20/04/19
iDeCo(イデコ)のオススメ商品はコレ! お金のプロ厳選8本
老後資金を堅実に貯める制度として注目されているiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)。圧倒的な節税効果を生かしながら、お金をコツコツと積み立てていくことができます。
そんなiDeCoを利用するときに多くの方が悩むのが「どの商品で運用すればいいの?」ということではないでしょうか。
そこで、iDeCoに関する著書もあり、講演も行なっているマネーコンサルタント頼藤太希さんに、iDeCoで買うべき商品の種類や選び方のポイント、分野別のオススメ商品までまとめて聞いてきました。
●教えてくれたのは…
頼藤太希さん
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『SNS時代に自分の価値を最大化する方法』(河出書房新社)、『入門 仮想通貨のしくみ』(日本実業出版社)、など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。
iDeCoの運用商品は元本確保型と元本変動型がある
iDeCoの掛金の運用先には、定期預金・保険・投資信託などがあります。このうち、定期預金と保険は「元本確保型」といって、原則として元本が保証されますが、金利がとても低いため、ほとんど増えません。それに対して、投資信託は元本保証がありませんが、運用次第で元本確保型よりも増えることもあります。
「元本確保型でも投資信託でも、掛金の所得控除と受け取るときの控除のメリットは受けられます。しかし、元本確保型ではお金がほとんど増えないため、運用益非課税のメリットがあるのは実質的に投資信託だけといえます。できればiDeCoでは定期預金・保険を避けて、投資信託を買うべきでしょう」(頼藤太希さん)
投資信託は、投資家から集めた資金をひとつにまとめて、運用のプロ(ファンドマネージャー)がさまざまなものに投資をして運用をするしくみの商品です。何に投資するかは、投資信託の方針やファンドマネージャーの考え方によって異なります。
投資信託の投資先は商品によって違いますが、おおよそ日本・先進国・新興国の3地域、株式・債券・不動産の3資産に分類できます。
「各市場の動向を考えると、債券は全般的にリターンが低いためイマイチです。先進国債券や新興国債券は、為替変動リスクによっても利益が出る可能性がありますが、そのリスクは何も債券でとる必要はないでしょう。ですから、基本的には国内や先進国の株式や不動産に投資する投資信託を狙いたいところです。とはいえ、債券が不要というわけではありません。より資産を分散させるためには、債券にも投資しておくべきだからです」(頼藤太希さん)
「債券に投資するには、バランス型と呼ばれる投資信託がおすすめです。バランス型は、1本で株式と債券、あるいは株式と不動産と債券という具合に、複数の資産に投資します。これを利用すれば、値上がりを期待しながら債券にも投資ができます。バランス型は、途中の資産配分の見直しも自動でしてくれるので、iDeCoで初めて投資をするという方の最初の1本としてもおすすめです」(頼藤太希さん)
iDeCoの投資信託選び6つの基準
iDeCoで投資信託を選ぶ場合の基準について、頼藤太希さんに教えてもらいました。
●基準1:指標は広く投資するものがいい
各種指標と連動することを目指す投資信託をインデックス型といいます。このインデックス型が連動を目指す指標はいろいろあります。どれがいいか迷ったら、できるだけ広く、多くの資産に投資できるものを選びましょう。
「たとえば、国内株式の代表的な指標、日経平均株価は225銘柄ですが、TOPIXは2000銘柄以上の値動きをもとに算出しています。より広く、市場全体に投資するもののほうが市場の姿を反映しますし、分散効果も高まると考えられます」(頼藤太希さん)
●基準2:手数料は安いほどいい
投資信託には買うときに販売手数料、持っている間に信託報酬、売るときに信託財産留保額という手数料がかかる場合があります。手数料は単純に損失なので、なるべく安いものを選ぶべきです。
「特に、持っている間の信託報酬に要注意。iDeCoの投資期間は数十年に及びますから、少しの差が将来大きな差になります」(頼藤太希さん)
●基準3:インデックス型・バランス型なら純資産総額は大きいほうがいい
純資産総額は、投資信託の資産の合計金額(時価総額)です。一般的に、投資をする人(ファンドマネージャー)の考える運用をきちんと実現するには、純資産総額はある程度大きくなければならないといわれています。また、純資産総額があまりにも低いままだと、途中で運用を中止する「繰上償還」が行われてしまう可能性もあります。
「インデックス型・バランス型なら純資産総額は大きいほうがいいでしょう。アクティブ型の場合は、純資産総額は大きければ良いわけではなく、適切なサイズであるかがポイントです。例えば中小型の株式が投資対象であるアクティブ型ならば、純資産総額は200億円〜500億円が適正サイズといえます」(頼藤太希さん)
●基準4:運用成績は中長期で順調に伸びているものがいい
株式の「株価」のように、投資信託の値段を表すのが基準価額です。これが純資産総額とともに、順調に伸びている投資信託を選びましょう。
「運用成績が伸びれば純粋に利益も増えますし、資産の流入が多くなって投資信託の規模が大きくなれば、投資信託はさらに運用をしやすくなって利益を出しやすくなる…という好循環が生まれます。長期間投資することを考えると、5年、10年と中長期で堅調な成績を出している投資信託がいいでしょう」(頼藤太希さん)
●基準5:同ジャンル・同カテゴリではシャープレシオは高いほうがいい
シャープレシオは「リスクに見合った利益が得られているか」を表す指標です。シャープレシオが大きいほど、リスクのわりに高いリターンを得ていることになります。
「シャープレシオは、同ジャンル・同カテゴリの投資信託を比較する際に役立ちます。シャープレシオが単に大きいものを選べばいいからです。計算するのは難しいのですが、投資信託の検索サイトなどでは数値をすぐに参照できます」(頼藤太希さん)
●基準6:インデックス型を選ぶ際、トラッキングエラーは小さいほどいい
トラッキングエラーは、ベンチマークと投資信託の値動きの差を数値で表したもの。この数字が小さいほど、ベンチマークとする指標ときちんと連動している、ということを表します。
「インデックス型の投資信託はそもそもベンチマークとの連動が目標なので、小さいほどいいということになります」(頼藤太希さん)
iDeCoのおすすめ商品を紹介! お金のプロが買うならこの8本
頼藤太希さんに、iDeCoで買うべきおすすめ投資信託を投資先・運用先別にピックアップしてもらいました。頼藤太希さんのコメントとともに紹介しますので、投資信託選びの参考にしてください。
なお、以下金額・手数料率などはすべて2020年4月14日現在のものです。
●【国内株式型】eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
純資産総額:151.97億円
基準価額:9972円
信託報酬(税込):年0.154%
東京証券取引所(東証)の第1部に上場している株式をもとに算出されるTOPIX(東証株価指数)と連動することを目指す投資信託です。東証1部は日本を代表する株式市場ですから、TOPIXを利用すれば1本で日本の市場全体に幅広く分散投資できます。
なんといっても魅力は圧倒的な信託報酬の安さにあります。業界最安値を目指して、他社と競うようにして値下げを行っています。信託報酬が安いということは、保有中のコストが減り、利益が増えることにつながります。
購入できる金融機関も多いので、選びやすいのもメリットですね。
●【先進国株式型】eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
純資産総額:816.90億円
基準価額:10904円
信託報酬(税込):年0.1023%
MSCIコクサイ・インデックスという指標との連動を目指す投資信託です。1本で日本を除く22カ国の先進国、約1300銘柄の株式に投資したのと同じような効果が期待できます。米国株が約6割を占めているので、比較的アメリカの動向に影響を受けやすいのが特徴です。
上で紹介したeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)と同じeMAXIS Slimシリーズです。信託報酬が安いこと、購入できる金融機関が多いことも同じです。毎月の資金流入も多く、純資産総額も順調に成長しています。
●【全世界株式型】楽天・全世界株式インデックス・ファンド
純資産総額:325.99億円
基準価額:9286円
信託報酬(税込):年0.212%
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスという指標と連動する投資信託です。この指標は、日本を含む世界の大中小型株約8000銘柄もの値動きをもとにしています。投資先の国は米国が55.8%と圧倒的に多く、次いで日本7.3%、英国4.7%など、先進国が多くなっています。
