22/11/27
令和でも「昭和生まれの親」のお金の常識にとらわれる人の残念な末路
10年といわず、2~3年でもさまざまな技術が進歩しています。しかし、技術の進歩にくらべると、私たちの意識を変えるには時間がかかります。特にお金の常識は、育った環境に左右されることが多く、私たちの価値観を形成しています。昭和といえば、30年以上も前のことなのですが、その常識を引きずったまま損をしていることに気づかない人もいます。
今回は、「昭和の常識は、現在の非常識」になってしまったお金の常識について見ていくことにします。
昭和の常識1:子どもの学費のために学資保険に入る
かつて学資保険は、教育費を準備する王道ともいわれていました。特に予定利率の高かった時期には貯蓄性が高く、保険料以上の満期返戻金を受け取ることができました。しかし現在では、標準利率(銀行が日銀にお金を預けることで得られる利息)が0.25%と低く、保険会社の予定利率も低いため、保険料の払い込み金額が満期返戻金を下回るケースが多くなっています。支払い期間を短くする、特約をつけないなどの方法で返戻金を増やすことはできますが、貯蓄性を活かすなら別の商品を検討した方がいいでしょう。
たとえば、つみたてNISAを使い学資を貯めてはいかがでしょうか。つみたてNISAでは、金融庁が長期投資に向いた商品を選び、売買手数料がかからず年間40万円、最長20年間運用できます。そのうえ、運用益には税金がかからないという税制のメリットがあります。基準価額の値動きはありますが、長期・積立・分散投資でお金を堅実に増やす期待ができます。
昭和の常識2:住宅ローンは繰り上げ返済をする
住宅購入といえば、一生に一度の大イベントで、大きな金額が必要です。住宅ローンは、早く返済すれば総返済額が減るため、借入金利が高い場合には繰り上げ返済をするのが有効です。しかし、繰り上げで返済額を減らすことが必ずしも有利になるとは限りません。
住宅ローンを繰り下げ返済することで手持ち資金がごっそり減ってしまうと、急な支出に対応できません。無理して返済しなくても、借入金利が超低金利のものならこのまま借りても利息の負担は大きくありません。返済しようと思う金額を運用して増やすこともできます。また、借りている金利が高い場合には、金利の低いローンへの借り換えをするのもおすすめです。
昭和の常識3:投資は博打だからしない
投資は、値動きがあって値段が下がることが心配だと思う方もいらっしゃいます。過去に大損を経験した人は、「投資をするな、博打だ」というかもしれません。預金金利が高いときならば、あえて冒険はせず、預金で資産を増やすことは賢明でしょう。しかし、超低金利が続く中にあっては、預金で資産を増やしていくことは難しくなっています。投資は博打だといって避けていては、お金はいつまでも貯められません。
投資といっても、コツコツ少しずつの長期投資なら、時間や金額を分散できるので、リスクが低く抑えられます。時代背景が変わってきたので、「資産形成の一つとして投資がある」と、お金の常識を広げてみましょう。
昭和の常識4:支払いは現金のみ、クレジットカードは使わない
お金の上手な使い方にはそれなりの訓練が必要です。クレジットカードは後払いの借金なので、管理がきちんとできないと使い過ぎてしまい、支払いに困るという場合もあります。ですから借金はダメだと考え、支払いは現金のみに固執する人がいます。
しかし、現在では支払い方もクレジットカードをはじめいろいろな方法があり、ポイントを貯めることで現金と同じように商品やサービスを購入することができるようになりました。家計の固定費をクレジットカード決済に変えるだけでもかなりのポイントが貯まります。
たとえば、毎月の支払いをポイントで支払ったり、貯まったポイントをマイルに移行して家族での旅行に利用したりもできます。現金払いでは得られない特典が、クレジットカードを使うことで得られて、節約できるのです。また、クレジットカードを使って毎月返済している人は、信用力が高まり大きな金額を借りる際の審査で有利になります。
昭和の常識5:買い物はたくさんの店をはしごする
「広告の品」を目当てに、何軒もの店をはしごして買い物をすることが正解だと思っている人がいます。確かにお目当ての商品の金額は安く購入できるでしょうが、ついでに買った商品もあると思います。買った商品や費やした時間をトータルにとらえて、本当にお得だったかを振り返ってみることが大切です。
たとえば、必要なかったのにお店に行ったために買ったものはないでしょうか。安かったからと気が大きくなり使用量が増えていたり、金額面で数十円のお得のためにガソリン代と時間をかけて購入していたりということはないでしょうか。戦利品をゲットできたと悦に浸って、購入代金全体が増えてはいないでしょうか。特売品を目当てに買い物に行くときは、いつも以上に気を引き締めておかないと家計の節約にはつながりません。
まとめ
時代背景が変われば、生活様式や行動パターンも変わっていくのが自然な流れです。時代の移り変わりが早い今日では、「過去の常識は、今日の非常識」になっているものが多くなっています。もし昭和生まれの親が「親の常識」を押し付けてくるようであれば、アドバイスとして聞き流して、自分の納得がいくやり方に変えていくことが必要でしょう。節約や家計の見直しが叫ばれていますが、お金の常識をアップデートすることで新たな余裕を生み出すことにつながります。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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