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19/06/15

資産運用・経済

投資信託、どっちが得? 投資信託で勝利する極意

投資信託 勝ちたいならこの7本!

投資家が選ぶべき投資信託は「ほんのわずか」しかない!

投資信託は100円と少額から、自動で積立することが可能で、仕事に家事にと忙しい日常を送っている方でも、あるいは面倒くさがりでズボラな方でも始めやすい投資商品といえます。

いま、私たちのまわりにはiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)、NISA、つみたてNISAといった、個人の資産形成をサポートする優遇制度がたくさんありますが、これらの制度に共通しているのは「投資信託」を選ぶという点です。

個人で購入できる投資信託は、現在、約6000本あります。そして、その6000本のほとんどが、じつは「売る側にとって都合のよい金融商品」だということをご存じでしょうか?
つまり、私たちにとっては損をしかねない商品ばかりということです。正しいマネー知識がなければ、本当に儲かる商品(資産が増える投資)を選ぶのは至難のワザなのです。

今回は、「投資信託、選ぶならどっちが得か?」という視点で、投資信託で勝利する極意をいくつかお伝えします。

「分配金が多い」と「分配金が少ない」投資信託、どっちが得?

「買った投資信託からもらえる分配金、たくさん欲しいですか?」と聞いたら、おそらく全員が「欲しい!」というでしょう。しかし、みなさんが手にする分配金は、無理してひねり出しているものかもしれません。果たして、それでもたくさん欲しいでしょうか。

投資信託の分配金には、普通分配金と元本払戻金の2種類があります。
普通分配金は、投資信託が組み入れている株式や債券などを運用した結果、得られた運用益から支払われる分配金です。分配金といえば、こちらを連想される方が多いと思います。

それに対して、元本払戻金は、元本の一部を取り崩して支払う分配金です。「特別分配金」とも呼ばれます。特別などというと、何だかボーナスが出たような気分になりそうですが、残念ながらそうではありません。

投資信託の中には、毎月分配型のように、定期的に分配金を出すことを掲げている投資信託があります。この投資信託の運用がうまくいっているときは、無理なく普通分配金を出すことができます。

しかし、うまくいかないときは、普通分配金を出せなくなってしまいます。それでも分配金を出さなければいけないというときに、元本を取り崩して、元本払戻金として分配金を出すのです。
分配金が運用益から受け取れる場合は、普通分配金として分配金を支払うため、元本は減りません。しかし、分配金が運用益でまかなえない場合や、そもそも運用益がない場合は、元本の一部を取り崩して支払うのです。

普通分配金は、もらえれば得をします。利益ですから税金もかかります。しかし、元本払戻金はもともと、あなたが積み立てたお金です。もらっても得でも損でもありませんから、税金もかかりません。「もらっても得でも損でもないなら、とくに問題ないじゃないか」と思われるかもしれません。確かに分配金を受け取った時点ではそうなのですが、問題はそのあと、投資信託が値上がりしたときにあります。

元本の1万円を取り崩さなかった投資信託Aと、元本の1万円を取り崩して5000円になった投資信託Bがあるとします。この2つの投資信託が、ともに10%値上がりしたとき、投資信託Aの元本は1万1000円と、1000円増える結果になります。しかしこのとき、投資 信託Bの元本は 5500円、つまり500円しか増えない結果となってしまうのです。

いいかえれば、投資信託Aに投資した人より500円損していることになります。元本払戻金を支払うことで、投資信託の元本が少なくなってしまうと、値上がりしたときの恩恵も少なくなってしまいます。

そもそも、投資信託は値上がり益を求めて購入しているはずです。元本払戻金によって、その値上がり益が受け取りにくくなってしまう可能性があります。高い分配金が受け取れるのは結構なことですが、その中身が元本払戻金で、無理やり出している投資信託はNG。それならば、分配金が少なくても、普通分配金で無理なく出している投資信託のほうが得でしょう。

純資産総額が「大きい」と「小さい」投資信託、どっちが得?

投資信託の純資産総額とは、投資信託が組み入れている資産の時価総額のこと。厳密には、ここから信託報酬などの手数料を差し引いたものですが、現在の投資信託の規模をダイレクトに表しているものと考えていいでしょう。

純資産総額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの価格が変動することによって、日々変動します。海外の株式や債券などを組み入れている場合は、為替レートの変動の影響も受けます。また、投資家が投資信託を購入すれば増えますし、売却すれば減ることになります。

さらに、前述した分配金を支払うことでも、純資産総額は減少します。純資産総額は、これらの影響を毎日計算し、1日1回公開されているのです。

投資信託の検索サイトでは、検索結果を純資産総額の多い順(少ない順)に並べ替えることができます。その中には、純資産総額が数千億円にも達する投資信託もあれば、数十億円程度の投資信託もあります。こうやって見てみると、なんとなく純資産総額が大きい投資信託のほうが安心できるような気がするのではないでしょうか。

純資産総額が大きい投資信託は、ファンドマネージャーの考える投資をきちんとおこなうことができます。それが必ず利益につながるとは限りませんが、私たちはその投資信託が目指す運用が十分にできれば利益が出ると考えて投資をするのですから、とても大切なことです。

また、投資信託の運用にかかる経費は純資産総額が多くても少なくてもたいして変わらないため、純資産総額が大きいほど経費の負担率が減ることになります。投資信託の中には、純資産総額が一定額を突破すると、信託報酬を割引するしくみを取り入れているものもあります。

しかし、純資産総額が大きいと、資金が潤沢すぎるゆえにかえってアダとなることもあります。例えば、株式投資信託の場合、成長が期待できる中小企業に投資しようとしても、自分たちの売買が株価の変動に影響を与えすぎてしまうため、なかなか購入できないのです。投資先は大企業や有名企業などに限られてしまいます。その結果、値動きは比較的安定するのですが、大きな成長は望めません。

この点、純資産総額が小さい投資信託ならば、成長が期待できる中小企業にも投資できるため、大きな成長が期待できます。その分値下がりリスクもあるのですが、過去の値動きを見ると、中小企業が順調に値上がりしていることも多くあります。お得感でいえば、純資産総額の小さな投資信託のほうが上だと思います。

ただし、運用が始まったばかりの投資信託は別ですが、純資産総額が10億円を下回るような、小さすぎる投資信託には注意したほうがいいでしょう。というのも、あまりに純資産総額が少ないと、途中で運用を中止する繰上償還がおこなわれる可能性があるからです。

繰上償還とは、信託期間が決まっている投資信託が、当初予定していた期日(償還日)を待たずに償還することや、信託期間が決まっていない投資信託が運用を終了することを指します。繰上償還になると、保有口数に応じた金額が償還金として換金されます。運用益が出ている場合ならまだよいですが、損失を抱えているときは、この繰上償還は痛手となります。

繰上償還となる基準は、各投資信託の目論見書(もくろみしょ)に記載されていますので、購入前に軽く目を通しておきましょう。


『投資信託 勝ちたいならこの7本!』 頼藤太希 著

6000本ある投資信託、そのほとんどは売る側に都合がいい商品…
得か?損か?二択式で最強の投資力がしっかり身につく!
初心者にも経験者にも役立つ極意本。いま狙うべき特選の7本も紹介。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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