20/01/19
定年前後の手続きで失敗すると大損に! 「残念な定年」を避ける方法
定年を間近に控えているあなた、準備は万全でしょうか?
定年というのは人生の中で大きな節目です。ただ、漫然と迎えてしまっては、「残念な定年」になってしまいます。
定年する前に、定年後のライフプランを考えておきたいものです。そうしないと定年後に慌てて対応しても間に合わなかったり、こんなはずではなかったと後悔したりすることになってしまいます。
また、定年前後の手続きやお金のことも、しっかりと準備をしておく必要があります。
定年後に再雇用をするのか? 起業するのか? いくつまで働くのか? 健康保健はどうするのか? 企業年金の受け取り方は? 退職金の使い道は?などなど、準備することが満載です。
そんな、定年前後の手続きについて紹介しましょう。
定年前のイメージ作り「見える化」が、定年後の生活を変える
60歳定年ならば、遅くとも55歳から定年の準備を始めておきたいものです。
55歳から定年後のイメージをすることは、とても大事です。この時点である程度のイメージを作って
おくことが「残念な定年」になるのか、それとも「ハッピーな定年」になるのかの分かれ道なのです。
「いまは、仕事で忙しいし、定年後のイメージなんてできないよ。定年後に考えればいいのでは?」と思っていると、手遅れになります。
まず、定年後の生活をイメージするためには、ライフプラン表を作るのが一番です。
このライフプラン表というのは、定年後の生活で収入はどのくらいになるのか?そして、生活費はどのくらいかかるのか?という支出を考える作業です。つまり、定年後の生活を「見える化」することです。
そうすると、生活費がどのくらい足りないのか、老後資金はいつまで持つのかがわかります。
そこから、どのくらい働かなくてはいけないのか?旅行などのレジャーにどのくらいのお金が使えるのか?と言うのがわかります。
これが、定年前のイメージ作りなのです。
定年前後の手続き「雇用保険」「健康保険」「年金」「税金」
定年前後の手続きは、いろいろあります。うっかり、手続きを忘れてしまうと大きな損をします。提出期限などがありますので、必要な手続きをチェックしながら行うことが失敗しないための方法です。
手続きには、どんなものがあるのかというと、おおまかに分けると次のようなものです。
雇用保険では、失業給付があります。そのほかにも職業訓練の補助金などがあるので、これを利用して新たな資格を修得できれば、キャリアアップやセカンドキャリアにつなげることができます。
健康保険は、会社の健康保険に入っていたと思いますが、退職すると国民健康保険、または任意継続にするか、扶養家族になるかなど、いくつかの選択が必要です。
年金の手続きも必要になります。年金は自分で手続きをしないと受け取ることができません。年下の配偶者が3号被保険者だった場合は、1号被保険者への変更、繰上げ受給・繰下げ受給など選択、雇用保険を受け取る場合には、年金との併用ができないので選択する必要などがあります。
税金についても検討が必要です。退職金を一括で受け取るか、分割で受け取るかで、税金・社会保険料が変わってきます。とくに企業年金などの受け取りと重なり、受取る金額が多くなった時には、意外と税金がかかりますので検討が必要です。
60歳で定年する人の手続きは?
60歳で定年して仕事を辞める場合、60歳以降も再雇用で働く場合、65歳以降も継続して働く場合では、手続きなどが変わってきます。そのパターンを分けながら時系列に必要な手続きを紹介すると下記の様になります。
まずは、60歳で定年をする人の必要な手続きは次のような項目があります。
・健康保険の切り換え(任意加入か国民健康保健にするのか)
・年下の妻で、第3号被保険者だった場合は、第1号被保険者への変更
・失業保険の手続き
・退職金の受け取り方(一時金で受け取るのか、年金で受け取るのか)
・企業年金や確定拠出年金の受け取り方
・特別支給の老齢厚生年金の手続き(該当者の場合)
・国民年金の任意加入をするか?
・国民年金基金の加入はどうするか?
65歳まで働く場合、65歳になった時の手続きは?
60歳以降も再雇用で働く人が多いと思いますが、その場合にも、さまざまな手続きや制度があります。該当する場合には、手続きするだけで得になることもあります。逆に言うと手続きをしないと損になるのです。
・再就職の手続き
・雇用保険と年金のどちらを選ぶか
・高年齢雇用給付金の手続き
・在職老齢年金のしくみ
なお、65歳になると年金の手続きがあります。
・年金請求書の手続き
・扶養親族等申告書
・年金の繰上げ受給/繰下げ受給
・加給年金と振替加算
定年を前にして、どんなことをしなければいけないのか。そして、どんな手続きがあるのかを簡単に紹介をしました。結構、面倒な印象をもたれたかも知れません。しかし多少面倒でも手間を惜しまず、一つ一つこなしていくことで、結局は損をしないことにつながります。
これらの手続きをもう少しわかりやすくまとめたムックが発売になりました。『定年前後の手続きガイド』(宝島社)です。こちらを見ながら再確認をしていただければと思います。
『定年前後の手続きガイド』中島典子/長尾義弘 監修
『定年前後の手続きガイド』(宝島社)
第二の人生のスタートとなる定年。実は、定年前後のさまざまな届け出や手続きで、大きく得をすることも、逆に損してしまうことも。
本書では、老後を支える「減らないサイフ」である公的年金の受け取り方や、失業給付のもらい方や健康保険の手続きなども解説。
【関連記事もチェック】
・50歳で貯蓄ゼロの人が、65歳までに2000万円を貯める老後資金のつくり方
・老後資金2000万円は貯めるな! 月額5万円の赤字を解消する方法をプロが解説
・単身者は老後の生活費を年金だけに頼ると「老後破綻」に。でも、こうすれば老後破綻は免れる!
・共稼ぎは最強の老後資金対策! 厚生年金をダブルで受け取る夫婦の落とし穴は?
・老後資金は貯めるな!公的年金をできる限り増やす裏技は山程ある
長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう