18/05/07
50代独身の貯蓄額は130万円。平均値では見えない貯蓄額の実態
50代の平均貯蓄金額は、単身世帯で1342万円、2人以上世帯で1113万円です(金融広報中央委員会「2017年家計の金融行動に関する世論調査[2人以上世帯調査][単身世帯調査]」。
でもこの数値、本当に50代の貯蓄額の実態を映しているのでしょうか。
「平均値」は「ふつう」ではない
平均値とは、全体の貯蓄額合計を世帯数で割った値です。
次のような例の場合、5世帯の平均値は520万円になりますが、貯蓄が1000万円を超えているのは1世帯だけで、ほかの4世帯にとっては「みんなそんなに貯めているの?」と感じてしまいかねない数字です。
このように平均値は、少数の高額貯蓄を持っている世帯によって、大きく引き上げられることがあります。そのため平均値だけで見ると、実感とはかけはなれた数値になることがあるのです。平均=ふつう、と思い込んでしまうと、不安になってしまうかもしれません。
︎「平均値」と「中央値」の両方を見る
そこで、「平均値」の欠点を補うために、「中央値」もあわせて見ることが大切です。中央値とは、貯蓄金額の少ない世帯から多い世帯まで並べて、真ん中の人の値です。さきほどの例なら、中央値は300万円です。
では、50代の貯蓄金額の中央値はどうなっているのでしょう。
2人以上世帯の中央値は400万円、単身世帯では130万円です。さきほどの平均値とは、かなり異なる金額になっています。これは、貯蓄がゼロの世帯や少額の世帯が決して少なくないからです。
50代の貯蓄金額
2人以上世帯では、貯蓄ゼロの世帯が31.8%である一方、貯蓄1000万円以上の世帯は32.8%と、同程度の割合を占めています。 単身世帯の場合は、貯蓄ゼロの世帯がさらに増えて43.0%。貯蓄1000万円以上は28.4%です。
貯蓄の目標金額は何を指標にするべきか
50代の貯蓄金額の平均値は、一部のお金持ちによって大きく引き上げられ、中央値は貯蓄ゼロ世帯によって引き下げられているので、何を指標に貯蓄をしていけばいいのか迷ってしまいます。
しかし、答えは自分自身の中にあるのではないでしょうか。なぜなら、貯めるのも使うのも自分だからです。50代の貯蓄目的は、主に老後資金。リタイア後にどのような暮らしをするかは十人十色で、正解はありません。
まずはどのような暮らしがしたいのか、具体的に考えてみましょう。
特に住居費は持家か賃貸か、また都心か地方かなど、選択肢によって大きな違いがあります。その他には、生活費や、旅行等のレジャー費、病気などに備えた予備資金など、必要な金額を計算してみます。1年の必要資金がわかったら、90歳もしくは100歳までの年数を目安に合計します。
次に、収入の見込みを立てます。公的年金のほか、すでにある貯蓄や保険、働くのであればその収入も合算します。これらの収入で足りない分が、老後までに貯めておくべき金額です。
充実した老後のために貯蓄をするには、平均値や中央値を見ているだけではいけません。自分にとって必要な金額を貯蓄しましょう。
また、老後も大切ですが今の暮らしも大切です。無理せず長続きできる貯蓄法を見つけて、ストレスなく貯めていきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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