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22/10/13

相続・税金・年金

定年後に働きながら年金を満額もらう「月収の上限額」一覧表

定年後に働きながら年金を満額もらう「月収の上限額」一覧表

「年金だけでは収入面で不安なので働きたい」という方が増えています。また、収入面だけに限らず、社会的なつながりを維持して人生を豊かにするためにも働きたいという方もいるでしょう。

年金をもらいながら働く場合は「在職老齢年金」という仕組みが適用されます。在職老齢年金は、年金をもらいながら働くことで年金だけでなく給与などの収入ももらえるメリットがあります。しかし一方で、年金と収入の合計額が一定の基準額を超えると年金額が減額になることもあるため、働くことによるデメリットを感じられる方も少なくありません。今回は在職老齢年金の減額の条件や、注意点についてわかりやすくご説明します。

そもそも在職老齢年金とは?

60歳や65歳で定年を迎えても、再雇用などで働き続ける人が多くなってきています。定年後も働くと、多くの場合給料が減って、給料だけでは現役の頃よりも生活の質が下がってしまいます。そこでできたのが、在職老齢年金という仕組みです。在職老齢年金は、老齢厚生年金をもらいながら働き、勤務先の厚生年金にも加入することができる仕組みです。

しかし、在職老齢年金は一定以上の収入がある場合、収入に応じて年金が減額される仕組みになっています。なぜ年金が減額されてしまうのでしょうか。

その理由は、在職老齢年金のそもそもの目的にそぐわないからです。在職老齢年金は、給料だけでは現役の頃よりも生活の質が下がってしまうことを防ぐことを目的としています。そのため、お金の面で見て生活の質が下がらないならば、年金を減額したり、支給を停止したりする、というわけです。「給料と老後にもらう年金の合計額が多い方は、現役時代の生活水準を維持できるのだから、年金の支給は一定程度我慢してもらいますね」という制度と考えると分かりやすいのではないでしょうか。

年金をもらいながらいくら稼ぐと減額される?

では、年金をもらいながらいくら稼ぐと年金が減額されてしまうのでしょうか。

2022年4月以降の在職老齢年金の支給停止額の計算方法は次のとおりとなります。

●在職老齢年金の支給停止額の計算方法

・基本月額(年金月額)(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計額が47万円以下の場合
→0円(全額支給)
・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える場合
→総報酬月額相当額+年金の基本月額-47万円)×2分の1
※1 総報酬月額相当額
(その月の標準報酬⽉額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
※2 基本月額
加給年⾦額を除いた⽼齢厚⽣(退職共済)年⾦の月額

年金の基本月額と総報酬月額相当額、平たくいえば年金と月収の合計が47万円を超えない限り、年金は全額支給されることになります。また、年金と月収の合計が47万円を超える場合は、47万円を超えた金額の2分の1が年金額から支給停止されます。

たとえば、年金の基本月額が月15万円、総報酬月額相当額が42万円の方の場合、

支給停止額=(15万円+42万円-47万円)×1/2=5万円
在職老齢年金としてもらえる年金額は、15万円-5万円=10万円

となり、年金額が月5万円減少してしまいます。

したがって、老後にもらう年金を減らされたくない人は年金月額と収入の月額相当額が合計47万円を超えないように気を付けましょう。

なお、2022年3月までは、年金と月収の合計が
・28万円超(60歳以上65歳未満)
・47万円超(65歳以上)
の場合、年金の一部または全部が減額されていました。65歳までと65歳以降で減額になる条件が違ったのです。

しかし、特に60歳前半の方の中には「せっかく働いても年金が止まってしまうので、止まらない程度に働こう」というが多くいました。少子高齢化によって働き手が少なくなっているなか、働くと年金が止まるから働かないというのでは本末転倒ですよね。

そこで、60歳以上の方の就労意欲を高める為に、2022年4月から在職老齢年金の支給停止額の計算方法が改正され、65歳までの方も65歳以降の方と同じ条件になっています。「28万円超」では年金が減ってしまうものの、「47万円超」ならば年金が減らないという方もいるでしょう。

PayPay証券

いくら年金が減額されるかを早見表で確認

在職老齢年金で年金が減額されずに済む月収は、次の早見表を利用すると手軽にわかります。

●在職老齢年金の年金額早見表

筆者作成

表の縦軸は総報酬月額相当額(月収)、横軸は年金の基本月額となっています。縦と横をクロスさせた部分が、もらえる年金額を表しています。また、その下のカッコ内は減額分の年金額を表します。
上で紹介した年金の基本月額が月15万円、総報酬月額相当額が42万円の方の場合、もらえる年金額は10万円で、5万円減ってしまうことがわかります。

60歳以降も厚生年金保険に加入して働く場合は、自分がどのパターンに当てはまりそうか確認しておきましょう。

自分の年金の基本月額をねんきん定期便や日本年金機構のねんきんネットなどのシミュレーションで確認し、総報酬月額相当額(月収)とクロスする部分を探します。年金と月収の合計額が黄色の網掛け部分の範囲ならば、年金は減額されません。白の部分の範囲ならば、年金が一部減額されます。そして、青色の網掛け部分の範囲の場合は、年金は全額支給停止になります。

まとめ

人生100年時代と呼ばれる時代、60歳以降も長い生活が続きます。働くことで年金の不足部分が補え、社会との関わりも持てるため、老後も働くメリットは大きいです。老後に自分らしく働くためにも、在職老齢年金に関する知識はしっかり持っておきましょう。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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