファイン」を創業。並行して独立系FP事務所にて、家計改善を中心とした幅広い相談業務を2年間経験。「実現しやすく・分かりやすく」をモットーに、賢い資産形成のサポートを活動中。日商簿記1級。

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