これによって、世界の株式の時価総額の98%をカバーできるようになっています。世界全体の経済成長の力を借りて投資できる投資信託だといえるでしょう。それでいて信託報酬も安く、お得感があります。
●【国内不動産型】たわらノーロード 国内リート
純資産総額:65.40億円
基準価額:10310円
信託報酬(税込):年0.275%
リート(REIT)とは、不動産投資信託のことです。投資家から集めたお金で不動産を買い、値上がり益や家賃で利益を狙います。「たわらノーロード 国内リート」は、国内のリートの値動きで算出される東証REIT指数への連動を目指す投資信託です。手軽に国内の不動産の収益の力が借りられます。
なお、ノーロードとは「販売手数料が無料」という意味です。「たわらノーロード」シリーズも多くの金融機関で取り扱いがありますが、どの金融機関で購入しても、購入時の販売手数料がかかりません。もちろん、信託報酬も安く、純資産総額も順調に伸びています。
●【外国不動産型】たわらノーロード 先進国リート
純資産総額:58.34億円
基準価額:9030円
信託報酬(税込):年0.297%
上で紹介した「たわらノーロード 国内リート」の外国不動産版ともいえる投資信託です。S&P先進国REITインデックス(除く日本)という、日本を除く先進国のREITの値動きで計算される指標と連動することを目指します。
私たちが海外の不動産に投資するのは、はっきりいってハードルが高いでしょう。気軽に物件を見るわけにもいきませんし、費用や言葉の壁もあります。その点、こうした外国不動産のリートを利用すれば、少額から簡単に投資ができます。もちろん、ノーロードですから販売手数用は無料。信託報酬も安く設定されています。
●【バランス型】eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
純資産総額:445.83億円
基準価額:9958円
信託報酬(税込):年0.154%
国内・先進国・新興国の株式と債券、国内外の不動産(リート)に12.5%ずつ、均等に投資する「バランス型」と呼ばれる投資信託です。8つの資産に分散投資しているため、株式だけに投資する投資信託に比べると、リスクが控えめになります。堅実に資産運用したい方に向いています。
また、資産のバランスを自動的に調整してくれる「リバランス」と呼ばれる作業も自動的にしてくれます。その手軽さ、わかりやすさ、信託報酬の安さから、純資産総額も堅調に増加しています。
●【バランス型】マイバランス50(確定拠出年金向け)
純資産総額:1278.6億円
基準価額:10771円
信託報酬(税込):年0.154%
国内外の株式と債券、合わせて4資産にまとめて投資できるバランス型の投資信託です。株式と債券の比率は50%。具体的には、国内株式30%、外国株式20%、国内債券40%、外国債券10%と、国内債券が多めですので、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」よりもリスクを抑えた運用になります。3か月に1回リバランスが行われます。
2002年から運用が続く「ご長寿投資信託」とも呼べる1本です。そのため純資産総額が多く、安定的な運用が望めます。
●【アクティブ型】スパークス・新・国際優良日本株ファンド
純資産総額:852.6億円
基準価額:31253円
信託報酬(税込):年1.804%
高いリターンを目指す「アクティブ型」と呼ばれる投資信託です。高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待できる日本企業の銘柄を20銘柄程度に絞り込んで、投資を行います。短期的な売買はせず、長期保有することを基本にしています。
実際、5年、10年といった中長期でみても、安定していい成績を残しています。それだけ、運用担当者の銘柄の分析・選定が優れている、ということでしょう。アクティブ型のため、手数料は比較的高めですが、それを上回るリターンが期待できるでしょう。
まとめ
値上がりすることも値下がりすることもある投資信託のもっとも賢い買い方は長期・分散・積立という基本を踏まえてコツコツ買うことです。
iDeCoを利用すれば、さまざまな節税・非課税の効果を受けながら、老後資金を堅実に用意することが可能です。
今回紹介した商品選びのポイント・おすすめ商品をぜひ参考にしていただき、資産形成に取り組んでいただければ幸いです。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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