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22/03/25

家計・ライフ

絶対に60歳で退職したい人が用意すべき本当の老後資金はいくらか

絶対に60歳で退職したい人が用意すべき本当の老後資金はいくらか

現在は希望すれば65歳まで働くことができます。けれども仕事以外のことに打ち込み、一度きりの人生を楽しみたいと、60歳での退職を決意する人もいます。その場合、どのくらいの老後資金を用意しておけば安心して生活できるのでしょうか?また、無収入となる期間を穴埋めするために老齢年金の繰上げ受給を選択しても大丈夫なのかどうかも気になります。そこで今回は、「65歳退職」と「60歳退職+繰上げ受給」の場合で家計収支の状況を確認し、必要となる老後資金を試算してみました。

65歳で退職する場合に用意しておきたい老後資金の目安

退職後は仕事から離れ、悠々自適に生きていきたいと考えている人もいるでしょう。そうなると、主な収入は年金などに限られることになります。そのため、年金だけでは足りない分を老後資金として用意しておきたいですね。

ここで、総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)2019年 家計の概要」における「高齢夫婦無職世帯の家計収支(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)」における平均的な1ヶ月の収入と支出を見てみましょう。

●高齢夫婦無職世帯の家計収支

総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2019年」より
※2020年のデータはコロナ禍の影響があるため、2019年のデータを使用

消費支出23万9947円+非消費支出(税金や社会保険料など)3万982円から実収入23万7659円を引いた不足額は3万3270円。夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月3万3270円の赤字が発生することがわかりました。

この赤字分を老後期間を通した金額に換算した金額が、老後資金として用意しておきたい金額の目安となります。
では、このケースにおいて、65歳から30年間生存する場合の老後資金として用意しておきたい金額を試算してみましょう。

●65歳から30年(95歳まで)生存する場合

3万3270円×12ヶ月×30年=1197万7200円

この試算によると、年金収入の他に、老後資金として約1200万円の資金が必要ということになります。

60歳で退職する場合に用意しておきたい老後資金の目安

現在、定年退職の年齢を60歳と定めている企業は多いのですが、希望すれば65歳まで働き続けることも可能です。老齢年金は原則65歳から支給されるので、老後資金を積み増しするためにも、長く働くことを選択する人もいます。

しかし、なかには60歳で退職し、その後は悠々自適に過ごしたいと考えている人もいるのではないでしょうか。その場合、用意する老後資金はどれくらい必要になるのでしょうか?

60歳で退職すると、老齢年金の受給が始まる65歳までの5年間は無収入となります。ただ、老齢年金の受給開始時期は60歳~64歳の間に繰り上げることも可能です。これを「繰上げ受給」といいます。繰上げ受給をすると、1ヶ月につき0.5%年金額が減額されます(2022年4月からは0.4%に緩和)。

ではここで、60歳で退職し、すぐに繰上げ受給を利用する場合の老後資金を試算してみましょう。

【前提条件】
・65歳退職の場合と比較するために、消費支出やその他の収入は65歳退職時と同じ金額
・社会保障給付(21万6910円)を本来65歳から受け取った場合の公的年金の受給額とする(この金額をもとに繰上げ受給の年金額を試算)
・繰上げ受給の減額率は1ヶ月0.4%
・試算で考慮した所得控除は、公的年金等控除、基礎控除、社会保険料控除
・社会保険料の計算は東京都世田谷区の基準による
・75歳以上の後期高齢者医療保険料は考慮していない
・以下断りのない限り月額で表示

●60歳以降の収入と支出

○実収入:18万5601円
 ・社会保障給付:16万4852円
 ・その他の収入:2万749円

○消費支出:23万9947円

○非消費支出(税金や社会保険料など):60歳~64歳26,307円 65歳以上21,910円
 ・所得税(5%):2万4881円÷12ヶ月=2,073円
 ・住民税(10%+均等割5千円):5万9762円÷12ヶ月=4,980円
 ・社会保険料(国民健康保険料・介護保険料(64歳まで)):60歳~64歳19,254円 65歳以上14,857円

