19/09/08
50歳で貯蓄ゼロの人が、65歳までに2000万円を貯める老後資金のつくり方
「老後資金2000万円」というのが問題になっていますが、50歳の時点で貯蓄が0円という人も多いのではありませんか。では、そういった人が65歳までに2000万円を貯めるというのは、現実的に可能なのでしょうか?
さまざまなシミュレーションをしながら検証していきたいと思います。
65歳の時点で2000万円あればなんとかなる!
私は書籍でも書いているのですが、「老後資金は、貯蓄として2000万円を用意する必要はない!」と主張しています。
なぜなら、2000万円の貯蓄を準備するよりも、年金の繰下げ受給をして、終身で受け取れる年金額を増やす方が合理的だと考えるからです。つまり、公的年金の受け取りを65歳から70歳まで繰り下げればいいのです。こうすることで、受け取れる年金の金額は42%増えます。
ただそう言っても、その間の生活費がどうしても必要になります。
その資金というのが、まさに2000万円なのです。
65歳の時点で2000万円の資金があれば、その後の年金生活は、ある程度安定すると考えています。
問題は、その2000万円をどうやって準備するかなのです。これが用意できなければ「絵に描いた餅」「机上の空論」で終わってしまいます。
そこで今回は、50歳の段階で貯蓄が0円という人でも、なんとか2000万円を準備できる!という方法を考えてみました。
50歳で貯蓄0円、65歳で2000万円準備するシミュレーション!
貯蓄0円で、65歳までに2000万円の資金を準備できる方法をいくつかシミュレーションをして見ましょう。
●A.退職金が2000万円ある
退職金が2000万円ある人は、準備は終わりです。あとは支出に注意をしていきましょう。
●B.コツコツ貯蓄する
毎月11万円の貯蓄(11万円×12か月×15年=約2000万円)
とはいえ、月額11万円の貯蓄というのは、現実問題かなり厳しいものがあると思います。
住宅ローン、教育費などで家計の状態が厳しい人は、11万円を作るのは難しいかもしれません。
●C.iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を使う
年利20%で積立期間10年、毎月の積立額4万6000円(夫婦でiDeCo枠を使う)
iDeCoを使うと所得税・住民税の控除があります。
課税所得が10%の人ならば、所得税・住民税も合わせて20%の控除があります。それに運用益は非課税になります。
控除分を年利20%と考えて計算をすると、毎月4万6000円を積み立てれば、たとえ0%の運用でも、所得税・住民税の控除額をあわせて、1588万円を60歳までに貯めることができます。目標の2000万円までは到達していませんが、65歳まで5年間あります。その間も積立をしながらなんとか2000万円まで増やしていきましょう。
ただし、iDeCoで積み立てた金額はもちろん、税金で戻ってきた分も貯蓄をしないとダメです。
●D.つみたてNISAを使う
6.6万円を15年間、年利3%で運用した場合=約1500万円
夫婦二人でつみたてNISAをした場合、月額の上限が約6.6万円になります(一人の投資上限は年40万円)。
しかし、仮に年3%で運用できたとしても、残念ながら2000万円には足りません。計算上、1500万円は用意できます。
●E.積み立てて運用する
iDeCoやつみたてNISAを使わずに、毎月積立をしながら運用したとします。
15年で2000万円になる毎月の積立金額(非課税)を計算すると、下記のようになります。
1%で運用した場合=毎月の積立額10万2982円
2%で運用した場合=毎月の積立額9万5343円
3%で運用した場合=毎月の積立額8万8179円
4%で運用した場合=毎月の積立額8万1470円
5%で運用した場合=毎月の積立額7万5179円
しかもここでは非課税で計算しているので、実際の積立額はもっと必要です(約20%の税金がかかります)。この点、iDeCoやつみたてNISAは非課税なので、有利に運用ができます。
こうみると、iDeCoやつみたてNISAを使った方が合理的です。
月額6万円を節約するテクニック
こうしてみると、iDeCoとつみたてNISAを併用するとしても、最低でも毎月6〜7万円を積み立てる必要があることがわかります。では、どうやって毎月その金額を準備すればいいのでしょうか。
一番いいのは、節約によって効率のいい家計に変えていくことです。
それぞれの家庭によって支出は変わってくるので、一概にはいえない部分ではあるのですが、ここでは一般的な家庭を想定してシミュレーションしてみました。
●保険の見直し −2万円
真っ先に考えるのが保険の見直しでしょう。支出の大きいものから検討をしていくのがコツです。
保険料は、1家庭あたり平均年間38.5万円支払っているといいます(生命保険文化センター調べ)。月額にすると3万2000円です。
これは少しかけすぎかと思います。貯蓄型の保険を除いて、保障だけで考えると月額1万円の保険でも充分に対応できると考えています。
つまり、保険を見直すことで毎月2万円ぐらいは節約できるというわけです。
●住宅ローンの見直し −1万円
特に10年以上前に住宅ローンを組んだまま、借り換えは得だといわれながらもそのままにしている人も多いでしょう。住宅ローンの借り換えを実行すれば、月額の支払いは1万円下がります。
●車をカーシェアリングに −2万円
車を所有している人は、カーシェアリングに変更することで、毎月の駐車代2万円がなくなります。また、駐車代がそこまでかからない人でも、固定資産税や車検・メンテナンス費用などが削減できるので、2万円は減らせるのではないかと思います。
●スマホを格安スマホに −1万円
スマホを格安スマホに変更すると、夫婦合わせて、月額1万円安くなります。
これらの支出を節約することで、毎月の支出が合計6万円減ります。
この節約したお金で、iDeCoやつみたてNISAをすれば、65歳までに2000万円の資金を貯めることできそうです。そしてその2000万円を使って、年金の繰下げ受給をするのです。
まさに、50歳からのわらしべ長者のようですが、これによって、安心できる老後資金を確保することが可能でしょう。
つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関4選
つみたてNISA(積立NISA)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
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長尾 義弘 NEO企画代表
ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。
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