20/09/14
年収500万円世帯の理想の支出割合
年収500万円というと、毎月の手取り収入は30万円程度になります。余暇や趣味など、自分の楽しみのためにお金を使う余裕もあるかもしれません。しかし、その余裕が無駄遣いにつながってしまうことも。気がつけば意外にお金が貯まっていない…というケースも少なくありません。
今回は年収500万円世帯の理想の支出割合をご紹介。あわせて、お金を貯める際に取り組むべきことについて解説します。
年収500万円の家計の「理想の支出割合」
理想の支出割合は住む地域や家族構成などによっても多少変わります。たとえば、首都圏に住む独身で、年収500万円(手取り給料30万円)であれば、次のようなイメージです。
●首都圏に住む独身(手取り30万円)の支出の目安と理想の割合
筆者作成
この割合は、総務省「家計調査報告」や相談事例を踏まえて調整して作成しました。家計は人それぞれですので、このとおりに収まることは少ないと思います。とはいえ、自分の家計と理想の割合を見比べてみて、理想の割合に近づけていくことが大切です。
そのために、まず支出を減らすこと、次にお金を貯めて増やすことに取り組みます。
そうして、浮いたお金は、無駄遣いせずに貯めていきます。仮に、家計に占める貯蓄の割合を20%にできれば、5年間で年収分のお金が貯められることになります。これを目標にしましょう。
毎月の支出は固定費から削減
まずは何にお金を使っているのか、毎月の支出を分析してみましょう。
今はスマホの家計簿アプリを使うのが便利です。買い物をしたら、すぐにレシートをスマホのカメラで撮影。すると、買った品物や金額、お店をすぐに読み取ってくれます。また、クレジットカードや銀行口座と連携して、支出や残高を記録してくれるアプリもあります。
支出のうち、先に取り組むべきなのは固定費の削減です。
固定費は、毎月・毎年といったタイミングで決まって一定額かかる費用のこと。家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費、生命保険料、習いごとの月謝などがあります。これらの固定費は、まとまった金額が減らしやすいうえ、いったん減らせばその後ずっと節約し続けることができます。
固定費で一番金額がかさむのが住居費。家計における理想の住居費の割合は、手取り金額の25%と言われています。首都圏の場合は家賃相場が高いので、手取り金額の30%程度まで許容範囲ですが、30%を超えてくると家計が厳しくなります。
家賃を1万円減らせたら、年間で12万円の節約に。引越しに30万円かかったとしても約2年半で帳消しになり、その後は毎月1万円を自動的に節約できます。今すぐに引っ越しとはいかないかもしれませんが、将来的に検討してみてもよいでしょう。
通信費、特にスマホ代は大手キャリアから格安SIM(格安スマホ)に乗り換えるだけで月数千円単位の節約ができる場合もあります。
電気代は、契約のアンペア数を減らすだけで月数百円が削減できます(ただし減らし過ぎるとすぐにブレーカーが上がるので要注意)。また、電気会社を乗り換えたり、ガスとセットで契約したりすることで割引が受けられるもありますので、お住まいの地域のサービスをチェックしてみましょう。
続けて、食費や被服費など、月によって額が変わる変動費の削減にも取り組みます。とはいえ、変動費の削減は固定費ほどは効果が出にくく、ストレスの貯まる節約になりがちです。無駄遣いが見つかれば減らすようにしていきましょう。
お金は3つに分けて貯める
支出の見直しが済んだら、貯蓄も見直していきます。お金は、目的別に整理して貯めるのがおすすめです。具体的には、「日々出入りするお金」「5年以内に使うと決まっているお金」「10年以上使わない、将来のためのお金」の3つにわけ、それぞれ別の口座や金融商品で貯めるようにします。
日々出入りするお金は、住居費、食費、水道光熱費といったふだんの生活に必要なお金や、もしものときに備えるお金です。できれば、生活費の6か月〜1年分は確保しておきたいところ。1年分あれば、病気やケガ、リストラといった万が一の事態にも余裕を持って対応できるはずです。これらのお金は、すぐに使えることが大切ですから、普通預金で貯めるようにします。
5年以内に使うと決まっているお金は、住宅購入の頭金や車の買い替えなどに必要なお金。しばらくは使わないお金なので、普通預金よりは有利な預け先を使いたいところです。とはいえ、いざ使うときに元本割れしているようでは困ってしまいますので、定期預金や個人向け国債などがいいでしょう。
そして10年以上使わない、将来のためのお金は、老後の生活資金などが挙げられます。こちらは、多少リスクをとってでも、大きく増える可能性のある投資商品を選ぶことで、お金を効率よく増やすことができるでしょう。
投資というと、ギャンブルのように思われがちですが、それはやり方次第です。
10年以上使わない、将来のためのお金を投資で増やすなら、毎月コツコツとお金を積み立てる積立投資がおすすめです。値動きのあるものは、一定額ずつ買うと平均の購入単価を下げられるからです。
なかでも「つみたてNISA」と「iDeCo」という2つの制度を活用するのがおすすめです。
つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)は、年40万円までの投資の利益にかかる税金がゼロになる制度。金融庁の条件をクリアした商品(投資信託)をコツコツと買っていくことでお金を堅実に増やしていきます。
また、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は老後資金を用意するための制度。一番のメリットは、掛金が全額所得控除となり、所得税、住民税が安くなることです。さらにつみたてNISAと同じく利益にかかる税金がゼロにできますし、受け取るときにも税金の優遇が受けられます。
どちらも、税金がお得になりますから、まずはこうした制度を利用した方がいいというわけです。
まとめ
年収500万円世帯の理想の支出割合と、それに近づくための支出・貯蓄の見直しまで紹介しました。家計は人それぞれ違うため、対処法も異なります。しかし、大切なのは、「お金を貯めて増やそう」と行動することです。ぜひ今すぐスタートさせてくださいね。
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高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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