24/03/31
毎月20万円の給料どう使うのが正解?高校生がカードゲームで学ぶお金の使い方
(C)Money&You
2022年4月、成人年齢の引き下げ(20歳→18歳)に合わせるようにスタートしたのが高校での金融教育。家計管理、お金の使い方・貯め方・増やし方・備え方、さらには金融トラブルを避けるための考え方まで、その内容は多岐にわたります。
そんななか、筆者は「お金の知識を身につけるカードゲーム授業」を行うという情報をキャッチ。一見難しそうなお金の知識がゲーム感覚で楽しく身につけられたら、生徒もやる気になりますし、理解も早まりそうですよね。今回は、実際に行われた授業の様子をレポートします。
埼玉県立川越女子高校で行われたカードゲーム授業
今回筆者がお邪魔したのは、埼玉県川越市にある「埼玉県立川越女子高校」です。
<埼玉県立川越女子高校>
筆者撮影
2024年3月11日、2年生9クラス約350人を対象に、カードゲーム授業が行われました。同校は1906年創立の伝統校でありながら、カードゲーム授業のような新しい試みも取り入れています。
「マネーポーカー」に生徒が夢中
今回のカードゲーム授業は投資信託会社のセゾン投信と、ゲームを使ったお金の授業「Gトレ」を開発している合同会社エフパルが共同で提供しているプログラムです。
今回行われたゲーム授業は「マネーポーカー」(Money Poker)というゲームです。
<カードゲーム授業の様子1>
筆者撮影
マネーポーカーでは、毎月の給料20万円を「生活に必要な7種類のお金」に振り分けることを通じて、限られた収入の中でお金をどう使うかを学びます。
教室では、進行役(ファシリテーター)がゲームの内容を詳しく説明しながら授業が進みます。生徒たちも勝ちたいからでしょうか(笑)、真剣に話を聞いていました。
<マネーポーカーのワークシート>
筆者撮影
マネーポーカーのルールはトランプのポーカーとブラックジャックを足し合わせたようなもの。「税/社会保険料」「貯金」「住宅/車」「生活費/通信費」「衣服/オシャレ」「趣味」「交際費」の7種類の支出のカードを1枚ずつ引いて写真のシートに並べます。支出の金額はカードによりさまざまで、どんなことにお金を使ったのかがイラストと一緒に記されています。
カードの交換は2回までOK。最終的に並んだカードの内容(役)に応じて点数がもらえます。このあたりは、ポーカーですね。ただし、毎月の支出の合計が20万円を超えてしまったら無条件で0点です。こちらは、ブラックジャックのような感じです。
また、5回(5か月分)ゲームを行い、貯金の合計額が10万円以上になったら100点が加算されます。
<カードゲーム授業の様子2>
筆者撮影
7種類のカードをワークシートに並べて、ゲームを進める生徒たち。支出の合計を20万円以内にしないと0点なので、支出が多いと思われるカードを交換している生徒がたくさんいるようでした。
ただ、どんなカードが出るかはランダムですから、引き直したらかえって金額が増えてしまうケースも。ときおり「うわ、めっちゃ合コンしてる!」「ちょっと服買いすぎじゃない?」などと声があがっては、みんな笑っていました。
マネーポーカーで何が学べる?
5回(5か月)の得点を合計して、もっとも点数が多かった人は、高得点の役を完成させたうえ、貯蓄10万円以上も達成していました。本人いわく「貯まっている通帳を見てニヤニヤしたかった」とのことでしたが、コツコツと貯蓄することの大切さがわかります。
「5か月で10万円以上」の貯蓄を達成するには、給料20万円のなかから毎月2万円ずつ貯めなければいけません。これを実践するには、他の支出をする前に貯蓄を取り分ける「先取り貯蓄」が欠かせません。毎月2万円の先取り貯蓄をしておけば、他の支出でお金を使い切っていたとしても、貯蓄の2万円は残せます。これを先に逆算して考えておけば、比較的「貯蓄10万円以上」は達成しやすかったでしょう。先取り貯蓄は、実際に貯蓄するときにも大切な考え方です。
また、税/社会保険料は給料から天引きされることを知らない生徒もわりといました(もっとも、筆者も高校生の頃に知っていたかというと、知らなかったと思います)。家計は、税/社会保険料を引いた手取りの金額から考えるという説明にも、生徒たちは学びを深めていました。
お金の勉強をしておこう
授業終了後の生徒のアンケートには、こんなことが綴られていました。
・月収によって税金や社会保険料が決まっていることをはじめて知りました。
・20万円の中でやりくりすることは大変。キャリアアップや資格取得、投資など積極的に行い収入を増やすこと、支出を堅実に計算することが大切。
・20万円だと少しきついなと思うことがあったので、限られたお金のなかでうまく工夫していく必要があると思った。
・自分のしたいことを優先しすぎてしまった。
・ギャンブルにだけはハマりたくないです。
筆者も、お金のことをまったく知らないまま社会人になり、何かと困ることの多かった一人です。おそらく、そういう大人の方は多いのではないかと思います。それだけに、今回の埼玉県立川越女子高校での授業を見ながら「こんな授業が自分の頃にあったらよかったのに」と感じました。
生徒たちが、カードゲームの授業を通じて感じたことは、きっと自分のこれからのお金の使い方に生かせるはずです。早いうちにお金の勉強をしておけば、大人になって困ることも減らせるでしょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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