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21/06/25

家計・ライフ

定年後は継続雇用か再就職か。収入減を補う給付金はどれが得? 

60歳で定年退職後も、働き続けるケースが多くなっています。しかし、60歳以降も働く場合、賃金が減額されるのが通常です。そんなときに心強いのが、雇用保険からの給付です。毎月の給与から引かれる雇用保険には、定年後の給料の激減を補う給付金がいくつかあります。それぞれ、どんなときにどのくらいもらえるのでしょうか? 特徴や違いを紹介します。

定年後は「継続雇用」or「再就職」? 雇用保険からもらえるお金フローチャート

60歳で定年退職後も会社で働く場合、大きく分けて「継続雇用」と「再雇用」の2つの働き方が考えられます。それぞれ雇用保険からどのようなお金がもらえるのか、コース別に見ていきます。

●(1)継続雇用コース

60歳で定年退職し、そのまま同じ会社に再雇用されて勤務することを継続雇用といいます。再雇用後の賃金が60歳到達時に比べ75%になった場合、雇用保険から毎月(振込は2ヵ月に1度)、「高年齢雇用継続基本給付金」が受け取れます。

●(2)再就職コース

定年退職時点で会社をやめ、他の会社等へ就職することを再就職といいます。再就職しようと求職活動をする場合には、失業給付(基本手当)がもらえます。

基本手当を受けることができる日数(所定給付日数)は、年齢、雇用保険の被保険者期間、離職の理由等によって90日~360日の間で決められています。しかし、定年退職の場合は、被保険者期間20年以上で150日です。

また、所定給付日数を一定以上残して再就職した場合は、雇用形態や賃金によって、「高年齢再就職給付金」や「再就職手当」の支給を受けることもできます。

以上の流れをフローチャートで表したものが、次の図です。

●定年退職後も働く場合に受け取れるお金フローチャート

筆者作成

[継続雇用コース]再雇用後の賃金の低下は、「高年齢雇用継続基本給付金」でカバー

高年齢者雇用安定法では、65歳まで働けるように、企業に(1)定年の廃止(2)定年の引き上げ(3)継続雇用制度(再雇用など)の導入、のいずれかを求めています。多くの企業では、継続雇用制度を導入しています。

60歳で退職し、再雇用された場合、60歳時の賃金が下がるのが一般的です。下がった分を補てんするために、継続勤務時の賃金の最大15%を支給してくれるのが、高年齢雇用継続基本給付金です。

高年齢雇用継続基本給付金を受給するには、「60歳以上65歳未満の一般被保険者であること」「被保険者であった期間が通算して5年以上あること」「60歳以降の賃金が60歳時の賃金の75%未満に低下したこと」などの条件を満たすことが必要です。
支給限度額は36万5114円、最低限度額は2059円です(2020年8月時点)。受給期間は60歳から65歳になるまでです。

また再雇用後に雇用保険に加入した方の、60歳以上65歳未満の賃金月額が、60歳到達時点の61%以下に低下した場合、賃金月額の15%に相当する金額が、「高年齢雇用継続基本給付金」として支給されます。

●再雇用のAさん(60歳到達時点の賃金月額が30万円)がもらえるお金は?

例えば60歳到達時点の賃金月額が30万円だったAさんの場合、60歳以上65歳未満の賃金月額が18万円に低下した時は、60歳到達時点の61%以下に低下したことになるため、18万円の15%に相当する2万7000円が支給されます。

高年齢雇用継続基本給付金の支給対象期間は、雇用保険の加入者が60歳に達した月から、65歳に達する月までになるため、最大で162万円(2万7000円×12か月×5年)を受給できる可能性があります。

ただ、雇用保険の加入期間が5年以上あることが条件のため、60歳到達時点で5年に満たない場合には、5年以上になってから支給開始になりますので注意しましょう。

また60歳以上65歳未満の賃金月額が、60歳到達時点の61%超75%未満に低下した場合にも、高年齢雇用継続基本給付金は支給されますが、61%超になると支給率は、15%から一定の割合で少なくなっていき、75%以上になると支給されなくなります。

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[再就職コース①]転職して再就職なら、高年齢再就職給付金の対象になる

定年まで働いていた会社を辞め、雇用保険から支給される基本手当(失業手当)を受給している最中に、再就職先が決まるというケースがあります。

このとき、再就職後に雇用保険に加入した方の、60歳以上65歳未満の賃金月額が、60歳到達時点の61%以下に低下した場合、賃金月額の15%に相当する金額が、「高年齢再就職給付金」として支給されます。
基本的な仕組みは、上で紹介した高年齢雇用継続基本給付金と同じです。定年退職する前の会社における雇用保険の加入期間が5年以上必要という点も共通しています。

しかし、高年齢再就職給付金を受給するためには、「基本手当が100日以上残っている」という条件を満たす必要があります。これは高年齢雇用継続基本給付金と大きく違う点です。

基本手当を100日以上(200日未満)残している場合には、再就職した日の翌日から1年を経過する日が属する月まで、高年齢再就職給付金が支給されます。
また基本手当を200日以上残している場合には、再就職した日の翌日から2年を経過する日が属する月まで、高年齢再就職給付金が支給されます。

高年齢雇用継続基本給付金の受給期間は最大5年なのに対し、高年齢再就職給付金の受給期間は最大2年です。

ただ定年退職の場合は一般的に、雇用保険に20年以上加入した方であっても、所定給付日数(基本手当を受給できる日数)は最大150日になるため、基本手当を200日以上残すことはできません。
それに加えて基本手当を100日以上残すためには、50日以内という短い期間で、再就職先を決める必要があるのです。

●再就職のBさん(60歳到達時点の賃金月額が30万円)がもらえるお金は?

Bさん(給与などの条件はAさんと同じ)が、基本手当を50日受給(100日以上残っている)した後に再就職し、高年齢再就職給付金を1年受給した場合、それぞれの給付金は次のような金額になります。

①基本手当
4500円(2020年8月時点の基本手当日額)× 50日=22万5000円
②高年齢再就職給付金
2万7000円 × 12か月=32万4000円
合計(①+②) 54万900円

上で紹介した再雇用で受け取れる金額は162万円でしたので、今回の条件での試算では、再就職より再雇用の方が有利だったことになります。

なお、Bさんがもし基本手当を受給しないで、退職から1年以内に再就職した場合には、高年齢再就職給付金ではなく、高年齢雇用継続基本給付金が支給されます。そのため、あえて基本手当を受給しないで、有利な高年齢雇用継続基本給付金を受け取るという選択もあるのです。

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[再就職コース②]基本手当が3分の1以上残っていると、「再就職手当」が支給される

もう少し、ハードルの低い給付金もあります。所定給付日数の3分の1以上の基本手当を残して再就職し、かつ再就職後に雇用保険に加入するなど、所定の条件を満たした場合には、「再就職手当」が支給されます。

もし上記と同じ条件の場合、所定給付日数は150日になるため、その3分の1は50日です。
そのため高年齢再就職給付金より受給しやすくなりますが、両方を受給することはできないので、基本手当が100日以上残っている方については、いずれかを選択する必要があります。

再就職手当は、基本手当を3分の1以上残して再就職した場合、残った基本手当の60%が支給されます。また、3分の2以上残して再就職した場合には、残った基本手当の70%が支給されるます。できるだけ早く再就職したほうが、給付率は高くなるためお得です。

●再就職のCさん(60歳到達時点の賃金月額が30万円)がもらえるお金

Cさん(給与などの条件はAさん・Bさんと同じ)が、基本手当を50日受給(3分の2以上残っている)した後に再就職した場合、それぞれの給付金は次のような金額になります。

①基本手当
4500円(2020年8月時点の基本手当日額)× 50日=22万5000円
②再就職手当
100日(所定給付日数の残日数)× 70% × 4500円(2020年8月時点の基本手当日額)=31万5000円
合計(①+②) 54万円

高年齢再就職給付金は54万900円でしたので、今回の条件での試算では、再就職手当より高年齢再就職給付金を選んだ方が、わずかながら有利となります。

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まとめ

今回は定年退職後の再雇用か再就職かによって、雇用保険からもらえる給付金がどう違うのかを解説いたしました。もらえるお金の金額を比較すると、一番多くもらえる可能性が高いのは「高年齢雇用継続基本給付金」、その次にわずかの差で「高年齢再就職給付金」「再就職手当」という結果になりました。

もっとも、この結果はあくまでも試算であり、個々の事情によっても変わりますので、その点はご留意ください。

特に注意いただきたいのは、年金との併給をする場合です。
60歳から65歳になるまでの間に、特別支給の老齢厚生年金を受給できる方(男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日以前生まれの方)が「高年齢雇用継続基本給付金」や「高年齢再就職給付金」を選ぶと、「特別支給の老齢厚生年金」を併給することになります。
この場合には、最高で賃金月額の6%程度の特別支給の老齢厚生年金が支給停止になるといったルールもあります。そのため、年金受給額を含めると「再就職手当」を選択した方が有利になる可能性もあるからです。

「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」のどちらにするのかを決める際には、こういった点も踏まえて慎重に選択することをおすすめします。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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