24/02/29
【意外と知らない】61歳以降のねんきん定期便の内容 働くと年金額も増えている?
「ねんきん定期便」を見れば、将来受け取れる年金額の目安がわかります。ただし、60歳以降も働けば、ねんきん定期便の年金額よりも年金を増やせることも知っておきましょう。今回は、ねんきん定期便の年金額の見方や60歳以降働くとどれくらい年金が増えるかを説明します。
61歳以降のねんきん定期便では年金額が増えていく
毎年誕生月に届くねんきん定期便。ねんきん定期便を見れば、将来もらえる年金のだいたいの金額を知ることができます。
50歳未満の人のねんきん定期便にはこれまでの加入実績に応じた年金額が表示されているため、毎年年金額が増えて行きます。一方、50歳以上になると、現在の加入条件で60歳まで加入を継続した場合に65歳からもらえる年金見込額が表示されるようになります。年金見込額は仮定の金額なので、50歳から60歳までのねんきん定期便では、加入状況が変わったり、年金給付水準が変わったりしない限り、年金見込額は大きく変わりません。
50代になってねんきん定期便を見て、「これだけしかもらえないのか」とため息をついている人もいるかもしれません。
しかし、ねんきん定期便の年金見込額は、60歳までの年金加入を前提としたものです。厚生年金加入年齢の上限は70歳。60歳以降も働けば、年金額を増やせます。
60歳以降も厚生年金に加入している人には、引き続きねんきん定期便が届きます。61歳以上の人のねんきん定期便には、60歳以降に払った保険料の分も反映されています。つまり、61歳以降はねんきん定期便の年金額も毎年増えて行くのです。年金が増えているのを目で見て確認できるので、ますます働く意欲もわいてくるでしょう。
60歳以降働くと年金額はどれくらい増える?
会社などで働く場合、60歳以降で増やせる年金は基本的に厚生年金のみです。国民年金の加入は原則として60歳までなので、老齢基礎年金は増やせません。
老齢厚生年金は、次のようにして算出します。
老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
60歳以降働いて増やせるのは、主に報酬比例部分です。人によっては経過的加算も増やせます。加給年金額(配偶者等を扶養している場合の加算)は一定なので増やせません。
報酬比例部分は、老齢厚生年金のメインとなる部分で、次の計算式で算出します。
平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数
平均標準報酬額とはボーナスを含めた平均の月収額です。
月収20万円、ボーナスなしで1年間働くとすると、
20万円×5.481/1000×12ヶ月≒13154円
となり、約1万3000円年金を増やせます。同水準の月収で60歳から65歳の5年間働いたとすると、増やせる年金額は約6万5000円です。
厚生年金加入歴480か月未満なら経過的加算も増やせる
以前の年金制度では、老齢厚生年金は「定額部分」と「報酬比例部分」に分かれていました。今の制度に変わってから、以前の定額部分は老齢基礎年金に置き換わっています。そして、定額部分と老齢基礎年金の金額には差があるため、その差額を埋めるために「経過的加算」が支給されています。
厚生年金の総加入月数が480か月未満の人の場合、480か月に到達するまで経過的加算を増やせます。2023年度(令和5年度)の定額単価1657円(67歳以下)を基準に計算すると、1年働くことにより経過的加算は約2万円増えます。報酬比例部分と合わせると、1年で約3.3万円年金受給額を増やせるのです。
60歳到達時点で厚生年金加入月数が420か月に達していない人なら、60歳から65歳までの5年間働くことにより、報酬比例部分と経過的加算の両方を増やせることになります。この場合、増える年金額は約16.5万円です。5年働くだけでこれだけ年金が増えるなら、働いた方がよいと思う人が多いのではないでしょうか。
ねんきん定期便の年金額は60歳以降も働くと増える
50代のねんきん定期便に表示されている年金額は、60歳まで働いた場合の金額です。60歳以降も厚生年金に加入して働けば、もっと年金を増やせます。増えた年金を一生涯もらえるため、老後の安心感は大きくなるでしょう。
今は60歳定年後も再雇用などで勤務を続けることが可能になっています。特に年金額が少ない人は、働いて年金を増やすことを考えてみてください。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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