18/04/04
32歳独身年収400万円の看護師は「iDeCo(イデコ)」よりも「つみたてNISA(積立NISA)」を活用すべし
看護師は比較的年収の高い職業と言われていますが、忙しさからお給料を普通預金に入れっぱなしにしていたり、ストレス解消のための出費がかさんだりと、資産運用まで気が回らない人が多いようです。とはいえ、将来のお金の不安を感じ、なんとかしたいとも思っています。
今回は、そんなお金の不安を感じつつも、忙しくて何も手をつけられていない看護師から資産運用についての相談です。
【看護師A子さんの情報】
・A子さん 32歳 独身
・職業:看護師 (民間病院勤務)
・年収:430万円
・貯蓄:普通預金に500万円
・数年先に認定看護師を目指している
A子さんは、特定領域における高度な知識とスキルを持つ認定看護師になりたいと貯蓄を重ねてきましたが、金利の低い状況では増やすには無理があります。そこで、資産運用に興味を持ったようです。
忙しい人にこそオススメ!つみたてNISA(積立NISA)での積み立て投資
認定看護師になるには、認定看護師養成機関に一定期間在籍するため、看護師業務が出来なくなります。所属する病院によっては、休職扱いで学習にかかる費用を負担してくれるところもあるようですが、A子さんの勤務先は残念ながら補助がない病院でした。
本来ならば老後に備えてiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)をお勧めするところですが、今回は「つみたてNISA((積立NISA)」を案内しました。
理由としては、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は一度始めると途中でやめることができず、60歳まで引き出せない点です。つみたてNISA(積立NISA)であれば、1,000円程度の少額からコツコツと投資をすることができ、途中で引き出すこともできます。休職中で収入のない時期でも無理なく続けていける金額です。金融機関によっては普通預金口座から振替など一度積み立ての設定をすることで、毎月自動的に投資を続けられます。日ごろ忙しい看護師にも利用しやすい仕組みとなっています。
つみたてNISA(積立NISA)は投資初心者が始めやすい制度
なお、「つみたてNISA(積立NISA)」は安定的な資産形成を目指せるよう国が定めた基準を満たした商品のみが対象で、インターネットでも簡単に手続きできます。この点でも、投資初心者が始めやすい制度になっています。
また、つみたてNISA(積立NISA)には購入した投資信託の売却益や配当金が20年間非課税になるという税金面で大きなメリットがあります。
例えば30万円で購入した投資信託を50万円で売却したとして計算してみましょう。一般の取引では利益に20.315%の税金がかかるので、売却益の20万円からは4万630円の税金が差し引かれ、手取りは15万9370円となります。その点つみたてNISA(積立NISA)では税金が差し引かれないので、差額の20万円全額を受け取ることができます。つみたてNISA(積立NISA)の年間投資上限額は40万円、月額にすると約3万3000円です。毎月貯蓄できる額を計算し、負担のない金額で積み立てることをお勧めします。
つみたてNISA(積立NISA)で投資生活に慣れたら、老後の準備にiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)も活用
めでたく認定看護師になり、毎月の積立金額に余裕が出てきたら、老後の準備にiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を活用することも検討したいところです。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は毎月の掛け金が確定して、将来の受取額が変動する年金制度で、掛け金を積み立てる時、運用している時、年金をもらう時に税金優遇があります。
認定看護師になると専門性が高くなる分収入も増え、所得税や住民税も高くなる傾向に。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は1年間に積み立てた掛け金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が節税できるところが魅力です。
例えば、課税所得が300万円の人が月2万円を確定拠出年金でつみたてするとしましょう。年間24万円全額が所得控除され、所得税は10%なので、住民税(一律10%)と合わせて20%分、つまり4万8000円も軽減できる計算です。
また、運用期間中の利息や分配金、解約時の売却益など、運用で得られた利益すべて非課税。受け取り時にも、一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」、年金のように分割して受け取る場合は「公的年金等控除」を利用することで、税制優遇が受けられるというメリットもあります。もし仮に転職をすることになっても、年金資産を転職先に持ち運び(ポータビリティ制度)も可能です。
お金にもコツコツと働いてもらうと、収入減のリスク対策に
体力面だけでなく精神的にもつらい看護師のお仕事。ほかの業種に比べ転職がしやすいため、忙しい土日のみ人間ドックを手伝ったり、夕方の診療だけ入ったりと、フルタイムだけではない働き方を選びやすい職種です。投資のコツは長く続けること。どのタイミングでも投資を続けていけるように、まずは少額から始めてみましょう。
つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関4選
つみたてNISA(積立NISA)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
● SBI証券
・ほとんどの投資信託を網羅。有力商品を選びやすい
・毎日・毎週・毎月・複数日・隔月の5つの購入タイミングを選べる
・SBIハイブリッド預金を使うと入金・出金がスムーズ
● マネックス証券
・取扱商品が100本以上。100円から購入可能
・チャットによる質問対応、パソコン出張サービスなどサポートが充実
・アプリ・パソコンツールが豊富で使いやすさに定評
● イオン銀行
・イオン内に店舗があるため、買い物ついでに立ち寄れる
・年中無休で夜21時まで営業(一部例外あり)のため、相談しやすい
・「イオン銀行Myステージ」のポイントが貯まり、普通預金金利がアップ
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・私が「つみたてNISA(積立NISA)」の商品を選ぶなら、この2択
・つみたてNISA(積立NISA)とiDeCo(イデコ)、自分にあった選び方
・つみたてNISA(積立NISA)ってなに?NISAと比較しながらやさしく解説
辻本 由香 おふたりさまの暮らしとお金プランナー
企業の会計や大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。27歳で阪神大震災、43歳で乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝える活動を始める。現在は奈良で独立系のFP事務所を開業。セミナーを主としながら、子どものいないご夫婦(DINKS・事実婚)やシングルの方の相談業務、執筆も行っている。著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)。
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