21/03/10
セゾン投信の投資哲学は?ファンドの特徴、運用成績、手数料も合わせて解説
投資のプロが利益を追求して運用するアクティブ型の投資信託は、運用するプロの投資哲学(投資の考え方や、そこから導かれる投資の方針)が結果に色濃く反映されます。
今回は、アクティブ型の投資信託で人気の「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」を運用するセゾン投信の投資哲学に迫ります。あわせて、セゾン投信が運用する投資信託の特徴、運用成績、手数料も合わせて解説します。
セゾン投信の特徴、セゾン投信の投資哲学
セゾン投信は、2006年にクレディセゾンと日本郵便の出資を受けて設立された資産運用の会社です。翌2007年3月より、追って紹介する「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」の2本の投資信託の運用をスタート。運用開始時の顧客は1956名、運用資産総額は約9億円でしたが、その後13年を経た2020年には運用資産総額3000億円超、セゾン投信での口座開設件数約15万件と、大きく成長しています。
そんなセゾン投信が運用時に掲げているテーマは「いそがないで歩こう」。
長期投資・積立投資・国際分散投資の3つを「投資成功への3つの秘訣」として訴えつづけ、実践しています。長期投資・積立投資・分散投資は、よく「投資の王道」の手法だといわれます。セゾン投信では、その王道の手法をきちんと取り入れ、資産運用に生かしているのです。
長期投資は、時間をかけコツコツと投資を行うことです。これによって、元本割れの可能性を低くするとともに、複利の効果を味方にしながら資産を増やしていきます。
積立投資は、価格の変動に関わらず、一定額ずつ投資していくことです。価格が安いときにはたくさん、高いときには少ししか買わないようにして、平均購入単価を下げ、利益を出しやすくします。
そして分散投資は、さまざまな資産に分けて投資をすることです。資産を分散しておけば、そのうちのどれかが値下がりしても、他のどれかの値上がりがカバーしてくれる可能性があります。また、世界中に投資しておくことで、これから成長する国の力も借りてお金を増やせます。
セゾン投信では、商品のリターンに加えて、こうした投資の基本を伝えること(「投資行動におせっかいをする」と表現しています)を大切にしています。それによって、投資したお金を増やすだけでなく、投資家としての知識(インベスターリターン)を身につけ、運用成果を高めてもらうことを目指しています。
そのため、セゾン投信では情報発信も幅広く行なっています。代表の中野晴啓氏は「つみたてNISAはこの8本から選びなさい」(ダイヤモンド社)をはじめさまざまな著書でその投資哲学を語っています。
YouTube「セゾン投信 YouTube公式チャンネル」では毎月・年間の運用状況の報告はもちろん、投資の基本や運用の考え方などを都度発信しています。また毎月発行される「セゾン投信NEWS LETTER」やメールマガジン、Podcast「中野晴啓のはるラジ」などからも、セゾン投信の投資哲学に触れることができます。
セゾン投信の2種類の商品の特徴、手数料、運用成績
セゾン投信では「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」の2本の投資信託を運用しています。概要は以下のとおりです。
●セゾン投信の投資信託の特徴、手数料、運用成績
セゾン・グローバル バランスファンド |
セゾン資産形成の達人ファンド | |
---|---|---|
購入方法 | セゾン投信で購入 販売会社を通じて購入することも可能 |
セゾン投信で購入 販売会社を通じて購入することも可能 |
販売時手数料 | 無料 | 無料 |
信託報酬 | 0.58% | 1.54% |
信託財産留保額 | 0.1% | 0.1% |
つみたてNISA | 対象 | 対象 |
基準価額 | 20,327円 | 32,005円 |
純資産総額 | 3391.37億円 | 2107.39億円 |
目論見書・HPなどを元に筆者作成(2022年9月9日時点)
セゾン・グローバルバランスファンドもセゾン資産形成の達人ファンドも、長期投資・積立投資・国際分散投資の投資哲学にのっとって、市場の動きの予測は行いません。そのうえで、長期的な視点で分散投資を行い、リスクを押さえながら資産の成長を目指します。また、セゾン投信に口座を開設して購入できるだけでなく、取り扱いのある証券会社を通じて購入することも可能です(金融機関により、つみたてNISAやiDeCoでのみ申し込み可能としている場合があります)。
このセゾン投信の2本の投資信託を、もう少し詳しく見てみましょう。
●セゾン・グローバルバランスファンド
セゾン・グローバルバランスファンドは、株式や債券に投資する複数の投資信託に投資を行う「ファンド・オブ・ファンズ」方式の投資信託です。セゾン・グローバルバランスファンドでは、米国の世界最大級の運用会社、バンガード社の投資信託を通じて、世界30カ国以上の株式・10カ国以上の債券に分散投資を行います。このコンセプトが好評で、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の上位の常連となっています。
組み入れている資産は株式と債券。株式と債券の投資比率は原則として50:50となっています。投資家からすれば、1本買うだけで世界中にバランスの取れた分散投資ができるのですから、便利ですね。
【セゾン・グローバルバランスファンドの運用状況・基準価額騰落率】
目論見書・HPなどを元に筆者作成(2021年2月時点)
●セゾン資産形成の達人ファンド
セゾン資産形成の達人ファンドもセゾン・グローバルバランスファンドと同様、複数の投資信託に投資を行う「ファンド・オブ・ファンズ」方式の投資信託です。ただセゾン資産形成の達人ファンドは、100%海外・国内の株式に投資する投資信託で運用を行います。30カ国以上の厳選された企業の株式に分散投資し、より高いリターンを目指します。
こちらも「R&Iファンド大賞2020 最優秀ファンド賞」を受賞するなど受賞歴も多く、人気の商品です。
【セゾン資産形成の達人ファンドの運用状況・基準価額騰落率】
目論見書・HPなどを元に筆者作成(2021年2月時点)
信託報酬は少し高め
セゾン投信の2本は「アクティブ型」と呼ばれる投資信託で、インデックス型の投資信託に比べると保有中のコスト、信託報酬が高めなのがデメリットです。インデックス型の投資信託は、たとえばTOPIXや日経平均株価などの指数と連動することが目的なので、セゾン投信の2本の投資信託のような細かな分析が不要です。その分、アクティブ型より信託報酬が安くなるのです。インデックス型の投資信託の中には、信託報酬が年0.1%程度のものもあります。
とはいえ、「セゾン・グローバルバランスファンド」の信託報酬は年0.58%と、アクティブ型の投資信託の中ではかなりの低水準。また「セゾン資産形成の達人ファンド」も設定来の年換算収益率は7.80%と、信託報酬を大きく上回る値上がりを見せているのは心強いポイントです。
まとめ
セゾン投信の投資哲学と、セゾン投信が運用する「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」を紹介してきました。セゾン投信では長期投資・積立投資・分散投資という、堅実であり王道の投資スタイルで運用しています。将来の資産形成のために、投資先の候補として入れてみてはいかがでしょうか。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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