17/07/17
10年年金は約20万円! 10年加入で国民年金がもらえるように
「10年年金」という言葉、最近よく耳にしませんか?
従来、受給資格期間が25年(300ヶ月)以上ないと、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取ることができなかったのですが、2017年8月1日にその期間の長さが25年から10年(120ヶ月)へと短縮されるため、このことを「10年年金」といったりします。
今回は、10年年金の概要をわかりやすく説明しましょう。
2017年8月から対象者数は73万人以上に
2017年8月から対象者数は、65歳以上が約40万人、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受給できる人が約24万人、障害・遺族年金の受給者で老齢委基礎年金等を受給できる人が約9.5万人、合計約73.5万人になります。
それ以外の、カラ期間を含めて受給資格を満たす人もかなりの数いるといわれています。もしかすると受給資格のなかったあなたも、年金がもらえることができるかもしれません。
そもそも「受給資格期間」って?
受給資格期間とは、「国民年金加入期間のうち、保険料を払った期間と免除期間+厚生年金加入期間+カラ期間(合算対象期間)」をいい、この合計が10年(120ヶ月)以上あり、受給開始年齢(男性昭和30年8月1日、女性昭和32年8月1日以前生まれ)に達していれば、8月1日に受給権が発生し、9月分からの年金支給が始まります。(実際の受け取りは10月以降からです)
なお、カラ期間(合算対象期間)とは、サラリーマンの妻が国民年金任意加入であった昭和61年3月以前のうち20歳~60歳の期間などをいいます。ただし、カラ期間(合算対象期間)は、年金額には反映しません。
受給対象者には封筒が来ている
2017年8月の法施行により受給対象となる人、つまり受給資格期間が10年以上25年未満で受給年齢に達している人には、上記画像のA4の黄色い封筒がすでに対象となるほとんどの人に届いています。
封筒の中には「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」と書かれているA4の書類が同封されており、四角囲みで赤く「短縮」という文字も印刷されています。
その請求書に必要事項を記入し、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)で予約をしてから年金事務所に提出します。予約の際に必要書類(雇用保険被保険者証写しなど)を確認しておくと、書類不足で年金事務所へ何度も行く必要がなくなります。
予約をすると待ち時間がないだけでなく、手続きに要する時間も大幅に短縮されるため、必ず予約をしてから手続きに行きましょう。
10年年金の受給対象者に対して、年金事務所から口座の情報を聞くような電話が入ることは絶対にありません。不審な電話にはくれぐれも注意してください。
10年年金の年金額は19万4800円
老齢基礎年金の額から見てみましょう。
老齢基礎年金の満額を受給するためには、20歳から60歳の40年間(480ヶ月)保険料を納めている必要があり、その場合の年金額は2017年度で77万9300円です。
そのため、
10年(120ヶ月)納付済の方なら、
77万9300円 × 120ヶ月/480ヶ月 = 19万4800円
20年(240ヶ月)納付済の方で、
77万9300円 × 240ヶ月/480ヶ月 = 38万9600円
となります。
65歳以上の人であれば1ヶ月、65歳未満であれば1年以上厚生年金や共済年金などの被保険者期間があれば、さらに老齢厚生年金が上乗せされます。年金額は、厚生年金被保険者期間の標準報酬額(月々の報酬と賞与の合計)の平均と加入月数によって異なります。
封筒が来ていない人も受給できるかもしれない
黄色い封筒が来ていない人でも、10年の受給資格期間を満たしているケースがあります。確認事項は二つあります。まず一つ目、受給開始年齢に達しているのに受給資格のない人で、旧姓など今の姓とは違う姓があり、当時国民年金の保険料を払っていたはず、または厚生年金に入っていたはずなのに、ねんきん特別便などにその記載がない人。
そして二つ目は、洩れている「カラ期間(合算対象期間)」がないかの確認です。
以下の期間がある方は、カラ期間があるかもしれません。
〇婚姻している(していた)期間があり、その期間のうち配偶者が厚生年金や共済年金などの被保険者であり、自身はどの公的年金制度にも加入していなかった期間がある(この場合、配偶者の氏名・生年月日・基礎年金番号が必要です)
〇20歳以降に大学院・大学・短期大学・専修学校・各種学校の学生であった期間がある(夜間部・通信制は除く)
〇海外に住んでいた期間がある
〇外国籍である(あった)人で帰化または永住許可を受けている
〇厚生年金保険・船員保険・共済年金で一時金を受けたことがある
〇公的年金制度から障害年金または遺族年金を受けたことがある
〇本人または配偶者が、昭和61年3月以前に国会議員や地方議会議員であった期間がある
〇恩給法・執行官法・旧令共済組合などによる年金を受けたことがある
〇国民年金の任意脱退の承認を受けた期間がある
これらに該当する期間がある場合は、まずねんきんダイヤルで相談し、必要であれば年金事務所の窓口に行きます。その際も、必要となる情報や書類を確認しておくことが重要です。
繰り上げ・繰り下げもできる
65歳未満の人は繰り上げが、65歳以上の人は最長5年間の繰り下げを選択することもできます。詳しいことはねんきんダイヤルまたは社会保険労務士に相談してください。
金額の多寡ではなく、もらえないと思っていた年金がもらえることになるととても嬉しいですね。法改正によって発生したせっかくの権利なので、面倒だと思わずに早めに相談してください。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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