21/11/13
55歳から始める定年準備 貧乏老後を避ける5つのポイント
定年まで残すところ、あと5年。
55歳というのは、定年と言うことを切実に意識する時期だと思います。
このあたりから、真剣に定年後のことを考え始めるのではないでしょうか?
とくに心配なのが、定年後の「お金」についてではありませんか?
老後資金も本気で準備をしないと困るのではと悩む時期でもあります。
では、実際に「定年の準備」は何をすればいいのでしょうか? お金のある老後を迎えるために確認したい5つのことについてお話ししましょう。
お金のある老後を迎えるために確認したいこと1:老後に受け取れる年金額
毎年、誕生日月に送られてくる「ねんきん定期便」は、チェックしていますか?
50歳以降の「ねんきん定期便」には65歳から受け取れる「年金の見込み額」が書かれています。
「見込み額」というのは、このままの給料で60歳まで働いたときの受け取れる年金額と言うことです。これをチェックしておくと65歳以降にどれくらいの年金を受け取れるのかということがわかります。そうすれば、老後の生活が大まかにわかるわけです。
そのとき忘れないでほしいのが、配偶者の年金受給額です。働いているときは別々の財布だったかも知れませんが、年金暮らしになると収入が減ってしまいます。夫婦の年金を合わせて生活費をださないと、家計が厳しくなると思います。夫婦の年金額をチェックして老後の生活がどんな感じになるのかを知っておくのも大切です。年金額がわかると、老後資金をどのくらい準備をすればいいのかも見えてくると思います。
お金のある老後を迎えるために確認したいこと2:退職金の受け取り方
退職金は、老後資金を考える上でとても重要なものです。必ず受け取れるかというと、そうではありません。退職金がないという会社もあります。退職金というのは、法律で出さないとダメと決まっているわけではありません。退職金制度のある会社は8割で、残りの2割は退職金制度がありません。
まずは、自分の会社に退職金制度があるかを確認して、ある場合には、退職金はどのくらいになるのかも確認しましょう。
退職金の受取額を知っておくのは大切です。なぜなら、退職金の金額で退職後の資金計画が大きく変わる可能性があるからです。
たとえば、退職金で住宅ローンの返済をしようと考えていたとします。しかし、もし金額が少なくて返済額に足りないということになると、そのあとの老後資金の計画にも大きく影響をしてきます。
退職金額を確認しづらいなんて思う人もいるかもしれませんが、そんなときは、人事部に確認すれば大丈夫です。人事部の担当者にすれば、それは業務のひとつなのです。金額を聞かれたからと言って、「変な目で見ると言うことはない」と知り合いの人事部の人も言っていました。あまり心配せずに確認してはいかがでしょうか?
さらに、退職金の受け取り方も確認をしておく必要があります。退職金は、「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」のどの方法で受け取るのか?ということです。また、年金で受け取りの場合は何年間なのかも重要です。なかには、受け取りを自分で選択できる会社もあります。
「一時金」「年金」の受け取り方でどちらがトクかということも大きな問題です。多くの場合「一時金」で受け取ることで、退職所得控除が大きくなり手取りの金額が多くなります。しかし、一時金で受け取り、気持ちが大きくなってしまったばっかりに、ムダなことに使ったり、退職金を運用しようとして失敗したり…という話もよく聞きます。
退職金を計画的に使う、生活費の補塡に使うという場合には、年金で受け取った方が有意義な使い方ができることが多いのです。年金での受け取りは退職前までに、検討しておきましょう。
お金のある老後を迎えるために確認したいこと3:住宅ローンの完済の年齢
住宅ローンを組んでいる場合は、完済の年齢を確認しておきましょう。
30代後半で住宅を購入した人は、ローンを完済するのが70歳ということもあります。65歳を過ぎて年金暮らしなのに、ローンが残っているとかなり厳しい生活になってしまいます。年金だけの生活になる前に、ローンは完済しておきたいです。55歳から、できれば繰上げ返済を続けて、退職金をまるまる老後資金に回せるような資金計画ができればいいですね。
もっとも、完済したほうがいいからといって、退職金を全部使ってローンを返済すればいいとも限りません。貯蓄がゼロになった場合、急にお金が必要なトラブルに遭遇すると、とても困った状態に陥ります。そうならないようにするために、退職金の全額を住宅ローン返済に使うのではなく、一部繰り上げ返済するという方法もあります。いずれにせよ、ムリをしない程度に、なるべく早く完済したほうがいいでしょう。
お金のある老後を迎えるために確認したいこと4:奨学金の返済額
奨学金は、子どもが就職したら、子ども自身が少しずつ返済していくようにしてもらいたいものですね。
しかし、子どもの就職したところの給与が少ない場合などは、親が負担するということも考えられます。老後の豊かな生活を邪魔する意外な要因となる可能性があります。
ですから一応、奨学金の返済額も確認をしておきましょう。
お金のある老後を迎えるために確認したいこと5:夫婦でやりたいことを確認しておこう
一度、ご夫婦で老後生活について話をしておくことはとても重要です。
退職後のやりたいことで、もっとも人気なのが旅行です。夫婦揃っての海外旅行もいいでしょう。しかし、もしかすると妻の方は、「一緒に旅行には行きたくない!」なんて思っているかも知れません。そうすれば退職した後の予定も大きく変わることもあります。
退職後は、夫婦で過ごす時間がとても長くなります。お互いにやりたいことを確認しあうのは、老後生活を豊かにするうえでも大切なことなのです。
豊かに過ごすために、やれることをしておこう
今回ご紹介した5つのことを確認することで、定年後のお金が見えてくると思います。
そして、60歳までにはあと5年あります。少しでも老後資金を増やしたいものですね。
少し余裕があれば、55歳からでもiDeCoを初めてはいかがでしょうか?「60歳までしか拠出できないので遅い」と思うかも知れませんが、2022年5月からは65歳まで加入できるようになります。55歳からはじめても10年間拠出でき、老後資金を増やせるのはもちろん、税金も安くできます。
老後資金をできるだけ増やして、豊かな老後を目指してください。
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長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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