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23/06/16

相続・税金・年金

年金が78万円上乗せになる「長期加入者の特例」受けられる条件

年金が78万円上乗せになる「長期加入者の特例」受けられる条件

厚生年金に長く加入すると、年金が上乗せになる特例があることをご存じですか?その特例とは、厚生年金に44年以上加入している人が受けられる「長期加入者の特例」です。また、この特例に該当する人に年下の配偶者がいると、さらに年金が上乗せされる制度もあります。お得が多い長期加入者の特例ですが、どのような人が受けられる制度なのでしょうか?

厚生年金に44年以上加入するともらえる年金が増える

厚生年金に44年以上加入すると年金が約78万円上乗せになる制度があります。この制度を「長期加入者の特例」といいます。

一定の生年月日より前に生まれた人は「特別支給の老齢厚生年金」の報酬比例部分をもらうことができます。このとき厚生年金に44年以上加入した人には、特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」が上乗せになるのです。その上乗せ額は以下の計算式で求めることができます。

☆特別支給の老齢厚生年金の「定額部分」
=1,657円×物価スライド率×厚生年金被保険者期間の月数

これは2023年4月からの67歳以下の人に対する計算式です。計算に使われる単価や物価スライド率は毎年見直されます。

上記の計算によると、上乗せになる金額は年間で約78万円になる見込みです。

●長期加入者の特例を受けるための要件

長期加入者の特例で年金が約78万円上乗せになる人は、以下の3つの要件を満たす人です。
1)特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢になっている
2)厚生年金の加入期間が44年以上である
3)厚生年金に加入していない

また、厚生年金の加入者は長期加入者の特例を受けることはできません。ただし、パートやアルバイトなどで厚生年金に加入せずに働く場合は特例を受けることができます。

厚生年金に44年間加入し65歳未満で退職する人となると、長期加入者の特例に該当する人は限られます。中卒で働き始め60歳まで働いた人、もしくは高卒で就職し63歳まで働いた人であれば、長期加入者の特例に該当する可能性があるでしょう。大卒の人は、長期加入者の特例には該当しません。

特別支給の老齢厚生年金の対象者で長期加入者の特例にも該当するときは、自動的に定額 部分が上乗せされるため、特に手続きは不要です。ただし、受給が始まった後、厚生年金に加入して働き始めた場合は支給停止になります。また、この特例は65歳になれば支給が終了するので留意しておきましょう。

そもそも特別支給の老齢厚生年金ってどんなもの?

長期加入者の特例で上乗せとなるのは、特別支給の老齢厚生年金の定額部分です。ではここで、特別支給の老齢厚生年金について確認しておきましょう。

特別支給の老齢厚生年金とは、法改正で1981年4月から年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、特別措置として導入された制度です。その頃、定年退職の年齢は60歳が一般的でした。しかし、一気に受給開始年齢を引き上げてしまうと、多くの人は年金をもらい始めるまでに5年の空白期間が生じます。そのため年金の受給開始年齢を段階的に引き上げることになったのです。

受給要件に該当する人は、特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分」を受け取ることができます。

特別支給の老齢厚生年金の受給要件は下記の通りです。
 ・男性は、1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた
 ・女性は、1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた
 ・老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)がある
 ・厚生年金に1年以上加入した

受給要件に該当する人は、「ねんきん定期便」に特別支給の老齢厚生年金が記載されているので、確認してみてください。

特別支給の老齢厚生年金でもらえるのは報酬比例部分ですが、厚生年金に44年以上加入していれば、会社を退職して65歳になるまでの間に「定額部分」も上乗せされます。

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年下の配偶者がいれば加給年金も上乗せ!

長期加入者の特例で年金が上乗せになる人の中には、「加給年金」も一緒にもらえる人もいます。加給年金とは、厚生年金に20年以上加入していた人が「特別支給の老齢厚生年金の定額部分」もしくは「65歳からの老齢厚生年金」をもらう際、65歳未満の配偶者を扶養していれば上乗せされる年金のことです。扶養する配偶者が65歳になるまでの間、年間で約39万円もらうことができます。ちなみに2023年4月からの加算額は、年額397,500円です。

長期加入者の特例に該当する人は特別支給の老齢厚生年金の定額部分をもらうことになるので、加給年金の受給対象者になります。つまり、自身が受け取る特別支給の老齢厚生年金に約78万円が上乗せされ、加えて加給年金の約39万円が加算されるということです。加給年金は手続きをしないともらえないので、自身が該当するときは忘れないように手続きしましょう。

まとめ

厚生年金の加入期間が44年以上になる人は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)をもらう際に、定額部分も上乗せされます。この制度を「長期加入者の特例」といいます。この特例を受けるには、特別支給の老齢厚生年金の受給対象者、厚生年金の加入期間が44年以上、厚生年金の未加入者という3つの要件を満たす必要があります。また、長期加入者の特例の対象者に年下の配偶者がいる場合、加給年金も上乗せされるのでお得です。ただし、長期加入者の特例は65歳になれば終了となるので留意しておきましょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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