●60歳~64歳の家計状況

(消費支出+非消費支出)-実収入
=(23万9947円+26,307円)-18万5601円=8万653円

・60歳~64歳の間に不足する生活費
8万653円×12ヶ月×5年=483万9180円 ⇒A

●65歳以上の家計状況

(消費支出+非消費支出)-実収入
=(23万9947円+21,910円)-18万5601円=7万6256円

・65歳から30年(95歳まで)生存する場合の生活費
7万6256円×12ヶ月×30年=2745万2160円 ⇒B

以上より、60歳で退職し、95歳まで生存する場合に不足する生活費は、
A+B=483万9180円+2745万2160円=3229万1340円となりました。

60歳で退職し、年金を繰上げ受給して95歳まで生存と仮定する場合、老後資金として約3230万円を準備しておく必要があります。

上で紹介したとおり、65歳で退職し、そのまま年金生活に入る場合に必要な老後資金は約1200万円です。この試算から、65歳で退職する方が用意すべき老後資金が2000万円以上少なくて済むことがわかります。

では、なぜこのような差が生じてしまうのでしょうか。その理由は、60歳で退職すると65歳までの5年間は給与がないことと、繰上げ受給で60歳から老齢年金を受給すると生涯24%も年金が減額されてしまうことにあります。

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覚えておきたい繰上げ受給の注意点

繰上げ受給の年金は、早期退職して65歳を迎えるまでの生活を支える大事な収入源にすることができます。とはいえ、繰上げ受給を選択することによるデメリットが多々あることをご存じですか?ここでは、繰上げ受給の注意点を解説します。

●一生減額された年金を受け取ることになる

繰上げ受給では、年金が1ヶ月につき0.4%(2022年4月~)減額されます。その減額率は最大で24%です。このとき一度決定した減額率は一生変わらず、元に戻ることはありません。

●繰上げ受給の取り消しや変更はできない

繰上げ受給を決めて手続きをしたら、その取り消しや変更は一切できません。年金が早く受け取れることをメリットと感じて手続きしてしまう人も少なからずいるようですが、繰上げ受給は年金が生涯にわたり減額となるので、利用するかどうかは慎重に検討しましょう。

●障害基礎年金が受け取れなくなるかもしれない

公的年金制度は、原則1人1年金です。そのため、65歳になる前に障害基礎年金の受給権が発生しても、繰上げ受給をしている場合は障害基礎年金を受給することができません。ただし、65歳以上は特例により障害基礎年金と老齢厚生年金の併給は可能です。

●65歳までは遺族年金が受け取れなくなるかもしれない

1人1年金の原則により、65歳未満で繰上げ受給をすると、遺族年金を受け取ることができません。とはいえ65歳以上になると、特例で2つの年金を同時に受け取れる場合があります。たとえば老齢基礎年金と遺族厚生年金、あるいは老齢厚生年金と遺族厚生年金の併給です。

●寡婦年金を受け取れなくなる

国民年金に10年以上加入していた第1号被保険者の夫が亡くなったとき、10年以上婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた配偶者は寡婦年金を受け取ることができます。しかし、その配偶者が繰上げ受給をすると、寡婦年金は受給できなくなります。

●国民年金の任意加入や追納ができなくなる

国民年金の保険料納付済期間が480月(40年)に満たないとき、満額の老齢基礎年金を受け取ることはできませんが、60歳~64歳の間に任意加入をすれば満額に近づけることができます。また、国民年金の免除制度や納付猶予制度を利用した人は、10年以内であれば保険料の追納ができます。しかし、繰上げ受給をすると任意加入も追納もできなくなってしまいます。

繰上げ受給には以上のようなデメリットがあります。老齢年金は減額され続け、後から取り消しはできず、受給できるはずの年金が受け取れなくなることもあるのです。繰上げ受給を検討する際は、お伝えした注意点を踏まえ、よく考えてから手続きするようにしましょう。

まとめ

60歳で退職すると、老齢年金を受給するまでの5年間は無収入となります。それを補うために老齢年金を繰上げ受給することはできますが、年金額が減額されるため、65歳で退職する場合よりも家計収支の赤字が膨れ上がる可能性があるので注意が必要です。このことを踏まえると、繰上げ受給で受け取る年金だけで老後資金を賄うのは難しいでしょう。

退職後の年金収入と基本的な生活費を考えると、やはり早いうちからの老後資金の貯蓄は必要です。たとえば、iDeCoやつみたてNISAなどのほか、会社で実施していれば財形年金貯蓄、企業年金を利用するなど、できるだけ早めに老後資金の準備を進めておくことをおすすめします。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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