17/12/15
会社員のための個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)の始め方
会社員に関係がある年金といえば、まず「国民年金」と「厚生年金」があります。これらは少子高齢化などの影響により、今後受給額が減っていくあるいは受給開始年齢が今よりも高くなる可能性もあるといわれています。
公務員に関しては、2015年に共済年金が厚生年金に統合され、年金受給額が引き下げられることになりました。また会社員に関しても、各企業が運営する私的な年金制度である「企業年金」がどんどん縮小の傾向にあります。そもそも「うちの会社には企業年金がない」という方も多いかと思います。
このように、公務員も会社員も、老後のお金を取り巻く環境はどんどん悪化しており、退職後に安心して暮らせるのだろうか……と、多くの人が不安を抱えているのが現状です。そこで検討をしたいのがiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)です。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に会社員が加入するメリット
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は月々お金を積み立てて、投資信託、定期預金、保険などを利用して運用し、60歳以降で受け取るというものです。2017年1月の法改正により、20歳以上60歳未満であれば職業を問わず、原則ほぼ全ての人が加入できるようになりました。
会社員の場合、勤め先に企業年金がなければ月額2万3,000円まで、企業型確定拠出年金のみ加入している場合は月額2万円まで、厚生年金などの確定給付型の企業年金がある場合は月額1万2,000円までの積み立てが可能です。公務員の場合は月額1万2,000円が上限となります。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)のメリットは大きく分けると4つあります。1つ目のメリットは毎月の掛金が税金の還付で戻ってくることです。積み立てた掛金は全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税が減額されます。例えば、課税所得500万円の会社員が月々1万円を積み立てた場合、年間で約3万6,000円(所得税20%、住民税10%)の節税になります。
2つ目は、利用最低金額が月々5,000円からと、少額から積立ができることです。さらに利用機関も銀行、証券会社、保険会社と幅広いため、身近な金融機関で開始することができます。
3つ目は長期運用で資産が大きく増える可能性があることです。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は基本的に投資信託で運用しますが、運用によって出た利益は積み立てた掛金に上乗せされます。ここでの運用益は非課税です。運用益は通常ならば約20%課税されますが、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)なら出た利益が全て手元に入ります。
4つ目は、貯金が苦手な人でも確実にお金を貯められるということです。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は60歳になるまでは中途換金・引き出しができない制度です。住宅購入や教育資金などでついつい引き出しがちなお金を老後までしっかり守ってくれるのです。
この4つのメリットの他、転職の際には積み立てたお金を引き継げること、公務員にとっては減額した年金・退職金を補填できるとともに、昇給や退職金の予測がつきやすく、掛金や受取の見通しが立てやすいこともポイントです。
マッチング拠出との違い
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は個人が掛金を拠出してお金を運用する仕組み(個人型確定拠出年金)です。一方で会社が掛金を負担し、従業員が運用するのが「企業型確定拠出年金(企業型DC)」です。この企業型DCにおいて、企業の掛金にプラスして、従業員が一定の範囲内で掛金を上乗せできるのが「マッチング拠出」です。
マッチング拠出は会社の掛金と同額まで、かつ合算で拠出限度額までという条件が付くため、企業側の掛金が少ないと上乗せ額も少なくなります。企業型DCの掛金の上限は月5万5,000円か月2万7,500円のいずれか。例えば上限額が5万5,000円だとすると、会社の掛金が月々2万5,000円の場合には、マッチング拠出による上乗せも2万5,000円になります。
この場合、合算は5万円になり上限額未満なので問題ありません。マッチング拠出のメリットは、運営管理機関などに毎月支払う口座管理手数料を会社が負担し、口座も一元化されることです。この点ではiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)より管理がしやすいといえます。
ちなみに企業型DCに加入していてもiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入することは可能です。ただし上限額は月々2万円までです。かつマッチング拠出との併用はできないため注意しましょう。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の場合、銀行や証券会社など、契約先となる運営機関を自分で選択できるので、より自由に投資ができるのが大きな利点です。
会社員は勤務先にも届け出が必要
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に申し込みをする際に用意する書類のうち「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」は、勤務先の会社に提出をして、記入や捺印をもらう必要があります。また事業所登録など、会社が行う手続きも発生するため、会社を通さず勝手に始めることはできません。iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を始めたい場合は必ず会社へ相談をしましょう。
年金や退職金が頼りになった時代は終わり、これからは自分自身でお金を増やし老後に備えていくことが大事です。法改正により会社員、公務員にも身近になったiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)でコツコツ資産を増やし、豊かな老後に備えることを考えてみてはいかがでしょうか。
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