20/12/20
定年後にやってはいけない3つの投資
長らく働いてきて定年退職したら、やりたいこともいろいろあるのではないでしょうか。
しかし、定年後のセカンドライフを楽しむには、経済的な余裕も大切。退職金でまとまった資金があり、時間もあるので、投資をするにはいいタイミングかもしれません。
しかし、定年後には特有の注意点があります。今回は、定年後にやってはいけない投資と、やっていい投資についてお伝えします。
退職金で不動産投資はやってはいけない!
退職金を元手に、2000万円前後の不動産を購入して賃貸収入を得る不動産投資を考える人もいます。確かに、それで月に10万円前後の家賃収入があれば、公的年金と合算してゆとりの収入になり、いかにも悠々自適です。
しかし、結論から言ってこのような不動産投資を定年後に始めるのはおススメできません。
まず、不動産を購入した時点で、その分のお金が手元からなくなりますので、その他のたくわえがない場合は手を出すべきではないでしょう。
また、購入後の賃貸収入を見込んでも、空き室の時期が続いたり、給湯器などの設備故障といったトラブル対応をしたり、何かと手間がかかります。不動産投資は、意外と負担がある投資方法なのです。
現役のころから不動産投資を続けているのであれば、経験を積んでいるので定年後も着実に続けていかれると思います。しかし、退職金で初めての不動産投資をするのはリスクが大きすぎるでしょう。
とは言え、不動産はインフレに強いので、今後の経済情勢を考えるとぜひ取り入れたいと思う人もいるかもしれませんね。
その場合は、不動産投資信託=REIT(リート)への投資を考えてみてはいかがでしょうか。
REITは、投資家から集めたお金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど、複数の不動産を購入します。そして、賃貸収入や売買益を投資家に分配する仕組みで、数十万円程度の少額でも投資が可能です。
REITでは、国内外のさまざまな不動産に投資をします。ひとつの不動産を購入するよりもリスクの分散になることも大きなメリット。定年後は収入が少なくなるので、リスクはできるだけ小さくして運用したいですね。それには、REITが適していると言えるでしょう。
株式投資の「一極集中」はやってはいけない!
定年後の安定した収入は、公的年金です。その上乗せの収入を目的として投資をするのであれば、リターンの大きさよりもリスクを小さくすることが大切。
確かに、大きなリターンは魅力ですが、ハイリターンを望めばリスクも大きくなります。大きな損失をこうむって、投資の原資となる退職金や貯蓄を減らしてしまうことは避けたいものです。
そのため、株式投資をするのであれば、国内外の株式をバランスよく購入してほしいと思います。投資する業界や銘柄をひとつに絞ってしまうと、その業界や銘柄が下落したときの損失も大きくなってしまいます。
それを防ぐために、今後伸びていくことが期待できる産業に分散して投資するといいのではないでしょうか。たとえば、医薬品、インターネット通信、セキュリティ関連など、コロナ禍が落ち着いて成長しそうな国内外の企業は、手堅い投資先でしょう。
また、エンターテインメントや旅行・観光関連は、今は大きな打撃を受けていますが、コロナ禍の後には産業そのものは盛り返してくると思われます。
投資は、数年先を見越して考えることも必要です。長い目でリターンが期待できる国内外の企業に投資をするといいでしょう。
手数料の高い投資信託は買ってはいけない!
株式投資は自分で投資先の企業を選びますが、定年後までに投資の経験が少なければ、投資先選びもなかなか困難です。
そんなときは無理に企業を選ぶより、投資信託がオススメです。
投資信託は、投資家から集めたお金をまとめて、投資の専門家(ファンドマネージャー)が運用をする金融商品。投資信託ごとに決められた投資の方針を比較して、自分にあった投資信託を選べば、あとはファンドマネージャーが投資をしてくれます。
ただし、手数料がかかります。手数料は、投資信託ごとに異なるのでしっかり確認しましょう。
運用益は投資してみなければわかりませんが、手数料はあらかじめ決まっているので、投資信託を選ぶ時に比較検討が可能です。特に、投資信託の保有中にかかる信託報酬は、少しの差でも大きな違いとなります。たとえ大きな運用益があっても、手数料が高ければその分目減りしてしまうので、安いものがおトクです。
手数料の安い投資信託は、インデックス型という、目標とする指標に連動する成果を目指す投資信託が中心です。指標を超える成績を目指すアクティブ型は、手数料が高いこともあり、指標を超えることが難しいのです。
定年退職後には、退職金をもらってまとまった資金があったとしても、月々の給料はなくなります。そのため、オススメの投資はリスクを最小限に抑えた運用です。インデックス型の投資信託は、定年後にもしやすい投資と言えます。
まとめ
定年退職後には、家計が大きく変わります。収入が少なくなりますので、守りの管理が必要です。投資をするには、まずはリスクを小さく抑えることが大切。次に、よくわからないものは避けることです。そのため、定年後になってから初めて投資をする、というのでは遅すぎるでしょう。
現役のころからさまざまな金融商品に触れることで、定年後に何を選べばいいのかがわかってくると思います。お金のあるなしは、暮らしや人生を左右する問題です。定年後になって慌てないよう、現役のころから早めの準備をしておくことが肝心です。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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