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22/02/19

家計・ライフ

「老後破綻」を防ぐ定年前の支出の見直し5つのポイント

「老後破綻」を防ぐ定年前の支出の見直し5つのポイント

2019年に発表されて話題になった「老後資金2000万円問題」。年金だけで生活するのは難しいという問題が突き付けられました。平均寿命は毎年過去最高を更新し続け、定年後の期間は延びています。そこで、定年を迎える前から老後の生活を小さくする「ダウンサイジング」をしましょうと言われます。そうは言っても、いきなり大きく膨らんだ生活を小さくすることには、抵抗があるのではないでしょうか。また、やみくもに節約しても、目標達成はむずかしいでしょう。

今回は、限られた金額の範囲内で生活できる能力を身に付けるヒントとなるよう、定年前の支出の見直しのポイントを確認していきます。定年前を変われる好機ととらえて、対策を立てていきましょう。

老後の生活費を整えるには、今の家計の把握から

50代や60代になると、将来もらえる年金が具体的になってきます。そして、定年後に再雇用や再就職したとしても、大多数の人は給料が激減する厳しい現実があります。特に収入が多い50代は、生活費が膨らんでいることが多いものです。
ですから定年はまだ先だと悠長に構えていると、定年後は生活費が足りないと慌てることになります。生活習慣がすぐに変わるはずもなく、赤字が続く家計では長い老後を乗り切ることができず、自分を追い詰める結果になります。

家計の見直しは、まず現状の「収入」と「支出」を書き出すことから始めましょう。大体の金額は分かっているつもりでも、毎月の支出と年間に支払う特別費(冠婚葬祭費や年払いの保険料など)を合わせると、驚く金額になるかもしれません。「生活費の見える化」は、これから家計をスリムにしていくために必要な作業です。老後を安心して過ごすには、収入と支出のバランスを考えて生活する必要があります。その費用の項目の中で、削れる部分を見つけ出し検討していきます。それには、毎月かかるお金をいかに削減できるかがカギを握っています。また、家計のスリム化は、家族の方針が一致していないとうまくいきません。夫婦のどちらかが努力するよりは、夫婦いっしょに考えて、同じ方向を目指すことが大切です。

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現実にはどんな支出を削減すべきか?

高齢者世帯の生活費の目安は、現役時代の7割といわれています。老後に生活資金が足りなくなる人は、現役時代の金銭感覚を引きずってしまっています。

内閣府の「平成28年高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」によれば、日常生活で高齢者が負担に感じている支出について3つまで回答してもらったところ、次のようになっています。

1位 食費、光熱水費(50.9%)
2位 保健・医療関係の費用(36.2%)
3位 住居費(17.8%)
4位 生命保険や損害保険などの保険料(17.0%)
5位 交通費、自動車等関係の費用(16.4%)

このうち、上位は過去1年間に大きな割合を占める支出と連動しています。まずは毎月かかる費用で、金額がかさむものやムダだと感じるものをできるところから削っていきましょう。とくに固定費は、見直し方によっては、大きく支出をカットできる可能性があります。

支出の見直しをする際は、ムダをなるべく省き、自分に必要なものを見極めることが重要。そうして、満足度の低い支出から削減しましょう。具体的には、次のようなポイントを見直すのがおすすめです。

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支出の見直しポイント1:食費

変動費の中で大きな割合を占める食費は、固定費ほど支出のカットは期待できませんが、普段の何気ない習慣を見直すことでムダが省けます。
たとえば、買い物のメニューを決めずにでかけてしまうと、ついつい安いからと不必要なものまで購入してしまいます。そういったものは、賞味期限内に食べることができず捨てることも多く、食品ロスにつながります。週単位で食費の予算を決めて、あらかじめ買う品物をメモするなど、必要なものだけを買うようにするだけでも、食費は削減できるはずです。

支出の見直しポイント2:医療費

健康で長生きできれば、医療費の心配は少なくなります。健康寿命を延ばすことが医療費を削減するカギになります。コロナ禍もあって、家で過ごしがちで運動不足になっている方も多いでしょう。日頃からできるだけ歩くなど、簡単で続けやすい運動を生活に取り入れるようにしましょう。

支出の見直しポイント3:住居費

定年後の住まいをどう選ぶかで大きく変わるのが、住居費です。定年後にも住宅ローンが残りそうな場合には、繰り上げ返済ができないか検討をしましょう。また家賃の負担が重たい場合には、住み替えも一案です。広い家から小さな暮らしへシフトしたい場合には、持ち家を賃貸に出して手ごろな広さの物件に移り住むこともできるでしょう。現役世代と違って、通勤のことを考えずに物件を選ぶことができます。引っ越しに多少費用がかかったとしても、その後の家賃負担が少なくなるため、長い目でみると家計のダウンサイジングが実現します。

支出の見直しポイント4:保険料

万が一のことが起こったときに、保険に加入していると安心ですね。しかし、子どもが独立すれば高額な保障は不要になってきます。ケガや病気では、民間の生命保険に頼らなくても、高額療養費制度を利用すれば、1ヶ月に支払う医療費が上限を超えた場合に差額が戻ってきます。貯蓄で医療費をカバーすることもできるでしょう。払いすぎている保険料がないかチェックしましょう。

支出の見直しポイント5:クルマ関連費

クルマがあれば、行きたいときに行きたいところへ出かけられ便利な反面、損害保険料や自動車税、車検代など多くの費用がかかります。近くにカーシェアリングのステーションがあれば、クルマを購入せずに、必要なときだけ「借りる」という方法があります。地方では、クルマが必需品という場合でも、家族で1台に減らせないか、軽自動車へ移行できないかなどを検討してみましょう。見直せば、大きく費用が減らせる項目です。

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定年後の生活をコンパクトに、快適に

このほか、通信費を削減するために、格安スマホに乗り換えたり、加入しているプランを見直したりすることでも、費用を削減できます。

支出を減らすことで、家計のスリム化が期待できますが、それと同時に取り組んでほしいことがあります。それは、不要なモノを処分することです。年齢を重ねれば、物忘れも増え、自分でできることが年を追うごとに少なくなってきます。まだまだ体力・気力が十分にある時期ならば、モノの整理や処分も負担なくできます。

買って失敗したモノや不要なのに捨てられないモノを手放すときには、無駄遣いをしてきたことに気づくでしょう。少ないモノでも心地よく生活できるようになれば、手元に残るお金がもっと増えるのではないでしょうか。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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